え?自分の体感温度で決めろ?
この世に自分より信じられねーもんはねーぞ!
今までは、初期装備として神から配布された武具を使っていた。
だが、それは実際、最低限のものだ。
ここで買い換えないといけない。
まず優先されるべきは『武器』だ。
防具は後回しでいい。
このゲームは基本的に、目の前の敵を殺せば安定するのだ。
具体的に言えば、HPMPは時間経過で回復する。
つまり、目の前の敵を殺して休憩して回復。そしてまた移動して目の前の敵を殺して……、ということを繰り返す訳だな。
故に、一番大切なのはDPSということになる。
いかに効率的に殺せるか?ということだな。
そんな訳であるからして、最優先は武器。
マジックユーザーは魔導書だ。
ああ、魔導書は、読むと魔法を覚えられる本のことだ。
あまりにも難しい本を『読書』スキルが低いまま読もうとすると、色々とデメリットが発生するが、低レベルの魔導書ならその問題はない。
何にせよ、ダメージソースの確保は急務だ。
俺は、露店の武器屋を見る。
そして、使えそうな幾つかの武器を購入した。
「ねえ先輩?どれを買えば良いんです?」
ララベルが俺の片腕に平らな胸を押しつけつつ、そう訊ねてきた。
「まず、今まで俺達が使ってきたのが『低品質品』だ。これから買うべきは、『高品質品』の『エゴ付き』になる」
「エゴ付き?」
「エゴと言うのは、例えば、装備の前に『輝く』『蠢く』『烈火の』『氷結の』『猛毒の』などと修飾語が付いているもののことだ」
エンチャントと言えば分かりやすいだろうか。
「『烈火の』だと、火属性が追加される……、みたいな感じですか?」
「そうだ。おすすめのエゴは『邪悪殺しの』と『元素保護の』だな。前者は悪しき存在に対して二倍のダメージを与え、後者は火や水などの元素系のダメージに耐性を与える」
「うーん……、ここにはないっぽいですね。他のおすすめは?」
「『燼滅の』『抹殺の』『円卓騎士の』『帝王の』『龍神の』『勇者の』辺りだな」
「……ないですね」
「なら、『烈火の』『氷結の』『稲妻の』『疾風の』『猛毒の』『衝撃の』辺りで良い」
「あ!ありました!『氷結のスティールメイス』だそうです!」
「買え」
「はい!」
俺も何か買っておくか。
『稲妻のクロムグレートソード』『シルバーメイス』『烈火のメテオライトカタナ』『オブシディアンランス』を購入。
それと、防具も揃える。
盾二枚は『スティールバックラー』と『守人のコバルトタワーシールド』だ。
そして遠隔武器に『氷結のクロムロングボウ』だな。
あとはこう。
頭:『耐毒のシルバークラウン』
首:『耐麻痺のゴールドアミュレット』
胴:『ファイバーライトアーマー』
背:装備不可
腰:『闇夜のコンポジットベルト』
腕:『クロムライトガントレット』
指:『衝撃のゴールドリング』『流水のプラチナリング』
足:『スケイルブーツ』
こんなもので良いだろう。
次は、魔導書だ。
魔導書は、読んで理解するとその魔法が頭の中に『記憶』され、魔法が使えるようになる。
だが、『記憶』のスキルが低ければ、使えば使うほど魔法は失われていき、最後には使えなくなってしまう。
なので、何度も魔導書を読むために、よく使う魔法の魔導書は持ち歩くべきだ。
とは言え、ゲーム後半ともなれば、よく使う魔法を忘れるなんてことはそうそうなくなるのだが。
『記憶』のスキルの数値が一定ラインを超えると、そのランクの魔法は忘れなくなる。
……まあ、ダンジョンのトラップで『忘却ガス』などを浴びると、魔法を忘れてしまうこともあるので注意が必要なのだが。
さて……。
このゲームでの魔法は、十三種類の系統から特定の種類を選んで使うこととなる。選べる系統は職業によって異なるが、多くて二つほど。
つまり、『属性攻撃魔法』を選択すれば、『強化魔法』や『探知魔法』などを使えなくなる可能性が高い訳だ。
故に、魔法の系統選びも非常に重要だ。
もちろん、かなりの訓練を積めば、他の系統も使えるようにはなる。だが、それはかなり手間がかかる。
このゲームは、何かを捨てて何かを得るゲームであるからして、万能の魔法使いは生まれない。
膨大な時間を捨てれば、万能の魔法使いにもなれるかもしれないが、それはおすすめはしない。何か一つを鍛え抜いた方がいい。
だが、俺はデバッグモード用の特殊隠し職業の『@』であるからして、全ての系統に適性がある。
今回は、一人で何でもできる夢みたいな存在を目指してみよう。
もちろん、全てを手に入れようとまでは言わないが、とりあえず、真の意味での『魔法剣士』を目指すこととする。
感想もらえないからってひょっとして面白くないのかな?などと悩んでいましたが、読者数を数えたところ、特に少なくなっているとかはありませんでした。
つまり、俺の気のせいってことですね。
人間の体感はすぐに嘘をつくけれど、数字は嘘をつかないですからね。俺が工学部で学んだ数少ない学習内容の一つです。