ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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ネタバレ、やさしいせかい。


4話 死人は出さない

「え、えぁ?」

 

「だからね、君、魂しかないの。肉体はすでに滅んでいるの。分かる?」

 

「な、にを、馬鹿な、ことを」

 

あれ?

 

自覚してなかったのか。

 

なんか、悪いことしたな。

 

「はぁ……、何なのかね、貴様は」

 

「あ、ああ!レフ!レフじゃない!今までどこにいて……!いえ、そんなことはいいわ、無事でいてくれただけで」

 

レフ、と呼ばれた男に駆け寄ろうとしたオルガマリーの腕を掴む。

 

「え?な、何よ、離しなさいよ」

 

「いや、流石に、目の前の美女を見殺しにするのはねぇ?」

 

「はぁ?さっきから何を訳の分からないことを」

 

「そいつ、人じゃない。捻れた肉塊、赤い瞳。バケモノだ」

 

「何を……」

 

オモシロもみあげジャングル、レフは……。

 

「ククク……、ハハハハハ!!!サーヴァントの分際で、私の内側を見たのか?面白いな」

 

「レ、レフ……?」

 

すると、帽子のセンスが絶望的に悪いレフは、悪趣味にもカルデアス?の様子と、オルガマリー達を爆弾で殺害したことを告げる。

 

そして、オルガマリーをカルデアス?に放り込もうとした。

 

見るからに、あのカルデアスってのは、情報の高密度な集まり。あんなのに触れたら人間なら爆発四散ナムアミダブツ。

 

「いや、いや!助けて、誰か助けて!」

 

「オルガマリー!俺のこと、後で魔術協会にチクったりしない?」

 

「!!、しない!しないから、助けて!!」

 

まあ、チクられても助けるけどね。

 

「じゃあ、そういうことなんで」

 

「貴様……、何を?!」

 

「ところで、こんな曲は知ってるか?俺は大好きなんだけど……、フラッシュバンアラカザム!ってね」

 

フラッシュバンを投げて、怯ませたところで、カルデアスに放り込まれそうになったオルガマリーを、触手を伸ばして引っ張る。

 

「おっと、大丈夫だったかい、お姫様?」

 

「あ、う、わ、わああああーん!!!」

 

俺に抱きついて泣き叫ぶオルガマリー。

 

死の恐怖ってのはきついよね。もう、そんなものを感じるような繊細な精神は無くしてしまったけれど。

 

「よしよし、もう大丈夫だからね」

 

女の子あやすのは得意だ。

 

「チッ……。だが、この特異点の崩壊と同じくして、その女の存在も消失する、か」

 

すると、レフ……、フラウロス?ピンクのガンダム?は世界は終わっているんだよ!!とMMRみたいなこと言い始めたから、俺が、な、なんだってー!!と返してやったら、デカイ舌打ちと共に姿を消した。

 

なんなん?

 

「あっ、レフの写真撮り忘れた……」

 

旅メモリーが。

 

「ね、ねえ、新台?わ、私……」

 

んー?

 

あー。

 

そうだねえ。

 

「このままだと消える感じだね」

 

「そ、そ、そんなの、やだ、お願い、助けて」

 

また、グスグスと泣き始めるオルガマリー。

 

泣き顔可愛い……。

 

いじめられると可愛いタイプだな。

 

「いや、一旦完全に死んでから蘇生する感じじゃ駄目?」

 

「怖い、怖いよ……!お、お願い、何でもするから助けて!」

 

ん?

 

今。

 

何でもするって。

 

言ったよね?

