ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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ラーメン食うかー。


5話 力量

都市部へ向かう。

 

都市部には、より強いモンスターが出るとのことだったが、だからあえてそこに向かうことにした。

 

田舎には流民が押し寄せてくる。

 

かと言って、都市の中心部は危険過ぎる。

 

なのでその中間……、東京ではなく埼玉南部辺りを目指したい。

 

人が避難して少なくなった土地で、また農業をやって暮らそうと思う。

 

土を変換すれば畑を作れるので、畑の心配は不要だ。

 

どこか人気のないところで、畑を耕して暮らすのだ。

 

 

 

「陸奥」

 

「ワンッ!」

 

飼い犬の陸奥は、どうやら無事だったようだ。

 

陸奥と言えば、あの黒猪……。

 

あれこそがモンスターだったんだな。

 

あの猪の肉を食わせれば食わせるほど、陸奥は少しずつだがムキムキになっていったし、変だとは思っていたのだが……。

 

しかし陸奥は元からかなりムキムキだったし、ついでに頭も良いからあまり気にしてなかったが、やはり異常だったのか。

 

まあそれは良い。

 

俺は、陸奥からリードを外す。

 

「ワウ?」

 

「陸奥、言ってもわからないかもしれないが、この村は終わりだ。俺はこれから旅に出る。お前も来るか?」

 

「ワンッ!」

 

通じたのかどうかは分からないが、陸奥は俺に身を寄せてきた。

 

陸奥はかなり身体が大きいし、ハクビシンくらいなら仕留められる奴だ。そのくらいの野生の力がある。

 

俺と共に行くのが嫌なら、ここで別れてもいい。山犬として生きていけるはずだ。

 

そう思ったのだが……。

 

どうやら、ついてきてくれるようだ。

 

 

 

俺は、大型のリュックサックを背負い、自宅を黄金に換えて、陸奥と共に旅に出る……。

 

リュックサックを背負う理由は、丸腰で旅などしていたら、おかしいと思われるからだ。

 

能力は隠す方向でいくと決めている。

 

しかしそれを言うと、まだ荷物は足りなく感じる。

 

先程のクソガキ共は、大型のバイクに乗って来ていたみたいだからな。

 

乗り物に乗って移動していて、更に略奪することが前提なら、荷物はあまり持たなくて良いだろう。

 

だが俺は、ある意味では無限の資産を持つ訳だから、略奪する必要性はない。

 

略奪者のような軽装だと、周囲に要らぬ誤解を与えるかもしれない……。

 

話によると、学校や駅などが避難所になり、そういうところに人がたくさん集まって共同体になっているとか。

 

少数チームの略奪者は色々大変だとか、そう言う話も聞いた。

 

略奪者は、徒党を組めば役得が減り、少数ならば各個撃破される。悲しいなあ。

 

狩猟民族が廃れて農耕がメインになった理由をちゃんと考えなきゃ駄目じゃないか。

 

さて……、となると車か?

 

だが、ガソリンの出所を疑われそうだ。

 

もうそろそろ、都市部のガソリンは無くなってきているところだろう。

 

馬でもいれば、馬車でも……、いや、車体が用意できないか。

 

……用意できないのか?

 

俺は、黄金の腕輪の一部を、馬車に『変換』しようとしてみた。

 

結果……、できてしまった。

 

どうやら『変換』は、俺が構造を知らないものでも造れるようだ。

 

なら、生き物はどうだ?

 

……できてしまった。

 

流石に人間は作るつもりはないが、牛を一頭作れてしまったぞ。

 

この牛はどうやら、村にいた乳牛のクローン体のような感じだと思われる。

 

村にいた牛と見た目や模様が全く同じだ。

 

因みに、本体は死んでいる。ガキ共に殺されたみたいだ。

 

……つまり、擬似的な死者蘇生ということか?

 

いや、それは違うか?

