三つの何かと一つの永続的協力……。
それを、博士に約束された。
それらについての説明を受けながら、僕達は千代田区の『皇居』に向かって進んでいる……。
その理由として、皇居は、門や堀があるので、籠城に最適だから……、と言うことが挙げられる。
まあ、アニメの受け売りだけどね……。
さて、それで……。
「まず、インフラについては、電気と上下水道があれば、最低限はどうにかなるとは思います」
インディーズゲームスタジオ、『スターウェーブ』の社長である僕、久保田星道はそう言った。
「そうだろうな」
ティフォン博士はそう答える。
「それで、強くなるとはどういうことですか?」
僕は、携帯ゲーム機を弄り回す博士に、そう訊ねた。
「まず第一に、『お前自身が強くなること』だな」
「僕自身が……?」
それは、つまり……。
「それは、何かこう……、投薬によって超パワー!みたいな……?」
「大体そんな感じ。ああ、安心しろ、副作用とかは特にないから」
「う、うーん……」
それは遠慮したい……。
強くなって安全確保はもちろん嬉しいけど、人間をやめるというのは、ちょっと……。
「その他に、『強いしもべを得る』というのもある」
「しもべ……、部下ってことですか?」
「ああ、そうだ。『実験体』は流石に無理だが、『量産体』なら良いぞ。『完成体』は……、まあ、要相談ってところか」
「ええと……?」
「まあ、つまり、ゾンビに対抗できる番犬とかをやるってことだ」
番犬……!
それは良いかもしれない。
「番犬って、どんな感じですか?」
「色々なパターンがあるよ。文字通り、犬型の生物兵器もあれば、飛行する人型とかもある。犬型がおすすめだな」
「性能は?」
「ドーベルマンを中心にオオカミの遺伝子を組み合わせた個体で、全長200cm、体重90kgほどの四足歩行実体。コストは一体につき1500USドルほど。飲食はほぼ不要、咬合力はイリエワニ並、走る速さは最大で時速150km、知能は人間で言えば十五歳くらい。そして最大の特徴は、半球睡眠により常に覚醒状態にあることだな」
えっ、普通にバケモノ。
「大丈夫なんですか、それは……?」
「ん……?ああ、ゾンビウイルス程度に感染はしないし、9mm弾くらいなら弾き、変異体ゾンビもものともしないぞ。もちろん、命令はしっかり聞くし裏切らない」
「い、いや、強さじゃなくって……、なんて言うか、倫理的に?」
「どうでもよくね?」
「アッハイ」
まあ、でも……。
変異体ゾンビ?って言うのはつまり、たまにいる強いゾンビのことだよね?
僕達が見かけたのは、ムキムキマッチョのやつと、走るやつ。
ムキムキマッチョのやつは、工事現場の鉄パイプを振り回していたし、走るやつは、かなりの速さで走っていた。
ムキムキマッチョのやつは明らかに勝てないから逃げたけど、走るやつには追い回されて大変だった……。
あれらと戦える存在ってだけで、かなり頼もしいんじゃないかな?
「みんなはどう思う?」
僕は、作画担当の武蔵野太君と、ストーリー担当の真島戒君に意見を聞いた。
「犬ですかな?良いんじゃないでござるか?拙者も、バール一本で戦うのには限界が見えてきてるでござるしな」
「あっ、それに、そのほら、アニマルセラピー?とかもありますしね……、ねえ?いや、嫌なら良いんすけどね?でもほら、三人だけだったし、ペットとかいると癒されるかな、みたいな。あ、いや、別に三人が嫌とかじゃないんすよ?ほら、一般論というか……」
うーん、みんな肯定的だな……。
「えっと、犬は、一匹ですか?」
「んー……、人数分やるよ」
三匹か……。
「じゃあ、一つはそれで」
「ん、用意しよう」
すると、博士はおもむろに、上半身を全裸にして……。
博士の腹部が泡立つかのように蠢く。
そして……。
「「「う、うわあああああああっ?!!!」」」
博士の腹が裂けて、そこから大きな犬が三匹飛び出した!
えっ、何これ?
怖い怖い怖い!
グロい!
何これ?!!!
博士の裂けた腹は、みるみるうちに塞がったし、生まれたばかりの犬は、羊水……、的な粘液を振り払って、三匹並んだ。
「あなたの子よ」
博士が何か血迷ったことを言ってるけれど、それを無視して僕は犬の方を見た。
犬は、並の大型犬よりも遥かに大きく、まるでステロイドを使ったボディビルダーのようにムキムキマッチョで、全身が黒い毛に覆われた、赤い瞳の大犬だった。
けれど、ゾンビ犬のような知性のない血走った瞳とは全く違い、その瞳には、訓練された兵士を思わせる冷たい理性の光が灯る。
口元も、普通の犬のようにだらしなく開いてはおらず、キリッと真一文字に結ばれている。
「い、いいっ今!」
戒君が博士の方を指差して狼狽えているけれど……。
「戒君、博士はもう、そういうNPCとして割り切った方が良いよ」
「そ、そうっすか?そうっすね……」
何というか、こう、突っ込むべきじゃないと思う。
虎の尾を踏む必要はないよね。
あとは、そうだな……。
「食べ物が無限になる木って、どんなのですか?」
「アンブロシア・シリーズって系統の……」
なるほど、葉っぱも茎も幹も根っこも果実も全部食べられる木か。
でも、それだけじゃ飽きそうじゃないかな?
「アンブロシア・シリーズなんですよね?他はないんですか?」
「アンブロシア・シリーズは、『ツリー』『グレイン』『プラント』『フルーツ』『スパイス』『シード』の六種類がある」
それなら……。
「グレイン……、ってことは穀物ですか?」
「あー、グレインはね、拳大の穂が実るんだけど、それを水100mlで練ってから焼くとパンになるんだよ」
主食か……、それは欲しいな。
「じゃあ、もう一つはそれで。あとは……」
僕がそう考え込むと……。
「おーい!おーい!」
「ん……?」
近くのビルから声が聞こえた。
「あなた達、人間ですか?!」
「あれは……!」
暖房つけまくってたら信じられんほど電気代かかったので、暖房節約したら風邪ひいた。
どうしろって言うんだ?