イベント忙しい!
んー?
朝、オルレアンにて。
奇襲した、んだが……。
三百を超えるワイバーンの大群。
「そんな……!」
待ち構えていた、って訳だ。
「アハハハハハハ!バレバレなのよバーカ!普通に考えれば分かるわよねえ?待ち伏せするに決まってるじゃないの!!」
「ジャンヌオルタ」
「……私のこと?」
黒い方のジャンヌ、ジャンヌオルタがこちらを見る。
「あのさ、逆に聞きたいんだけどさ、俺がこうなることを想定してなかったとでも?」
「……何よ、何か策でもあるのかしら?まあ、そんなもの関係ないわ!ファヴニールに敵う訳が」
「俺の宝具の初開帳だ、見とけよ見とけよー」
俺が無駄にカッコいいポーズとともに叫ぶ!
「『旅人百景(ストレンジャー・ワールド)』!!!」
「な、何……?!」
辺りが光に包まれる。
「ん、あ?アレ俺昼寝してた筈なのに何でフル装備で外に?」
「飯食ってたんだけど」
「本読んでた」
「狩り始めるとこだったんだが」
「会議……」
「風呂入ってたのに」
「受付嬢とデートしてた」
「アイルーと遊んでた」
「集会所で酒飲んでた」
ぞろぞろ集まった九人の男。
「な、何よ、変な男がちょっと増えたからって……」
「これが俺の宝具、旅人百景、の一部だ」
俺が説明を始める。
「旅人百景は、俺が旅の最中に出会った人々をサーヴァントとして召喚する。その際、能力の劣化は一切なく、グランド級のサーヴァントであっても問題なく召喚される」
「な……?!」
「……しかし、欠点が一つ。サーヴァントとして召喚された知人は、俺の思い通りに動いてはくれない。働かせるなら交渉しなければならない。更に令呪もない」
「あ、旅人だ」
「お、龍歴院の……、いやー、どうもどうも!」
「ああ、ユクモの!お久しぶりです!」
「あっ、新大陸の?!うわ、久しぶり!仕事どう?」
「あー、ポッケの!」
「開拓地の!」
馴れ合いを始める男達。
「……だが、今回は交渉などいらん。何故ならこいつらは、龍と聞いたら狩らずにはいられない変態共だからな!!!!」
「「「「誰が変態だこの野郎!!!!」」」」
そう、今回呼び出したのは、別世界のハンター達。
龍を狩らせたら右に出るものはいない、そんな化け物共だ。
「まあまあ、ほら見ろ、龍だぞ」
「おー、でけえ」
「アルバトリオン級じゃね?」
「素材何出る?」
「今回はハンター協会を通さないフリーの依頼だ!金は俺のポケットマネーから少々、素材は全部くれてやる!」
「マジで?!!」
「素材全部?!!」
「言ったなお前!竜玉とか出ても渡さねーかんな!!!」
「おお、良いぞ!但し、狩りを邪魔する人間もいる。そいつらは適当にぶっ飛ばして良い。さあやれ!!!」
「「「「おう!!!!」」」」
ココットのセイバーは片手剣と盾を。
ジャンボのアーチャーは弓を。
ポッケのアーチャーはヘビィボウガンを。
モガのバーサーカーはハンマーを。
ユクモのセイバーは太刀を。
我らの団のセイバーは大剣を。
龍歴院のランサーは操虫棍を。
新大陸のバーサーカーはスラッシュアックスを。
メゼポルタのバーサーカーは穿龍棍を。
「「「「さあ、一狩り行こうぜ!!!!」」」」
それぞれを振るって、駆け出した。
「行きます!」
龍歴院のランサーが、操虫棍を振って虫を飛ばし、空へと跳び上がり、ワイバーンをはたき落とす。
「ナイス!」
落ちてきたワイバーンの頭蓋を、モガのバーサーカーがハンマーで叩き潰す。
「疾ィッ!!!」
「はあっ!!!」
ジャンボのアーチャーとポッケのアーチャーが、弓とボウガンでワイバーンの羽を撃ち抜き、叩き落とす。
「うりゃあ!!」
それを、ユクモのセイバーが太刀で叩き斬る。
「閃光玉行くぞー!」
ココットのセイバーが閃光玉でワイバーンを墜として。
「ぃよいしょー!!!」
新大陸のバーサーカーが斬り刻む。
「墜ちろっ!!!」
メゼポルタのバーサーカーが殴り墜としたファヴニールを。
「うりゃあ!!!」
我らの団のセイバーが叩き斬る。
「そ、そんな、馬鹿な……!嘘でしょう?!」
ジャンヌオルタが怯む。
それを見逃さなかった立香は即座に指示を出す。
「ワイバーンはあの人達に任せて!ジークフリートはファヴニールを!他のみんなは敵のサーヴァントを倒して!」
「「「「はい!」」」」
全員が動き始める。
初動はこちらの方が早い。
先手は取れた。
俺も弓を射って援護を始める。
「やっちまえー!」
野次と、ついでに矢を飛ばす。
敵のサーヴァントはちょくちょく飛んでくる俺の援護射撃のせいで、実力を発揮できずに倒れていく。
「嘘……、嘘よ、嘘よ!私がこんな馬鹿に負けるだなんて!」
ジャンヌオルタが絶望している。
気を遣って声をかけておくか。
「ところがどっこい……!これが現実っ……!現実なのですっ……!!」
「お前さえ……、お前さえいなければーーーッ!!!」
「すまんこ」
「死ぃぃぃねぇぇぇ!!!!」
おーっと?