 

生物の代謝システムからして、数ヶ月で肉体の細胞は全て入れ替わるものだ。

 

その前提からすれば、肉体が分解されて再構成されるのは……。

 

……やめておこう。

 

そう言う話は生命倫理の話になる。

 

俺の分野じゃない。

 

使えるならそれで良いだろう。

 

そんな訳で、馬を創造する。

 

村全ての富を黄金に圧縮して、黄金が五キログラム足らず。

 

それを更に圧縮して、輝く黄金……、仮称『ヒヒイロカネ』を50g前後創り出した。

 

それを腕輪にして装備。

 

その中のほんの数mgを使って、駄馬を造った。

 

ああ、駄馬というのは使えない馬という意味ではなく、荷運び用の馬という意味だな。

 

名前は……、そう、疾風(はやて)としておこう。栗毛の若い馬だ。

 

ルーフのついた小さな荷馬車を牽かせる。積載量は1.5トンと言ったところか。

 

俺と陸奥は歩きでそれと並走する。

 

丸腰は流石にアレだったので、黒猪を殺すのに使っていたハンマーを腰に差して武装した。

 

さあ、出発だ。

 

 

 

で、だ。

 

早速、その辺にモンスターを発見。

 

小型のクマのような、クズリのような何かだ。

 

『ゴアアアッ!』

 

仮称、『子熊』は、鋭い爪を振り回しながら、俺に襲い掛かってきた。

 

攻撃は直線的なので、冷静に回避して、まずはハンマーで一撃。

 

『ギャッ!』

 

かなり硬い手応えだったが、仕留められたみたいだ。

 

ふーむ……。

 

俺は試しに、別の子熊を素手で殴ってみた。

 

「ふんっ!」

 

『ヂニャ』

 

すると、ハンマーを使うよりもよほど楽に殺せてしまった。

 

ハンマーの威力は50%くらいだが、素手だと100%くらいの威力が出ているな。

 

次は試しに、『変換』のスキルで攻撃してみる。

 

『ギ』

 

……一瞬だった。

 

スキル攻撃は、モンスターへの攻撃力が200%くらいにはなっているんじゃなかろうか?

 

というより、そもそも、俺の身体能力が上がり過ぎじゃなかろうか。

 

恐らくは50%の威力なのにもかかわらず、ハンマーを片手でぶん回しただけで、小型とは言え熊の頭蓋骨を陥没させるとか、いよいよもって人間やめてるな……。

 

なんかよく、襲いかかってきた熊を投げ飛ばした!みたいな話がよくあるが、実際のところ、野生の獣と人間が戦えば普通に勝ち目はない。

 

武器を持って鎧を着込んで、それで初めて勝負になるかどうかというレベルの話だ。

 

文明の中で頭脳労働がメインの人間と、野生の世界で常に生きるか死ぬかの戦いをしている獣達……。

 

どちらの方が強いかなど自明だろう。

 

そう、人間が勝てる訳がないのだ。

 

例えパンチ力が倍になったとしても、俺は素手で熊を殴り殺すことなんてできない。

 

いや、できなかった。

 

だが、現にできてしまった……。

 

ステータスに示された力量は105をマークしている。

 

人一人の力量がどれくらいなのかが分からないため何とも言えないが、他にもデータとして、村に攻めてきたクソガキを、パンチ一発で殺害したという実績もある。

 

人間というのは脆いようで意外と丈夫だ。

 

少なくとも、人間が人間の腹パン一撃で即死!なんてのはそうそうない。

 

人間を殺すなら、鈍器でとても強く肝臓などを打つか、それとも、何十回も全力で腹を殴るか……。そうでもしないと内臓破裂などにはならない。

 

しかしあの時は、一撃で、物理的に腹がぺしゃんこになるほどの威力が出せた。

 

つまり俺の膂力は、猛獣のそれに匹敵するほどまで強くなっているのだろう。

 

まあ要するに。

 

「……これ、武器を持つ必要、あるか?」

 

ということだった。

 




もうマジで気温カスでほんと困る。

体調死んでる。

もう四月やぞ、気温一桁マジやめろ。
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