王都観光。
華の都とあだ名される王都コンソティは、様々な異種族が表通りを我が物顔で歩く先進的な地で、街のあちこちに美しい彫刻や噴水がある、小綺麗な街だ。
素晴らしいグラフィックだな、デザイナーは誰だ?
「焼き菓子だよ!あまーい焼き菓子だよー!」
「今朝しめたばかりの豚の腸詰(ヴルスト)だ!うちのはハーブたっぷりで最高だぞー!」
「モルタデッラを挟んだサンドイッチだよ!オニオンは今朝とれたばかりでシャキシャキだ!売り切れる前にさあ、買った買った!」
「蒸した芋だよー!うちは塩を大匙で入れているんだ、味が濃くて美味いぞおー!」
食品の辻売り、いわゆる屋台がずらりと並ぶ。
焼き菓子はどうやら、砂糖は貴重なので、ベリー系の果実を煮込んだものを混ぜ込んだ生地を焼いた、菓子パンもどきのようなものみたいだな。
腸詰があるのは驚いたな。
どうやら、洗浄の魔法というものがあるらしく、それでケーシングを洗浄しているらしい。
この世界では、菌の概念はまだ見つかっていないようなのだが、慣習的に汚濁は危険であるという共通意識があるらしい。その洗浄魔法とやらには殺菌効果があるようだった。
それに、ローズマリーやタイム、それとバジルにセージ辺りか?匂いで分かる。
ハーブをたっぷり混ぜ込んだ屑肉のソーセージは、庶民の強い味方なんだそう。
因みに、端肉ではないしっかりとした部分は、それなりの格の店舗で供されるようだ。
それと、ハムのサンドイッチにふかし芋。
ふかし芋は特に特徴はない。
いや、小粒のじゃがいもは、品種改良があまりされていないものだな。食べてみたら、日本のものと比べて甘味がいささか足りない。
ハムのサンドイッチ……、ボロニアソーセージを厚切りにして焼いたものを、ロールパンに切り込みを入れたところに、半月切りの玉ねぎとレタスで挟んだものだな。
味付けは塩気を利かせたハニーマスタードらしい。ケチャップは存在しないみたいだな。トマトらしきものはあるが。
なんというか、サンドイッチではないが、ホットドッグでもハンバーガーでもない、不思議な装いだ。
いや、面白い。
実に面白い。
異世界ファンタジーのツボをおさえた街並みだ。
他にも、武具から野菜、雑貨に服など、様々なものが屋台に並んでいる。
「この屋台も、ニコラウス様がお触れを出したので賑わっているのですよ」
「そうなのか」
ハーフエルフのジョンがそう言った。
昨日別れたはずなのに、音もなく隣に来ていたのだ。
何かしらのイベントでも持ってきてくれたのだろうか?
NPCと仲良くしておいて損はないからな。
邪険にはしないでおこう。
「今まで、辻売りは違法……とまでは言えませんが、合法でもない行為でした。それを、ニコラウス様は、身元が明らかな者ならば辻売りは自由であると定めたおかげで、経済が活性化したのです」
「そりゃ凄いな」
天才有能、ニコラウス王子だったか。
面白いな、こういう世界観が知れるTipsはどんどん聞いていきたい。
俺は社会科の教科書の一言豆知識欄とか大好きだったタイプの子だったからな。
もしくは、テレビゲームのロード中の画面に出てくる一口豆知識みたいなのが好きな奴とも言える。
さてさて、まだ観光するぞ。
白亜の王城は遠目から見て満足したし、他のところへ行こう。
地母神神殿はどうだ?
「あ、シバさん」
「おお、ノースか」
この国最大の神殿である、王都地母神大神殿は、そのネームバリューに反して質素なものだった。
いや、建物のサイズそのものは大きい。
なのだが、『華の王都』には似つかわしくない、装飾を廃した無骨な雰囲気。
これはどういう事なのだろうか?
