ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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鍋の豚バラが甘くてうめえ〜!!!


63話 戦う愛人戦隊

案の定、何も起きなかった。

 

モンスター避けと結界二層、警報装置まであれば、モンスターも盗賊も近寄れない。

 

実際、クルジェスのジジイが、夜な夜な結界の外側にいる他の教師や先輩にこの結界を破らせようとしたらしいが、騎士の剣は当然弾かれ、魔導師の攻撃魔法すら弾かれたとか。

 

俺達は普通に寝ていた。

 

で、俺は早起きして、朝食の用意を始める。

 

いつものロングライフパンと、コンソメキューブと冷凍ベジタブルミックスで簡単なスープ。冷凍の大きなハーブソーセージも入れる。

 

それに、高熱殺菌したロングライフ牛乳(三ヶ月くらい保つ)にココアパウダーを溶かしたココアを淹れて、付け合わせにカマンベールチーズと自家製のピクルスを。

 

「これは……、豪華ですね!」

 

「まあ……!」

 

グレイスとドリルが起きてきた。

 

フランシスとユキはとっくに起きていて、朝の軽い運動をしている。教えてやったラジオ体操が素晴らしい!んだとさ。

 

何でも、軽く運動してからじゃないと調子が出ないのだとか。

 

野営であれば本来なら、エネルギーの消耗を控えて余計なことはしないらしいが、今回はもうこいつらもキャンプであるという認識になったみたいだな。

 

まあしょうがないか。モンスター避けの常時起動でモンスターは寄り付かないし、結界と警報で夜もぐっすりだもんな。危機感もなくなるさそりゃ。

 

エイダ?エイダは俺の隣で料理の手伝いをしてるよ。

 

何だかよく分からんが、エイダは俺が起きると五秒以内に必ず起きるからな。どうなってんだろうねこの子?

 

まあ、常に一緒に寝ているから、と言うのもあるか……?

 

……その辺は良いや。

 

とにかく、朝食を摂ってから、森に突入する……。

 

 

 

森では、クルジェスのジジイの指示により、モンスター避けの魔導具をオフにした。

 

戦わないと点数がつけられないそうだ。

 

じゃあ戦ってやろうか。

 

「時にエイダ。かつて、『召喚魔法』についての開発をしていたのを覚えているか?」

 

「はい!……と言うか、私も今日、スフレを連れてきてますよ?」

 

そう言ってエイダが指笛を吹くと、立派な毛並みの白狼が飛び出してくる。

 

かつてエイダに与えた『従魔』のスフレだ。

 

スフレはどうやら、陰ながらエイダを護衛していたらしい。

 

口元には、ホブゴブリンの腕が咥えられている。

 

「それなんだが、最近俺思ってさ。『別に生物である必要はなくない?』って」

 

「え?でもエグザス様は、前に、『摂食ができない非生命体型従魔は、エネルギー補給の面で生体型に劣る』って……」

 

「そう!そうなんだよ。けど、それの解決方法を見つけてだな……」

 

「そうなんですか?」

 

「ああ。野良のモンスターに『ゴーレム』っているだろ?あいつら、どうやってエネルギーの補給をしているのかなーって観察したら……、なんと、スリープモード中に地脈からエネルギーを吸い上げているところが見つかったんだなこれが!」

 

「なるほど!それってつまり、『竜脈』から直接ってことですか?」

 

「いや、竜脈の余剰エネルギーたる地下発散魔力を吸い上げてるっぽいんだよな。だから、俺はそれを応用して……」

 

俺は、懐のタブレットにパスコードをタップした。

 

その瞬間……。

 

『見参。モード:待機』

 

「こいつを作り上げた訳だ」

 

大きさ2mほどの、人型ロボットが飛んできた。

 

名は、フェルマー。

 

フェルマー1号だ。

 

鋭角なデザインに鋭い爪、尖った爪先、ウイング状の飛行ユニット……。

 

手持ち武器はなく、手首からのマジックアローとバイザーアイから照射されるガンマ線レーザー、爪から発生するポジトロンブレード、そして何より圧倒的なパワーとスピードが特徴か。

 

まあ当然、勝負にならない。

 

オーガ!

 

エリート騎士と同等の戦闘能力を誇るオークよりも更に数倍の力を持つ無敵のモンスター!

 

赤い頑丈な表皮は生半可な剣や弓を弾き、その剛腕は一撃で牡牛の首をへし折る!

 

魔導師なしでは、プレートメイルでフル装備したエリート騎士十人が命を捨てなければ敵わないという、凄まじいモンスター!

