死のう。
カス共が攻めてきた。
既に正門は落ちており、乱戦が始まっているようだ。
既に、交戦している女子高生が何人か殺されていた。
死んでいる。
遠目であるから定かではないが、少なくとも、頚椎をへし折られて生存できる人間はいないだろう。
もしかしたら、スキルによっては不死の存在もいるのかもしれないが、あの有様では死んでいると俺は断言するね。
こうもなればもう仕方ない。
問答をしている暇はない。
俺は、即座に鋼のメイスを創り出して、それを振りかぶり踏み込む。
そして、手近なカスの脳天を、思い切り強く殴りつけた。
奴らの頭が柘榴のように弾け、クリーム色の脳漿がアスファルトにぶちまかれる。
それだけじゃ間に合わないな。
俺は即座に、女の子に取り付いて、女の子を「食っている」カス共に、遠隔で地面を『変換』して、石の針で貫いて殺した。
「け、怪我人を運んで!」
そんな時、捨矢さんが指示を出す。
この混沌の中でそれをできるのは、素晴らしく冷静である証だ。
だが、それはいけない。
「怪我人には触れるな!トリアージだ!」
俺は叫ぶ。
怪我人に不要な衝撃を与えるのはよくない。
気道確保の後、トリアージをしてもらいたい。
その為に、前に教えたのだ。
俺は、乱戦に参加しながらも砂鷹さんに医療用の鞄を投げ渡した。
中には、トリアージ用のテープや包帯、消毒液などが入っている。
「分かりました!皆!」
砂鷹さんは、俺の意図を理解して、素早く行動を始める。
全く、素晴らしいな。
抱きしめてキスしてやりたいくらいだ。
そんな立派な人間達に対して……。
「ぎゃいいああ!!!」
吠える猿のような奇声を発しながら、ゴブリンの錆剣を無茶苦茶に振り回すカス共。
こいつらはクソだ。
無茶苦茶に刃物を振り回せば近付かれないとでも思ったか?
「馬鹿が」
俺は、手元のメイスを思い切り投げつけた。
「ぺきゃ」
衝撃で五体が弾け飛ぶ……、何だったか?アーラシェ・カマーンギールだったか?
まあ、叙事詩が書かれるような英雄は、もうこの世界にはいないだろうよ。
あるのはただ、「ヒト」だ。
この世界は「ヒト」に満ちている。
例えモンスターに埋め尽くされようとも、だ。
善もあり、悪もあり……、いや、善悪や道徳という尺度そのものがヒトのそれだ。
笑えるな、俺は「ヒト」が大嫌いなんだ。
特に、こう言う「ヒトモドキ」は、喜んで殺せるくらいにな。
「ハ、あぁッ!!!」
メイスを大きく振り抜く。
俺は力には自信があるが、武道なんて碌にやったことがない。
だからそこに技量なんてものは一切ないのだが……。
「あ……がぺっ!」
相手も同じだ。
真に人なる人間ならば、智恵と技を以って猛獣すら征するが……。
ヒトモドキも俺と同じ、力任せに振り回すだけ。
そして、力なら。
力の強さなら、俺は負けない。
メイスは、カス共の脳天を潰すどころか、股下までペシャンコにした。
余波で地面にヒビが入る。
「がアアアアアッ!!!!」
吼える。
「ひ、ひいいっ!!!」
「来るナァ!クルなああっ!!!」
「わあああああっ!!!」
「ォ俺のォ……!俺の日常を壊したな!日常を壊すものは……、平穏を壊すものは……、皆壊れてしまえ!!!!」
怒り。
そうだ、怒りだ。
もう、俺はここにはいられない。
捨矢さん達の幹部には殺人をカミングアウトして許されたが、今ここにいる大勢の一般生徒達の目の前で殺人を犯したし、『変換』も見せてしまった。
殺人者は受け入れられないし、『変換』のこともバレてしまっては……。
安住の地を見つけたと思ったのに……。
許せん……。
殺す。
「『超速変換(ミダス・タッチ)』!!!!」
俺は、長大な黄金の棍棒を創り出して、それを横薙ぎに振るう。
その薙ぎ払いに触れたカス共は……。
「「「「ギィッ!」」」」
身体から黄金の光が漏れて、ブラックホールに圧縮されているかのようにバキバキと異音を立てながら小さくなり……。
チャリ、と。
数枚の小さな金貨に姿を変えた……。
ああ……、やっちまったなあ……。
とりあえず、治療をするか……。
マジでメンタルも時間もない。
一日が二十四時間って短過ぎない?三十六時間くらいにしておかない?