答えは簡単、地母神神殿の教義がそれだからだ。
地母神神殿では、清貧で、健全で、万民に寄り添う秩序にして善(ロウフル・グッド)が尊ばれる。
アライメントが違い過ぎて具合が悪くなりそうだな。
出迎えてくれたのはノース。
俺と共に、小さな村から出立して、冒険者をやりながら王都まで移動してきた神官少女。
幼くして才能を認められ、本家大元たる王都の大神殿にまで招かれたというのだから、その才能は素晴らしいのだろう。
俺の目線から見ると、堅実なビルドとベタな生まれ表を引いた面白みに欠ける存在のように思えてならないが……。
まあ、ノースは年齢的にも、俺の弟子であるヴィクトリアの仲間パーティにでもなってくれると助かるなと最近は思っている。
俺は俺で英雄になるつもりだが、ヴィクトリアも英雄の弟子に相応しい英雄になってもらうつもりだからな。
ノースと二、三言葉を交わして、移動再開。
「ここは、貴族街です」
ジョンの案内で来たのは、華の都の最も華やかな通りである、貴族街一番通り。
煌びやかな店構えのブティックやレストランがずらりと並び、高級感溢れるサロンなどがある。
「こういうところは、貴族じゃないと使えないんじゃ?」
俺はそう、疑問を口に出した。
「確かにそうですが、中には、貴族でなくても利用できる店舗が半数ほどはありますよ」
「ほう」
「と言っても、特に掲示はされておりませんので、店員に直接訊ねる必要がありますが」
なるほどな。
「で、お前は、どこの店なら使えるかを知っている、と」
「ええ、昔取った杵柄、というものですよ」
昔取った杵柄、ねえ。
つまりは、この地区のことをよく知っている訳だ。
案外、貴族の庶子としては悪くない生活だったのかね?
「だが、このランクの店に鎧で出入りできるのか?」
「それはできるでしょう?」
むむむ、なるほど?
鎧を着ている人がいるのが当たり前の世界では、鎧も一種のドレスコードたり得るのか。
「特に、ここにいる皆さんの鎧は、よく手入れされておりますし……」
確かにそうだ。
アデリーンはミスリルとワイバーンの革を使った高品質で上品な鎧を着ているし、ヴィクトリアもスタデッドアーマーとは言えよく手入れされた黒塗りのもの。
俺に至っては……。
「……特に、英雄殿の鎧は、それは神器の類でしょう?」
『アダマースの護りの鎧』……。
純粋な星核鋼(メテオライト)を折り重ねて作られた魔法の鎧だからな。
黒金に輝き、有機的な赤いラインが走る、プレートアーマー。
まあ、見る人が見れば分かるだろう。
流石にその辺は貴族(ノーブル)という訳か?
見識判定に成功してきたか。
何にせよ、このままで良いのなら良いだろう。
この世界の美味いものを食ってみるのも一興だ。
そうして、ジョンに案内されて、『夜猫亭』というレストランに入る……。
「「あ」」
すると、そのレストランの前で、ばったりと。
ジョンによく似た女エルフと出会った……。
最近、マジで書けてないです。
細々とした新作が10話ずつくらい5、6種類ある有様。
とりあえず、パスファインダーキングメーカーをやりながら書いたTRPGものの続きを投下します。7話分くらいしかねーけど。
うーん、次はどうしようかなあ……。
第一部完まで持っていけたゾンビもの34話が最有力候補だけど、これは面白くしようと思って書いてないからなあ……。
色んなの書いてるけど、どれもパンチが弱い気がしてもうダメ。助けてくれ。
またアンケートという手もあるけど、どうもなあ……。
ロボットもの、異世界転移?(ナーロッパ)、異世界転移?(原始)、異世界転移?(オープンワールド)、異世界転生(女騎士)、ダークファンタジーがあるけど、もうどれを書けば良いのか……。
とりあえず、第一部完!くらいまでは書き切らないと投稿もできんです。