「なるほど……、『スターウェーブ』の方々を死なせるのは忍びないな」
博士は、そう言って顎をさすった。
「じゃ、じゃあ……!」
「だがしかし、えこひいきはできないな」
「そう、ですか……」
「もちろん、未リリースの『コスモスプレッター2』は、俺にとって黄金よりも価値があるのもまた事実だ。よって……」
博士が提示したのはこうだ。
ある程度安全な場所で、最低限のインフラを整えて引き渡すので、そこでゲームの作成を続行して欲しい、と……。
「で、でも、そんな環境じゃ創作意欲が湧きませんよ……」
これは、わがままかもしれない。
けれど、僕達はクリエイターとしてこれだけは断言できる。
最低限の環境だけ用意されて缶詰めにされては、良い作品はできない。
僕達は、取材の為に色んなところへ行き、有識者から話を聞いて、資料を買い集めて調べて、それで初めて、胸を張って世に送り出せる傑作ができるんだ。
僕がそう説明すると、博士はまたも悩みこんだ。
「ふむ……、確かに。俺も、『材料』は異なれども、諸君らと同じ『クリエイター』だ。現場に一生缶詰では、創作意欲が湧かないか」
……理解されたようだ。
少し、言いづらそうな顔をしながら、博士はこう口にした。
「これはまだ構想の段階なんだが……、いずれ、東京中に散らばるサバイバー達は、どこかに立てこもって『キャンプ』を作るだろう。少なくとも、そうなるように誘導するつもりだ」
「キャンプ……、ですか?」
「ああ。人間は群れを作らずには生活できない弱い生き物だからな。いくつかクエストをこなせば、特別なアイテムを与えてやろうと思っている」
「特別な、アイテム……?」
「俺は生物兵器の製作者でな。常識ではありえない生き物をいくらでも作れるんだ。例えば、『定電圧を発し続けるウミウシ』や、『水を吐き続ける亀』、『食べ物が無限に実る木』、『汚物を食うアメーバ』とかな」
それが本当の話なら……、インフラが本当の意味で使えるようになる?!!
博士の言う最低限のインフラとは、ちょっと発電機を置くとか、そういう話じゃないのか?!
僕も工業系だからその辺りのことは多少は分かる。
発電機なんて、それ単体で電気を無限に出すなんてあり得なくて、ガソリンや風力、太陽光などが必要なんだ。
ガソリンは当然、使えばなくなる。
風力や太陽光での発電は、風が吹いていない時、太陽が出ていない時は何もできない。
そして何より、定期的にメンテナンス……、整備補修の必要があるんだ。
けど、博士の言うインフラは……!
「つまり、メンテナンスフリーな生命体を使ったインフラ……、ってことですか?!」
「そうだ、メンテナンスなしで永遠に使えるインフラ生命体。そのセットをお前に与えよう」
す、凄い!
それは確かに、この崩壊した世界では、黄金よりも価値がある!
「それと、取引だが、レートは決まっていないから適当に……」
「は、はあ」
うーん、作れるものはすごいけど、それを運用するシステム構築は苦手なのかな?
……いや、待てよ?
なら……!
「あ、あのっ!」
「ん?どうした?」
「ぼ、僕は、絵が描けません!ストーリーもです!」
「はあ?それで?」
「ですが、システム構築はできます!」
「……ふむ、続けて?」
「先程、博士は、取引の値段が決まっていないとおっしゃられていましたよね?」
「ああ、そうだ。値段は決めてない。どうやって決めれば良いか分からないからな」
「でしたら、僕が決めましょうか?!情報さえいただければ、最良のゲームバランスを約束します!また、タッチパネルなどがあれば、それに買い物アプリを作って導入もしますし、依頼の管理機能も……!そ、それに、アップデートも継続してやります!」
そう、そうだ……。
この人は、この世界をゲームだと思っているサイコパス……。
なら、その世界を否定せずに、乗ってあげれば良いんだ!
幸い、僕は、このゲームスタジオのシステム面を一手に引き受けるプログラマーなんだから!
「素晴らしい!」
ほらね、やっぱりだ!