 

「しゃーなし、貴重品だけどゴールドオーブ使うか。はいパリン」

 

「あう?あああ、あああああ!!!」

 

もったいねえなあ、コスパ悪いんだよ、ゴールドオーブは。

 

でも、肉体が完全に無いとなると、時間を巻き戻すことによる蘇生効果をもたらすゴールドオーブじゃなきゃならない。

 

「は、え?生き、返ったの?」

 

「うん」

 

「う、うう、ありがとう……!!」

 

「おー、よしよし、大丈夫だからねー」

 

オルガマリーを抱きしめて撫でる。

 

可愛いなこの子。

 

「まあでも、この特異点が吹っ飛ぶから、蘇生しても意味ないんだけどねー!!」

 

「そ、そんなぁ!!!」

 

『くっ、所長……!!』

 

ロマンが悔しそうな声を出す。

 

「ところでロマン、カルデアの座標は?」

 

『XXXX.XXXX、XXXX.XXXXだけど……、それがどうしたんだい?』

 

「俺、取り敢えず、そっちの世界に帰るけど良い?」

 

『かっ、帰れるのかい?!時空間転移が可能なのか?!!』

 

「できるできる。でも、立香とマシュはレイシフトで帰らなきゃならんのでしょ?」

 

『あ、ああ、そうだ!そっちはもうやっている!けれど、このままじゃ崩壊の方が早いかもだ!!』

 

「兎に角、俺はオルガマリーと逃げる。後は任せたぞ、それじゃ」

 

『分かった、ありがとう!』

 

さて、と。

 

「新台、どうするの、助かるの?お願い、助けて、死ぬのは嫌、怖いのは嫌……!!」

 

「大丈夫、オルガマリーは俺が守るから」

 

オルガマリーを抱きしめつつ、アイテムインベントリから懐かしいルーンを。

 

時空間転移の魔法だ。

 

 

 

さて、黒井鎮守府についた。

 

もう、何にも言わなくても大淀が現れる。

 

「大淀、この子を医務室へ。それと、黒井鎮守府を座標XXXX.XXXX、XXXX.XXXXまで移動。お願いできる?」

 

「了解です」

 

さて、黒井鎮守府に来た以上、あまりオルガマリーとベタベタできない。そんなところを艦娘に見られたら死ぬ(オルガマリーが)。

 

汚染された大気、海が枯れ、ひび割れた大地。その上を通り過ぎ、唯一残った最後の砦、カルデアへ移動。

 

「おっと通信。もしもし?ロマンか?立香とマシュは大丈夫?」

 

『ああ、奇跡的に無事だ!……と、言うより、何だいそれは?!巨大な、浮遊要塞……?!そんな、ジャパニメーションじゃないんだから!!』

 

ん?これ?

 

「ああ、紹介しよう、これは移動要塞黒井鎮守府。異星、未来、異次元の超技術、魔法により稼働する、超弩級の移動要塞だ」

 

『他にも反応があるように見えるけど……?』

 

「彼らは、急造の移動要塞に詰め込んだ俺の友人達、かな?」

 

『なんてことだ……!!人類は滅んでなどいなかったのか!!』

 

「当たり前でしょ、人類滅ぼすなんて俺が許さんよ。知り合い集めてどうにかしよう、としていたところで、急な呼び出し、立香の召喚って訳なのよ。だから、これからは組織的に力を貸すよ」

 

『は、はぁ……』

 

気の抜けた声を出すロマン。通信でもへたり込むのが分かる。

 

『よ、良かった……。確かに、職員の多くとマスターは皆、死ぬか危篤状態だけれども、所長も無事だし、協力者もこんなに沢山……。もし、ここにいる僕達だけでどうにかしろと言われていたら、プレッシャーと労働時間で皆おかしくなっていたところだよ』

 

「安心しろ、有能な人材はかなり多い。そちらの助けになるだろう」

 

『本当にありがとう……。君のお陰で、大分楽になりそうだよ』

 

通信を切って、さあ、仕事だ。

 

 

 

うちの誇る技術担当、明石と夕張に頼んで、カルデアとネットワーク及び次元的に接続。

 

使えそうな人員をカルデアに派遣。

 

「よー、ロマン。どう?」

 

