ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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久々に友人と会うことに。

人と顔合わせんの久しぶりだ……、会話ができるだろうか。


24話 食らいつくニホンザル

ティフォン博士が、自衛隊の依頼を受けて、いくつかの動植物を提供した。

 

それにより、自衛隊の食料事情は、一気に回復していた。

 

パンデミック後は、自衛隊の持つ備蓄は全て民間人に優先配布し、炊き出しなどを繰り返して、この二週間で全ての食料を使い切ったところだったのだ。

 

自衛隊には、千五百人の隊員を一か月食わせていけるほどの備蓄があったが、この自衛隊基地には六千人もの人々が押し寄せてきたからだ。

 

当然、民間人を見捨てるなどという選択肢を、この時点で選べる自衛隊員はほぼいなかったし、上役の責任者達もそうだ。

 

では、何故ここまで壊滅しているのか?崇高な使命を、不断の意志で行った勇猛果敢なる自衛隊が、何故?と問われると……、ここで明暗を分けたのは、まず、身体検査の徹底をしたかどうかだった。

 

ゾンビに噛まれた人間の死体は、ゾンビになる。

 

これは、すぐに周知された事実であった。

 

故に、避難民を裸にひん剥いて、噛まれていないかしっかりチェックしていた駐屯地は、パンデミック当日を生き残れた。

 

少なくない駐屯地が、なんだかんだと理由をつけて、噛まれたことを申告せずに避難してきた市民様のせいで崩壊した。

 

連中が口にしたのは、やれ、「人権侵害」やら「自衛隊の暴行」やら……。まあ、いつも通りの日本人様だ。

 

そして、次に起きたのは、政府の判断ミス……。

 

政府は、あろうことか、自衛隊員に対して「発砲を禁じた」のだ。

 

その理由は実に馬鹿げた話で、「市民に銃を向けてはならない」だの「まだ治る見込みがあるかもしれないので、捕縛すべき」だの、尤もらしい言い訳をしてきたが、とどのつまりは「選挙が近いから面倒ごとを起こすな」ということだった。

 

よって、武器を封じられた自衛隊員は、ゾンビを捕縛しようとしてしまったのだ。

 

そうして、被害は無意味に拡大した。

 

この状況から巻き返せた自衛隊駐屯地や警察署は、政府が言い残した「発砲禁止」という馬鹿げた命令を独自裁量を持って無視して、ゾンビへの発砲や殺害を部下に許可したところだけが生き残れた。

 

この横須賀基地も、馬鹿げた命令を繰り返し音信不通になった政府を早々に切って、部下に発砲の許可を出し、市民を救出しながらも、市民をよく統率していたからこそ、最初の二週間を生き残れた……。

 

とは言え、自衛隊には、無から有を作り出すことはできない。

 

食糧は早々に枯渇したので、自衛隊のボートで網を引いて魚を捕り、周辺のコンビニやスーパーを根こそぎ漁った。

 

だが、それでも。

 

自衛隊員含めて八千人ほどの人間を食わせていくのは、とてもじゃないが無理な話だった。

 

燃料の備蓄があるうちは、なんとかボートが動かせ、魚が多少は捕れる。

 

その魚は、小さな子供を優先に食わせているが、それでも尚足りない。

 

自衛官は、もう三日も何も食べていない。薬局を漁ったサプリメントだけで生きてきた。

 

平気そうな顔をしているあの千葉才人一佐も、それどころかトップの菊田栄太郎海将も、何も食べずに活動していたのだ。

 

 

 

そこに、薄ら笑いを浮かべながら現れたのが、ティフォン博士であった。

 

ティフォン博士は、多少の技術提供と、自分の作った生物兵器の捜索を条件に、食料の提供を約束した。

 

提供されたのは、グラウンドの檻に雑に詰め込まれた鶏が五百羽と、アンブロシアなる怪しげな木が百本だった。

 

鶏はまだしも、アンブロシアなる、南国の、見たことも聞いたこともないような不思議な木。

 

最初は警戒したが、空腹には勝てず、一人、また一人と木枝に齧り付いた。

 

するとどうだろうか?不可思議なくらいに身体に力が満ちたのだ。

 

4メートルほどの木に、人の足ほどもある大きな金色の果実が百個は実っている。

 

それをもぎ取って食べると、身体に足りていなかったビタミンが急速に補充された。

 

果実を保持するために、鳥の巣のように木枝が伸びている。

 

それを切り取って齧ると、官能的な甘みで、空っけつの身体に糖質が染み渡った。

 

野放図に生えた葉っぱ。

 

それを毟って食べると、強めの塩味と共に、葉物野菜のような滋養が身体に広がった。

 

根元付近の人の頭ほどもある沢山のコブ。

 

それを茹でて食べると、ねっとりとした芋のような甘みとタンパク質が身体を熱くした。

 

こうして、自衛隊基地の人々は、久しぶりに満腹になるまで食事ができたのだった。

 

「けど……、もう、木はあと三十本しかない……」

 

誰かがそう言った。

 

そう、確かに、今日一日は満腹になれたが、今後の保証がないのだ。

 

しかしそれは杞憂である。

 

禿山のように、根っこしか残っていないアンブロシアは……。

 

「な、なにーっ?!!」

 

再生したのだ!

 

定点観測カメラを早巻で見ているかのように、切られた幹から芽が出るように枝が生え、根のコブも再生し、五分ほどで実がなるまでに成長した!

 

この凄まじい光景を見て人々は、恐ろしさを感じたが……、それ以上に。

 

「こ、これでもう、餓えなくていいのか?!」

 

「明日も腹一杯食えるのか?!」

 

「す、すげえ!」

 

今後は餓えなくて済むという安心感の方が勝っていた……。

 

 

 

そして、次の日には、雑に作られた鶏舎に、山ほどの卵が産み落とされ、ヒヨコも何百匹か歩いていた。

 

自衛隊員は悟った。

 

こちらの鶏も、尋常なものではない、と。

 

自衛隊員は、すぐさま卵を拾い集め、アンブロシアの刻んだ葉と混ぜ合わせて卵焼きにして、避難民達に振る舞った。

 

また、成体の鶏も、既に鶏舎にぎゅうぎゅう詰めであるが故に、何十匹か解体して鉄串に刺して焼き、これもまた、避難民達に振る舞った。

 

そして、これらの鶏とアンブロシアは、この自衛隊基地の重要物資であり、宝として、厳重に管理されることとなる……。

 

 

 

それから一週間の時が過ぎ……。

 

「おーい、米播きたいんだけど、どこに播けば良い?」

 

トラックに篭るティフォン博士が、いきなり出てきてそう言った。

 

「これはこれは!どうしました、博士?」

 

千葉一佐が丁寧に対応する。

 

本来なら、憎むべきテロリストなのだが、食料事情を解決したこのティフォン博士を恨める人間は、ここにいなかった。

 

「だから、米!作ったの!」

 

「ええと……?」

 

「お前んとこの軍曹が、米がどうこうとか言ってたから、作ってきたんじゃろがい!」

 

「一週間で、新しい品種の米を……?」

 

「そうだよ!田を作るからどこに種まきすりゃ良いのか教えろよ」

 

「はいはい、ただいま!」

 

こうして、食料がある程度手に入った自衛隊基地は、段々と安定していった……。

 




世の中が世知辛い。
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