ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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なろうで書いてみようかな……。


2話 確認

「あのさー」

 

「コロセ!!」

 

「コロセー!!」

 

「ギギギ!!」

 

転生とか特典とか、よく分からんけどもね。

 

「いきなり森のど真ん中に放り込まれても困るんだわ」

 

しかも、なんか変なのに囲まれてるし。

 

ひーふーみーよー……、沢山だ。

 

……あれだな、これ。

 

十中八九、ゴブリンだよな。

 

なんかそう言うやつだよな。

 

参った、ファンタジーかよ。

 

「シネェ!!!」

 

「おい待てよ、まずは話し合いって危ねえ!!」

 

恐らくはゴブリンであろう緑の小人は、ボロボロのナイフを構えて、身体ごとぶつかるように突撃してきた。

 

幸い、速度はそれほどでもない。

 

身を躱すことができた。

 

「話せるってことは知能があるってことだろ?話し合いで解決しようぜ?」

 

「ギギギヒィ!!」

 

「ニク!!」

 

「クウ!!」

 

……駄目っぽいな。

 

特に武道の心得があるわけじゃないが……。

 

「蹴り倒すくらいなら……!」

 

そして、サッカーボールを蹴るように蹴りを繰り出したら……!

 

「ゲヒ」

 

「ってうおお?!脚が……!!」

 

触手になった?!

 

鞭のようにしなる脚は、とてつもない威力で、ゴブリンの上半身を弾き飛ばした。

 

結果、下半身だけ残して爆散するゴブリン。

 

「おいおいおい、エロ触手ってこれか?俺がエロ触手になるのか?!」

 

俺的にはアダルトゲームの悪の魔導師みたいにエロ触手を召喚するもんだとばっかり。

 

とか何とか思っていると、頭の中にふわっと使い方が浮かぶ。

 

「海神の蠕動……。触手を始めとする、水棲生物の化身」

 

「ガギィ!!!」

 

海獣の牙を手首から伸ばし、手の延長として扱う。

 

「ギ」

 

目の前のゴブリンの首を切り落とす。

 

グロい?

 

ああ、その辺は平気だ。

 

専攻は生命工学。生き物の死体は見慣れてる。

 

次、複数のゴブリンが四方八方から襲いかかってくる。

 

「はああ!!!」

 

「グゲ」「ギャ」「ゲギ」

 

先端に海獣の角を付けた触手を全身から伸ばし、複数のゴブリンの身体を貫く。

 

「ギギギ……」

 

遠くにいるゴブリンに対して、

 

「喰らえ」

 

酸を噴射する。

 

「ゴアァ」

 

骨も残らずドロドロに溶けた。

 

ふむ。

 

全滅だな。

 

この海神の蠕動……、どうやら、『身体から海に関する生命体の力を無制限に引き出す』と言う能力らしい。

 

地球の海ではなく、この世界の海であることがミソだ。

 

この能力を使うにあたって、使える海に関する生命体の情報が頭にインプットされたが、こりゃ凄い。

 

『エスメラルダス・ディープシー・ウォータードラゴンロード』は全長30キロメートル、数千トンの巨大ドラゴン。水のブレスは着弾点半径100キロメートルを圧壊させる。

 

『カオティック・バルトロメイ・モビーディック』は全長200キロメートル、数十億トンの鯨の化け物。体表はアダマンタイトの数倍の硬さ。

 

『ベルゼビュート・クラーケンロード』は100キロメートル、数億トンのイカ。筋力はオリハルコン合金をひん曲げ、墨には超級魔術のフルコンヒューズに匹敵する隠蔽力がある。

 

そんな化け物達の能力や特性、ステータスを無尽蔵に再現できる。

 

あれ?

 

これひょっとして。

 

「俺、強え?」

 

 

 

取り敢えず人里を目指そう。

 

サメ系統の魔獣の嗅覚を活かして人の生活圏の方に向かって進む。

 

「こっちに炭の匂いがするな」

 

炭の匂いがする方へ。

 

歩って数時間。

 

歩っていて気付いたが、疲れない。

 

これも能力の恩恵か?

 

回遊魚のように疲れ知らずだと?

 

分からんな。

 

すると、森を抜けて平地に出た。

 

そこには。

 

「村、だな」

 

小さな村があった。

 

今は午後、くらいか。

 

人は疎らだ。

 

仕事なのか……、それとも元から人口が少ないのか。

 

何にせよ。

 

「いや……、帰りてぇ」

 

まだクリアしてないエロゲあるのに……。

 

何でこんなとこ来てんだ俺。

 

「お、何だ兄ちゃん、見ねえ顔だな」

 

フラフラ村を歩いていたら、おっさんに話しかけられる。

 

「ん、こんちわ」

 

「おう、こんにちは!浮かねえ顔してんな?」

 

「あー、いや、ちょっと困ってて」

 

「どうしたんだ?」

 

「まずここ、どこですか?」

 

「道に迷ったのか?ここはサングリア王国の南のホブ村だぞ」

 

んー、予想はしてたが聞いたことなーい。

 

「俺は日本の神奈川県の南城大学大学院の……、って、分かる訳ない、か」

 

「大学院?ってこたぁ、兄ちゃん、学者さんかい?」

 

学者さん、つったらそうだな。

 

「そうだなぁ、俺ぁ学者さんだわなあ。けどまあ、ほら、なんか知らんけど、無一文でこんなところに放り出されちゃった訳よ」

 

「詳しくは聞かねえが、大変なんだな。じゃあ、今日泊まるところもねえのか?」

 

「ああ、うん。でもまあ、その辺で野宿すりゃいいでしょ」

 

「そりゃいけねえ!まだまだ夜風が冷たい時期だ、死んじまうかもしれねえぞ!」

 

それなんだが……、さっきから寒さを感じないんだよね。

 

極寒の海を行く海獣の力が働いているみたいだ。

 

「何か寒さとか平気っぽいし、食い物も……、多分何とかなる」

 

今気付いたんだけど、食い物になりそうな水棲生物も出せるっぽい。

 

「そうは言ってもな……。よし、今日はうちに泊まってけ!」

 

「え?良いんすか?」

 

あら親切。

 

「構わねえよ、独り立ちした息子の部屋が余ってんだ」

 

「……じゃあ、お言葉に甘えて」

 

田舎はあったけえなぁ……。

 




海神の蠕動
水棲生物の召喚、従属、再現。

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