マジなファイアーだぜ?
転移で回避。
そして得物を奪って遠くへ投げる。
「君のような悪い子は、お尻ペンペンだな」
「やっ、ちょっ、ま、待ちなさい!!!」
「待ちません!おりゃ!」
ぺちん。
「ひゃん?!」
ぺちんぱちん。
「ひぃや、やぁ!!」
「ジャンヌオルタは悪い子!悪い子はこうだ!!」
ぺちぺちぺちん。
「うううううーーー!!!」
ジャンヌオルタを亀甲縛りにして、お尻を叩く。
「何やってんのお前」
ハンター達にバッシングされる俺。
「おしおき」
「そう……」
「聖杯の持ち主はジル・ド・レェだそうだ!やっちまおうぜ!」
「じゃあ俺達はこの龍を剥ぎ取るから」
「ジークフリートさんでしたっけ?その剣、何の素材でできてるんですか?!」
「竜玉ゥ、出ろや竜玉ェァ!!!」
と、ハンター達を放置して、ジル・ド・レェを仕留めに行く。
「き、さま、貴様貴様!!!貴様ぁぁぁ!!!ジャンヌを離せぇぇぇ!!!!」
「え?やだよ。このジャンヌは没収だ」
「貴様如きが触れて良いお方ではない!!!」
「良いじゃん、別に。だってこのジャンヌは……、お前が作ったんだろ?」
「な、何故それを?!!」
「いやまあ、大体予想できるよね。ジャンヌの蘇生が不可能だったから、自分に都合がいいジャンヌを作ったってところでしょ?男として気持ち悪いと思うよ?」
「だ、黙れ黙れぇ!!!」
聖杯じゃ叶わない願いも結構あるのよねー。俺も聖杯を持ってるけど、聖杯での死者蘇生は魂と肉体がないとできないんだよね。
「まー、年貢の納め時ってやつだな。降参しろよ」
「ま、まだだ、私には聖杯が」
「これか?」
「あ、あ……、な、何故だ?!」
「いやあ、お前さん、隙だらけだったんでスったよ」
「こ、の、薄汚い、盗人風情が、よくもおおおおおおお!!!」
「テスト、リシュリュー!やっちまえ!」
「「了解」」
「ぐああああああああああああ!!!!」
撃破、と。
ジル・ド・レェは魔法使いとして優れている訳ではないからな。それにクラスはキャスター。
因みに、テストとリシュリューはアサシンのクラスらしい。
え?クラス相性?ゲームじゃないんだから相性なんて存在しないぞ。
『や、やった!ともかくこれで定礎復元だ!』
ロマンの通信。
『聖杯を回収して帰還してくれ!そうしたらこの特異点は修復される……、って旅人君?!!』
「よいしょー」
『せ、聖杯で特異点を安定させた……?!!な、何をするつもりなんだい?!!』
何ってそりゃ決まってんだろ。
「この特異点は後一日だけ保つようにした!その間に戦勝を祝って、宴会だ!!!」
………………
…………
……
まー、その後は、飲めや歌えやの大騒ぎをして。
モーツァルトがマリーさんにピアノを弾いてあげられた、心残りはないと。
ジークフリートがハンター共に捕まり、龍狩りあるあるトークで盛り上がり。
頼光さんに珍しい酒を勧めて酔わせてセクハラしたり。
ジャンヌさんに酒を飲ませて酔わせてセクハラしたり。
マルガレータにセクハラしたりした。
そして。
「あの、旅人さん」
「なんだいジャンヌさん」
「私、こんな楽しい宴会、初めてです。みんな笑顔で、幸せで……。本当に、ありがとうございました」
「気にしなさんな」
「その、できれば、ですけど……。その、カルデアに、私を呼んでくれますか?」
「ああ、そうだね。できるかどうかは分からないけど……、その時はよろしくね」
「はい!」
「お帰り立香君!マシュ!そして旅人君!お疲れ様!」
「ロマン、ただいま!」
「早速、溜まった魔力リソースで召喚をしてみないかい?」
「うん!」
……「サーヴァント、ルーラー。ジャンヌ・ダルクです!ふふ、またお会いできましたね!」
まあ、うちのカルデアにはあんまり女性鯖いないし、今回のイベントは手抜き気味なんですけど。