ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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花粉!!!!!!!!!


53:突発的な知識判定

王都の冒険者ギルドに顔を出す。

 

冒険者の規則として、現在いる地域の最寄りの冒険者ギルドに顔を出す必要があるのだ。

 

活動拠点変更に関する書類を提出しないといけない、とのこと。

 

意外と事務的だが、文盲の多い冒険者なので、事務手続きは最小限。

 

前にいたギルドの活動レポートをギルドから受け取り、新ギルドに提出してサインひとつで移籍完了だ。

 

常々言うが、この世界のキャラクターは、強さを定量的に測ることができない。

 

「鑑定」なんて便利な魔法はこの世界にはないし、それらしきものがあったとしても、得られる情報はかなり抽象的。

 

俺はまあ、それっぽいものを魔法などで看破できるし、仮にとは言え、キャラクターの技能を「スキル」などと定義することは可能だが、これが合っているかどうかは全く分からないのだ。

 

俺がいつも言っている「冒険者レベル」や「スキル」「能力値」などと言うのは、俺の勝手な解釈によるもの。公式(神)の定義とは違うはず。

 

やる気のないファンタジー小説のように、この水晶に触れればステータスもスキルも犯罪歴も討伐歴も全部分かります!みたいな、頭の悪いおふざけアイテムは当然存在しない。

 

故に、引き継ぎ用の事務書類が必要な訳だな。

 

まあそもそもとして、俺が王都に呼ばれた理由も、悪魔王関連のキャンペーンクエストが原因だし、ちょうど良いだろう。

 

とりあえず、ギルド側に顔を出して、報告とやらをちゃっちゃと済ませるか。

 

 

 

「ここが、王都の冒険者ギルドか」

 

王都の冒険者ギルドの建物は、ボロネスカのそれのゆうに十倍はある、巨大な建物だった。

 

石造りの四階建てで、貴族の官邸よりも広いんじゃないか?という大きな建物……。

 

出入りする人もかなり多い。

 

建物の職員だけで百人は確実にいるだろうな。

 

そこに、千人以上の冒険者がいる……。

 

しかし、冒険者の様子はボロネスカと変わらないな。冒険者はどこでも冒険者ってことだろう。

 

俺達は、受付に書類を提出した。

 

しばらく待てと言われたので、ギルド内にある酒場で食事をして待つことに……。

 

もちろん、ギルド酒場の料理など食うつもりはないので、キッチンを借りて自分で調理する。

 

確かに、王都の冒険者ギルドなだけはあり、飯もそこそこに美味そうだが……。

 

わざわざここで食うほど気が惹かれるようなものはないな。

 

欧米の田舎料理みたいなのが殆どで、あえて食う必要があるものとか特にないしなあ……。

 

いや、もちろん、不味くはない。

 

不味くはないが、俺が作った方が確実に美味いんだ。

 

ファンタジー特有のモンスター肉料理とかもあるっちゃあるが……、季節外れのジビエみたいなもので、好き好んで食うようなもんじゃないしなあ。

 

材料も地球産の方が美味いし……。

 

金目鯛の煮付け、筍ご飯、太刀魚のアスパラ巻き揚げ、鳥ささみと山菜の土瓶蒸し、牛しぐれ煮、あさりの吸い物。

 

本日は和食でーす。

 

本当はね、先付けから水物まで幅広く作れるし、彩りも気にしたいんだけどね?

 

こいつら、外国人だからね……。

 

侘び寂びとか分かんないだろうし、適当に喜びそうなものをお出ししてるよ。

 

ルール無用の、味濃いめ。

 

繊細さもクソもないな!

 

だが……。

 

「これは……!」

 

「なるほど」

 

「流石は師匠!」

 

この料理は、周りの冒険者に知識判定のダイスロールを振らせる為のものでもある。

 

特徴的な匂い、食材、調理法……。

 

これらは全て日本の、この世界で言う東方国家群の料理である。

 

土瓶蒸しなんかは特に、「ヒントを出し過ぎたかな?」ってくらいの有様だ。

 

下手すれば、知識判定を平目で振っても引っかかるくらいには。

 

これらの料理を見た間抜けな冒険者は、「なんだか変なものを食っているな」で終わるが、INTやEDUが高い奴はすぐに気付くのだ。

 

俺達の中では、ぶっちぎりの高INTであるアデリーンと、経歴表が元貴族であるジョンとヴィクトリアは気付いたようだ。

 

十三世紀のヨーロッパで現代の和食が出てくると言う異常事態に気付けたのは、他にもいる。

 

「ふむ……」

 

あそこの禿頭にフルプレートアーマーのドワーフ。

 

「あら」

 

長身にフードのエルフ。

 

「おお……」

 

緑鱗の老いたリザードマン。

 

幾人かの冒険者は、俺の出した食事の異常性に気付いたようだった。

 

『看破』の魔法で見てみると……、なるほど。

 

ざっくりとだが、かなり強いことが分かる。

 

愉快じゃないか?

 

相手の食う物一つからでも情報を拾える優秀な冒険者が、何人もいるんだ。

 

こう言う奴らと冒険ができたら、きっと最高に楽しいんだろうな。

 

俺のような反則者(チーター)ではなく、正攻法で英雄になる奴らが、今この瞬間にも産声を上げている訳で。

 

それはとても、とても面白いことだ。

 

まあ、もちろん、俺には勝てないだろう。

 

だがそれでも、英雄が生まれていくのは見ていて最高に楽しい。

 

綺羅星の如く輝く英雄達、それを謳う伝説、新たな文化……。

 

そして……、それらの頂点に俺が立つのだと思うと、勃起してしまうくらいに興奮する。

 

たまらないな。

 

「おいしー!」

 

「おいしいです!」

 

なお、ヨナとノースは知識判定に失敗していた。

 

可愛いので許す。

 




花粉マジで死ね!
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