「どう?じゃないよ旅人君!最高だよ!あのトニー・スタークを引っ張って来てくれるなんて!それに高度なプログラミング技術を持つデットセック、先進的な技術を持つ財団、その上、異星人のセイバートロン人まで!希望が見えてきたよ!!」

 

トニー・スタークは世界の危機を訴え、証明したら二つ返事で協力してくれた。

 

デットセックも同様だ。

 

財団も、世界の崩壊を予期していたらしく、管理しきれないSCPを破棄した後は協力してくれた。

 

セイバートロン人も地球がなくなると困るとか、純粋な善意とかで協力。

 

他にも、多くのグラップラーや闘士、技術者、スタンド使い、魔術師、探索者などが力を貸してくれるそうだ。

 

こういう時に長い旅の最中の人脈が活きる。

 

 

 

あの後、オルガマリーを起こして、カルデアに帰還。

 

多くの技術者のお陰でスケジュールに余裕ができて、シミュレーターを使用することができた。

 

そこで、英霊に極めて近い性質を持つ艦娘もレイシフトが可能であることが判明。

 

また、俺のサーヴァント化の影響か、艦娘も半分サーヴァント化し、宝具らしきものを持つことも判明。

 

オルガマリーとロマンは泣きながら喜んだ。

 

「はぁあ〜、良かったぁ!本当に良かったぁ!これだけの戦力があればなんとかなりそうね……」

 

「本当だよ、全く……。艦娘は総勢数百名、サーヴァント並の戦力がある。これなら、なんとかなるかもしれない。絶望的、という言葉で表すのは不的確と言えるね」

 

「「でも、問題がある(わね)」」

 

「まず、艦娘は立香君を守る気がさらさらないこと。つまり、立香君が死んだら一巻の終わりだ。油断は禁物だね」

 

「そうね……。まあ、兎に角、今のところは、新台さんのお陰で空いたスケジュールに、立香とマシュのトレーニングね」

 

「っと、その前に、召喚をしよう。立香君!」

 

「はい!」

 

「召喚をしてくれ、頼むよ……」

 

「分かりました!これを使うんですね?むむむ……、えーい!」

 

現れたのは槍ニキ、クー・フーリンだった。

 

「お、早速喚んでくれたか。このクー・フーリン、マスターに力を貸そう」

 

「よろしく、クー・フーリン!」

 

笑顔で握手する立香。

 

「クー・フーリン!アルスターの大英雄!やったぞ、幸先が良い!」

 

と、ロマン。

 

「まだ召喚は終わらないわよ、あれだけのリソースをつぎ込めばもう二体分は……」

 

とオルガマリー。

 

「サーヴァント、アサシン。マタ・ハリが通り名よ」

 

「よろしく、マタ・ハリ!」

 

「マタ・ハリ……、世界で最も有名な女スパイか。裏方役も重要だね」

 

ロマンの解説。

 

「まあ、貴女が私のマスターかしら?愛らしいわ……。私は源頼光。ふふ、これからは私を母だと思って構いませんからね。……クラスは、あ、あら?セイバー、じゃない?」

 

「よろしく頼光さん!」

 

「源頼光!平安最強の神秘殺し!」

 

ロマンの解説。

 

「結構良い感じじゃない?」

 

「ああ、そうだね、良い引きだ」

 

「次の特異点攻略は?」

 

「五日後を予定しているよ」

 

それじゃあ……。

 

「立香、新しいサーヴァントと一緒に訓練して、話を聞いておいてね。君が指揮官なんだ、何ができて、何ができないのか、ちゃんと把握しておくんだよ」

 

「うん!」

 

さて、希望が見えてきました、人理修復。

 

知り合いの技術担当集めてタイムマシンでも作るかって話だったが、こっちだな。

 

まあ、今回も何とかなるでしょ。

 

毎回何とかしてきたし。

 

よし、イクゾー!

 




旅人が知り合いを集めたとかヤバ過ぎる。

どれくらいやばいかって言うとバットマンとジョーカーの両方に協力を求めた。

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