「『取引システムの構築』で一つ。『取引システムの電子化』で二つ。『依頼システムの電子化』で三つ……。そして『それらの継続的なアップデート』がまた別に一つ……。つまり、俺は、四つの何かをそちらに提供しようじゃないか!」
詳しい話を聞いてみよう。
「『コスモスプレッター』は、ゲーム販売サイト『STURM』において2015年に発売開始されて以降、二百万本の超大ヒットを記録した傑作だ」
そうだ。
コスモスプレッターは、宇宙の辺境に遭難したプレイヤーキャラが、辺境の惑星群を探索し、サバイバル生活をしたのち、最終的には宇宙船を作って辺境から脱出するゲームだ。
「スターウェーブはその他にも、『SAMURAIGAN』や『ワンダリングテイル』などの大ヒット作を複数作る、極めて名高いゲームスタジオだ」
これも、そうだ。
SAMURAIGANは、広大な世界を旅して、安住の地を見つけるなり、戦い続けて天下無双を目指すなり、目的が特にない冒険ゲーム。
ワンダリングテイルは、2Dドッドの世界の、ストーリー重視なRPGだ。
ありがたいことに、どれも百万本以上は売れてる。
STURMのアクティブユーザーは一億人で、十万本も売れれば大ヒット。
百万本のメガヒットともなれば、ユウチューバーは皆こぞってプレイして、MODも多数作られ、歴代ランキングに載り、数年間は話題に上がるだろう。
「未発表のコスモスプレッター2も、恐らくは百万本以上は売れるはずだったと見ていい。その価値は、本来ならいくつもの依頼をこなして手に入るはずの『基本インフラセット』に匹敵すると俺は思う」
そうして、博士のタブレットを見る。
『水を吐き続ける亀』、『食べ物が無限に実る木』、『急速に増えるニワトリ』、『汚物を食うアメーバ』……。
これらが、基本的なインフラ生命体らしい。
つまり、上下水道と、動物性のタンパク質、ビタミン類ということだろうね。確かに、それさえあれば生きていける。
「それに付け加えて、諸君らの仕事のために追加で『定電圧を発し続けるウミウシ』を無料で配布しよう。パソコンが動かないでは、仕事ができないだろうからな」
それに、電気を無料で追加、と。
「それと、ある程度安全なところまでの護衛も約束しよう」
なるほど。
「そして、三つのインフラ生命体と、一つの継続的サービスを選択してもらおう。……と言っても、目録などは作っていないので、こちらでおすすめを提示するが」
「おすすめ、ですか」
「ああ。と言っても、できる事が多過ぎて、『これ』と言ったものを上手く提示できるかは分からんけどね。まず、大別して、『戦闘力増強』『インフラ生命体』『食用品生産関係』の三つに大別できる」
理解できる。
自身が強くなることは、ゾンビを退ける第一歩だろうね。
たまにいる『強いゾンビ』を倒せるようになるだけでも、かなり違うはず。
インフラは……、あとは、ガソリンとか、瓦斯とかだろうか?必要かもしれない。
食品生産関係は、『急速に増えるニワトリ』のように、食べ物に関係するんだろう。
それは大事だ。
三つの何かと、一つの永続的協力……。
ううん、どうするか……。
あと十話くらいはゾンビものの書き溜めがあるんですよそーなんですよ。
次はどうします?
信じられないことに、既存作の続きの書き溜めは悲しいくらいに少ないぞ!
殺してくれ……。
多分読者は「これはお前が始めた物語だろ!!!」みたいな感じになってると思うが、肝心の作者はライナー顔して銃フェラして恋のマイアヒ歌わされてる。
助けてください。
今手元にあるのは、
プログラマ転生 40話
ライダーもの 10話
ソシャゲ転移 10話
TRPGものの続き 5話
田舎剣士の続き 5話
と、かなり少ない。
話数だけ見ると多いとお思いかもしれないが、一話三千文字前後だからね。少ないね。
もう死んでしまいたい……!
ストレスのあまり、坦々麺のカップラーメンと間違って味噌ラーメンのカップラーメンを買ってきてしまう始末!
もう俺はダメだ……、人間失格だ……。
ゾンビものの書き溜めが尽きたら、次はプログラマ転生で行きたいと思うのですが、これもなあ……。
無職転生、マジで読んでないんですが、今読んでみたら展開丸かぶりしててなぁ……!!!俺としてはむしろ、やる夫スレの、カズマしゃんが悪徳領主になろうとして失敗する話の方を参考にしたつもりなんだけどなあ!あとは某TRPGマンチ転生ものの作者さんが最近書いてる前準備転生とか。
なーんでこんなに被っちゃうんだ?やっぱり、テンプレを作り出した作品だということか?
うーん、うーん、怒られない限りはそのままで行きます……。
まあでも、主人公はちゃんと、いつも通りのゲス野郎なのであんしんあんぜん。
田舎剣士はなんだかんだ言って、自分の女を守ってやろうくらいの気概はあるし、TRPGおじさんも自キャラロールプレイしてるだけで人は助ける。
しかし、プログラマ転生の主人公はカスですよ。他人に喧嘩売ったり、論破したり、痛めつけたりして絶頂するキチガイ。
なんで僕の主人公はカスばかりなんですかねえ。
でも仕方ないよね、善人主人公とか言って、明らかに頭の悪い行動を連打されるとイラつくもの……。