ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

1332 / 1724
体調わるわるー。

今日誕生日なんだがー?


武装JKとゲーム化した地球で生存戦略
1話 農家


巡る、巡る。

 

記憶が巡る。

 

———「皆川君さぁ、この人手不足の中で休むとか言わないよね?有給?それは名目上だけで……」

 

———「えー!皆川さん……、環介君ってお医者さんなんだー!すごーい!年収いくらくらい?!年収は?!学歴は?!介護が必要な親とかもいないんだよね?!」

 

———「今日は早上がりだから酒でも飲みに行こうか!んん?皆川君、駄目だよ帰っちゃ!コミュニケーション取らなきゃさあ!」

 

「う、がああああっ!!!」

 

俺は怒りの叫び声を上げながら覚醒し……。

 

「……夢か」

 

夢だったと自覚した。

 

時計を見ると六時少し前。

 

農家の俺は、起床してもいい時間だった……。

 

 

 

今は初夏、ここは埼玉。

 

秩父の奥側にある限界集落、その名も「山中村」である。

 

「おう、遅いぞ、環坊!」

 

「うるせーよ待場のじいさん」

 

「収穫の九月はもうすぐじゃぞ!今のうちに山田のじいさんと山に行っとくれ」

 

「最近猪が多いんだろ?」

 

「そうじゃ、仕留めてこい。貴重な肉じゃて」

 

「猪肉なんざ食い飽きてるし、豚肉の方がよっぽど美味いんだよなあ」

 

「何を言うんじゃ!食えるだけありがたいと思わんか!ワシが子供の頃はなあ……!」

 

「あーはいはい、後でな。仕留めた猪は解体して待場の婆さんに渡しゃ良いんだろ?」

 

「おう、味噌ができたからな、味噌漬けにして明日食うべ」

 

「そりゃ良いな」

 

俺は、三十四歳のおっさんで、この山中村で農家をやって暮らしている。

 

近くに住む待場の爺さん婆さんや、酪農家の山田さん、ブランド鶏の専門家真田さん、米農家の望月さんなど、平均年齢六十五歳ほどの空間でスローライフしていた。

 

今のように、こうして、山から降りてくる猪などの面倒ごとはあるが、それでも、医者などというクソみたいな仕事よりはよっぽどマシだ。

 

俺は、槍とハンマーを持って山へ向かおうとした……、その時のことである。

 

グラグラと、強めの地震が起きた。

 

流石に、家屋が倒壊するほどではなかったが、家の瓦が落ちたり、ヒビが入ったりするレベルの大きな地震だ。

 

「おおっ……、でかい地震だったな。大丈夫か爺さん?腰は抜かしてないか?」

 

「カーッ!馬鹿にするんじゃないわい!このくらいの地震なら何度も経験あるわ!良いから環坊は猪の退治じゃ!」

 

「分かったけどよ……、あ?」

 

 

 

《パラダイムシフト……、完了》

 

《ハロー、ワールド》

 

《これから、この世界は変化します》

 

脳内に無機質な、機械音声のような音が響く。

 

「爺さん」

 

「んお?何じゃこれは?何ぞ聞こえるのお」

 

どうやら、俺だけじゃなく、爺さんも聴こえているらしい。

 

《全人類に『ステータス』と最低一つの『スキル』を配布します》

 

《『ステータス』は資源獣を倒すと微増し、『スキル』は、ボス資源獣の『魔核』を使用することで強化されます》

 

《また、地域ごとに存在するボス資源獣を討伐することにより、その地域は資源獣から解放されます》

 

《ステータスとスキルは、『ステータスオープン』と宣言することにより閲覧可能です》

 

何だこりゃ……?

 

ゲームか何かなのか?

 

《資源獣は、『世界の意思』に改変され、知的生命体を襲います。資源獣を倒して、資源を得てください》

 

《資源獣は、資源獣の持つ力か、私達があなた方に与えた力のみで倒せます。同時に、既存の人類のシステムは破壊されます》

 

《『世界の意思』は、資源獣を恐ろしい魔獣へと変じさせましたが、その性質から必ず倒すことは可能となっています。知恵を絞って、力を奮ってください》

 

《私達には、これが精一杯のサポートです。どうか、人類種の存続を……》

 

その一言と共に、謎の声は聞こえなくなった……。

 

「意味わかんねーな」

 

「環坊、猪!」

 

「あーはいはい、行ってくる」

 

 

 

「何だこりゃ」

 

山に行き、罠にかかっていた猪を始末するのだが……。

 

『ブルル……!』

 

その猪は、いつもの倍くらい大きくて、色も黒かった。

 

「……まあ良いや、とりあえず始末するか」

 

害獣には変わりないしな……。

 

山のヌシとか、そんなんだろ。

 

とりあえず、大型のスレッジハンマーで、脳天をぶん殴り、気絶させる。それから安全に槍で仕留めるのだ。

 

『プギイイイッ!!!』

 

医者として散々人間をバラしてきた過去がある俺は、今更、猪を殺すくらいで何とも思わん。

 

だがしかし、デカいだけあってしぶといな……。

 

ハンマーで何度もぶん殴る。

 

そして、気絶した黒猪の首を、槍で貫く。

 

そこからどくどくと血が流れていき……。

 

『……プ……ギ』

 

死んだ。

 

するとその時。

 

《レベルが5上がりました》

 

《ボス資源獣を討伐しました。『山中村』を解放。拠点コアに触れてください。触れない場合は二十四時間後にボス資源獣がリポップします》

 

「はあ?」

 

また、脳内に声が響く。

 

意味が分からん。

 

とりあえず、解体するか……。

 

 

 

解体すると、心臓から石が出てきた。

 

「何だこりゃ?生物学的にあり得んだろ?」

 

俺は、その石を握ると……。

 

しゃり、と。

 

砕けてしまった。

 

「んん?砂糖細工みたいな感触だな。崩れちまった」

 

崩れた石は、光の粒子になって消える……。

 

《魔核を砕きました。スキルレベルアップまで、後三つです》

 

また、脳内に謎の声。

 

完全に意味が分からんな……。

 

この黒猪の肉は、食って良いのだろうか……?

 

とりあえず、あとでパッチテストと、うちの飼い犬に食わせてテストしてみよう。

 




屍山血河をちいかわって呼ぶの草。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。