俺は、モンスターを倒してレベルを上げつつ、モンスターを黄金に変換して稼いでいた。
途中で何人かの人間と出会ったが、ほぼ全てが出会い頭に襲いかかってきたので殺した。
誠心誠意頼めば、少しだけなら資材を分けてやっても良いくらいには思っているのだが……。
礼儀を知らん奴はこれだから困る。
そんな時に、女子高生の砂鷹さんと待場さんのコンビが再び現れた。
……『変換』は見られていないようだ。
もっと気をつけなきゃならないな。
もちろん、今までも、『変換』を使うときは人目のない町外れでやっていたのだが、これからはより一層気をつけたい。
屋内はどうやら、モンスターの巣になっているらしいので、近寄らない。
『変換』は、大きな建物の陰などでやっているので、誰にも見られてはいないはず……。
屋内や開けた場所にいるボスモンスターを倒すのはやめておいた。
勝てるかどうか分からないからな。
いや、多分勝てるとは思うが、命懸けで戦うほどにレベルとやらに飢えていない。金も充分にある。
で、女子高生コンビだったな。
「先生っ!」
「こんにちは、砂鷹さん、待場さん」
「あ、こんにちは」「こんにちはです」
お、偉い。
ちゃんと挨拶できる子はいい子。
「何か用かな?」
「それは……、あうぅ……」
いきなり、顔を赤く染めて立ちつくす砂鷹さん。
うわ言のように、「こども……、こづくり……」などと言っている。
「どうした?大丈夫か?」
医者としての習性からか、反射的に触診してしまった。
熱だろうかと思い、額に手を当ててしまう。
冷静に考えてセクハラか、ヤバいな。
職業病って怖い。
「ひゃん♡」
「え?」
「あ……、その……、ん……♡」
震えながら目を閉じて、キスを待つかのように顔をこちらに向ける砂鷹さん。
んー?
えっ、何それは?
いや……、その……、違うよな?
「あーっと!ちょっと良いですか?!」
お、待場さんが割り込んできた。
「あの、皆川さん。お願いがあるんですが……」
つまり、女子校に来て色々と教えてほしいとのこと。
うーん……。
「もちろん、対価はしっかりと渡します。とりあえず、私達、物資調達チームが今まで集めた資材の二割をお渡しします。そして、高校に滞在して指導と医療活動をしていただけるなら、その期間中ずっと、毎週、集めた資材の一割をお渡ししますので……」
おお、そりゃ凄いな。
前に話した感じだと、女子校には総勢で五百人前後の学生がいるらしい。
それら全員が、何かしらをやって働いているそうで、それの一割となるとかなりデカいんじゃないか?
報酬を出すので働いてください、雇われてください、というのは、至極真っ当な話だ。
それに、砂鷹さんの顔を立ててやりたい気持ちももちろんある。
「も、もちろん!週に二回はお休みしてくださって結構ですし、私達が作るものでよければ食事も出します!嫌になればそちらから契約を破棄してくださっても大丈夫です!」
その瞬間、俺の脳裏に蘇る記憶!
———「医者に休日はない!家に帰れるなどと思うな!病院の名声を第一に考えろ!」
———「皆川君、緊急オペだ。食事中?そんなもの切り上げてすぐに来たまえ!タクシー代?アホか君は?!そんなもの、出る訳がないだろう!!」
———「皆川!お前、辞めるだと?!お前が辞めたら深夜帯の緊急時にどうすれば良いんだ!みんなに迷惑だろうが!!」
「ぐおおおおおっ!!!」
思わず、怒りの声を上げてしまう俺。
「ひいっ!」
怯えてしまう待場さん。
あー……。
「ああ、すまない。辛いことを思い出してしまった……。契約内容に問題はないよ、できれば、後で書面を用意してくれ」
「え、あ、はい!」
良心的な契約だしな。
他所でこれ以上の厚遇は望めないだろうし、砂鷹さん達のところで世話になろうか。
杉之浦女子高校。
女子校なだけあって、塀が高い。
門の前には、何故かライフルを持つ女の子が門番として立っていた。
ライフル……?
何故そんなものが……?
もしかして、スキルか?ライフルを作り出す、みたいな……。
俺のように『変換』みたいな反則的な能力があるのだから、ライフルを作り出す能力とかがあってもおかしくはないな。
それを言えば、待場さんも拳銃を持っているが……。
てっきり、威嚇用のエアガンとかだと思っていたんだが、こんな世界じゃ本物でもおかしくないな。
撃たれたら流石に死ぬだろうし、変なことはしないように心がけよう。
ん?
門番以外にも、何人かいるな……。
なんか話しているな。
……「うわえっぐ……!何アレ?!マジなイケメンじゃん?!」
……「信じられないレベルのイケメンですわね」
……「えぇ……?アタシもあんまり男に興味はないけど、アレになら抱かれてもいいわよ……」
……「ってかデッカ……。嗣葉よりデカい人初めて見た……」
……「だから言ったじゃん!皆川さんはイケメンだって!」
……「いやそれは、ひかりんの思い出補正だとばっかり……」
……「酷いよ会長!」
……「ってか本当に医者なのアレ?!ベリウッドスター系のイケメンだよね?!」
……「だから、そう言ってたじゃん!」
……「いや……、あれは……、だってもう完全に、私の最推し俳優である『ジェイソン・モア』にそっくりだもん……。ひ、ひかりーん?先生のこと好きになっても良いかなー?」
……「だ、だめーっ!」
よく分からんが、なんだかイチャイチャしている……。
うーむ……。
「あー、すまない。良いだろうか?」
茶髪をボブカットにしている、赤縁メガネの女の子に話しかける。
恐らくはこの子がリーダー的存在だろう。
何となくだがそんな気がする。
「ほげぇ!声も激渋じゃん……」
「は?」
「あえっ?!あ、ああ、えーっと……、こんにちは!私、理絵って言います!お付き合いしてくださいっ!」
はあー?
なんか知らんが、茶髪さんに告白されてしまったぞ。
俺、おっさんなんだがなあ……。
「あー……、ありがとう、気持ちは嬉しいよ」
俺が苦笑いを返すと……。
……「こいつやりやがったですわよ!」
……「リンチだ!」
……「何やってんの?!ねえ何やってんの?!!」
……「おいコラ!計画立てたのお前だろ?!何で自分でぶち壊してんだおい!」
……「おたすけー!」
……「あっ!光がフリーズしてる!」
……「あーもうめちゃくちゃだよぉ!」
うーむ……、女子高生とはよく分からんな。
ぐげえ!マジで書けない!
面白文章が書けない!
時間がない!
何で人間って労働をしなきゃならないんですか?
もう正直、労働とか週三回とかでいいでしょ。
バブルの頃のサラリーマンは、パソコンもメールもエクセルもない世界で働いてた訳じゃん。その効率って、今と比べれば何分の一とかじゃん。
つまり、今の何分の一くらいの仕事の成果で、家族全員食わせていけるくらいに稼げていた訳じゃん。
じゃあ、パソコンやら集計ソフトやらができた現代は、バブルの頃の仕事の成果の何倍も出せてる訳じゃん?
それなのに、家族も食わせていけないくらいにしか稼げないとか、もうこれおかしいじゃん!
マジでもう、コンビニとか深夜に開いてなくていいし、座ってスマホ弄りながら接客されてもいいし、ちょっとくらい不便になっても全然いいから、もっと肩の力抜いて働き過ぎないようにしない?