 

……そのオーガの頭が、片手で握りつぶされた。

 

うん、ごめんね。

 

これ一機で国を滅ぼせるんだ。

 

「きゃあーーー!!!」

 

お、フランちゃんが悲鳴を上げた。

 

いつものだ。

 

ん?いや、違うなこれは。

 

「かーーーっこいいーーーっ!!!!」

 

あ、はい。

 

「ねえエグザスっ!アレ何?!凄くカッコいい!私にも頂戴!」

 

あー?

 

なるほどね。

 

フランちゃん、ああいうの好きなのね。

 

 

 

無論、フランシスも、ユキも、グレイスも、今まで努力をしてきた。

 

単に、俺の愛人として可愛がられているペットではないのだ。

 

秘密結社アウロラの幹部たる能力がある。

 

「行くわよ!『《フォートレス・システム》 ラン』!」

 

フランちゃんは、まず、要塞展開の魔法で、ごく小規模な要塞を顕現させる。

 

単に、鋼鉄製の盾を展開して、小型のトーチカのようなものに閉じ籠るだけだが、鋼鉄のトーチカは大抵の魔法を通さない。

 

そして。

 

『《クレヤボヤンス》 ラン』

 

透視の魔法でトーチカの外を見通し。

 

『《ファイア・コントロール・システム》 ラン』

 

火器管制の魔法により、弾道計算などを自動化。

 

「装填!」

 

複数の砲弾が、トーチカの周辺に待機するかのように舞う。

 

「そしてロックオン!」

 

視界内のモンスターに……。

 

「斉射!」

 

鋼鉄製の弾丸を叩き込む!

 

まあ、うん。

 

普通に強いんだよね。

 

要するに戦車みたいなもんだからこの子。

 

この世界の魔導師じゃ、大体は潰される。

 

俺が教え込んだ火器管制の魔法のお陰で、得意の砲撃魔法の精度は何倍にもアップしたからな。

 

今までは感覚で大砲を撃つだけだったのが、ロックオンするようになったから、遠距離からの偏差射撃とかできるようになった。これはかなりデカい。

 

更に、弾頭は回転させて、その上で砲丸ではなくロケット状に進化しており、威力は段違いだ。

 

フランシスの最大の利点は、『処理速度』にある。火器管制システムのような負荷の大きい演算を行えるのは、生まれ持った才能だろう。

 

「ユキ・ザンゲツ!いざ参る!『《コンゴウヤシャ・タイケイ》 ラン』!!!」

 

ユキは近接型だが、負けないように工夫するようになった。

 

緑色の粒子でできた、剣を持った四本の腕。更に複数の口と瞳。

 

先に言おう。

 

ユキの優れた点は、ご察しの通り……。

 

『《カザキリ》 ラン』

『《カザキリ》 ラン』

『《カザキリ》 ラン』

 

並列思考だ。

 

マルチタスク、というものだな。

 

これにより、口や眼、腕を増やして、それぞれを扱うという気狂いじみた行為をするのが、この女の強みだ。

 

おまけに、単純な魔力による身体強化も練り上げており、少女の肉体からオークのようなパワーを発する。

 

群れで襲いくるシャドウパンサー……黒豹のモンスターも、一人でいなしている。

 

黒豹の群れに襲われて殺し返す女の子って何だよ。怖。

 

一方、グレイスは。

 

「行きます!『《メモリー・コピー》 ラン』!」

 

教会で聖女と持て囃されていた彼女の特技は『回復魔法』……。

 

しかし、回復と言っても、肉体の情報を溶かして均一に再配置することにより、傷だけを塞ぐという稚拙なもの。

 

教会はこんなカスみたいな術式を神の奇跡呼ばわりしてるんだもん、お笑いだよね。

 

……あー、まず前提。

 

この世界はプログラム、『情報』でできている。

 

だから、人体を『情報』という、まあつまりは素粒子のような単位に一部だけ変換して、それを均一に再配置することにより、外傷を塞ぐ。これが教会流回復魔法。

 

で、一方。

 

俺が教えた回復魔法が、対象の過去のデータを読み込んで、今の対象に上書きして治す、というもの。

 

これなら、怪我だけじゃなくて病気も治るし、失血や部位欠損もどうにかなる。

 

……もうお分かりだろう。

 

『《メモリー・ペースト》 ラン』

 

つまりは、間違ったデータを上書きする。

 

その辺の死体のデータを読み込み、生きている対象に上書きするのだ。

 

つまるところ、外傷のコピー……。

 

それも、防御不能な。

 

グレイスがこんな術式を使いこなせるのは、グレイスという存在そのものの『容量』が大きいからに他ならない。

 

三人それぞれ、良いところがある訳だな。

 

顔で選んだ訳じゃない。

 




ウィザードリィ風世界もの、16話まで書けた。
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