バーベキュー、ってか、ほぼパーティーだな。
肉とか焼いて、ケーキ焼いて、女共に食わせてやった。
訓練をこなしたし、これくらいの役得は良いだろう。
まあ、本人達は、俺に抱いてもらうのが一番好きとのことだが。
金もくれてやったが、使い道がないと受け取りを拒否。
打算も何もなく、ただ愛により従っているようだ。
それなりに厳しい訓練を課したが、文句ひとつ言わなかった。全ては旦那である俺の為、だそうだ。
それが一番分からんのだがな。
愛と言う感情はイレギュラーだ。何が起こるか見当もつかない。
愛故にという理由で俺に牙を剥くならば、その時は。
殺してやるからな。
飯だが。
全員がモンスター娘、食事量は多い。
マリーは食う必要がないらしいが、味は分かるらしく、甘味やコーヒーを欲しがる。
他の奴らはみんな雑食。
カーネは犬人間なのに、玉ねぎやチョコレートを平気な顔で食べていた。アクアは身体に食品や飲料を流し込むと美味しいと言いながら消化する。
……まあ、モンスターだからな。
「ごぽぽ、紅茶、紅茶」
「肉うま」
「けーきぃ……、うへへぇ」
さて、これから兵隊集めに動くか。
と、言ったところ、何故か反対する馬鹿女共。
なんなんだこいつらは一体。
「な、何が不満なの?ご飯はいくらでもあるし、お金だって安定して稼げてるし、住むところだってあって、夜にはお酒を飲んで、エッチもできるんだよ?!」
「それがどうした」
「とっても素敵な生活じゃん!ずっとこのままで良いじゃんか!」
「馬鹿か、お前。ああいや、馬鹿だったな」
「……え?」
「戦争屋が戦争しないでどうするんだ?えぇ?俺は戦争がしたいんだよ」
「せん、そう?」
そうだ、戦争だ。
「だ、駄目だよ!死んじゃうかもしれないんだよ?!」
「それが楽しいんだろォ?」
死ぬかもしれない?上等だ。
テメエの命をベットして回すルーレットだぜ?最高に燃えるだろ?クハハ。
「前線でも戦えるような兵士を用意しなきゃな」
「やだよぉ〜!」
「転移術式があるから、定期的に帰ってきて、業務連絡を確認するつもりだ。二度と会えない訳じゃない」
「……そうなの?」
「だがしかし……」
……「おい、聞いたか?!この街の近くにダンジョンができたらしい!!」
「暫くはここから離れないだろう」
ダンジョン……。
マリーから話を聞いたところ、迷宮のことらしい。中にはミノタウルスがいて、アリアドネの糸を標に帰るのか?と聞いたが、ミノタウルスは主に平原に生息、アリアドネの糸はダンジョンから脱出するためのマジックアイテムで市販されているらしい。
訳が分からんが……、つまり、トラップとモンスターに溢れる迷宮、らしい。
そんなものに何の意味があるのか、と思ったが、どうやら、内部には宝があるらしい。
らしい、らしいと、肝心なことは分からないのだが。何せネットワークも何もないこの世界、情報を集めるのにも苦労する。
マリーが生き字引と言えるほどの知識を有していたから、それを聞いただけだ。
そして、ダンジョン内で死んだ生物はダンジョンの養分となり、新たな魔物と罠を作り出す、と。
ふむ、面白い生態だ。ダンジョンとは即ち、チョウチンアンコウや食虫植物のようなものか?
とか、そんなことを考えつつ冒険者ギルドに顔を出す。
情報が欲しい。
そのダンジョンとやらは、積極攻略なのか維持なのかを知りたい。
……ああ、ダンジョンには段階がある、そうだ。小さな規模であれば、恩恵も小さいが、比較的罠もモンスターも大人しめ。そういったダンジョンは維持され、管理される。
逆に、巨大になり過ぎて、内側からモンスターが溢れる、街のど真ん中など都合が悪い所にできた、となると積極攻略となる。
積極攻略では、ダンジョンコアと言われる水晶を破壊する、即ち、ダンジョンそのものを破壊するということ。
だがしかし、このダンジョンは、ジョージアの街という、少し田舎ながらもそれなりに大きな街から歩いて二、三日といった、非常にオイシイ所に存在する。
となると……。
「おい!先遣隊が帰って来たぜェ!!ダンジョンは15階層を超える大型ダンジョン!ひょっとしたら30階層行くかもなぁ!その上、宝箱もわんさかあるし、魔物も高く売れるやつがいるそうだ!」
「国からの指示だ!維持ダンジョンになるそうだぜ!!」
「こりゃあ、忙しくなるな!この街も賑やかになるぜェ!!」
荒くれ者の冒険者諸君は今日も元気いっぱいのようだ。
「よお」
「「「「ひっ」」」」
「どれどれ、情報は……、と」
新しいクエスト……、依頼を見る。
ダンジョンのお陰で依頼は多い。
「白い閃光だ……」
「白い閃光……、まだこの街にいたのか……」
「クソ、白い閃光め……、俺達の仕事を奪うのか?」
……冒険者は、一定ランク以上になると、何故か異名がつく。
何故かは本当に分からないが……、異名から何をするのか大体分かるのが良い、らしい。
例えば、雷光のゼーベス。そいつは、雷の魔法を使うらしい。
例えば、二つ牙ルルシャ。そいつは、二本の短剣を使うらしい。
例えば、氷雪剣モンシア。そいつは、氷の剣を使うらしい。
まあ、そのように、分かりやすい異名を以ってプロフィールとするのが冒険者流とのことだ。
確かに、前の世界の俺の部下にも、業界で、妖怪(ヤオグアイ)と呼ばれた中国人や、死神と呼ばれたフランス人、赤い雨と呼ばれたドイツ人などがいたな。
なんか、つまり、そういうことなんだろう。
納得しておく。
そう、それで、俺の白い閃光という異名は、銃を使った時のマズルフラッシュと、俺の、白に近い灰色の瞳を表すのだろう。
奇しくも、前の世界と同じ異名だった。
冒険者達からは、不思議な魔法を使うやべーやつだと恐れられている。
いやあ、ちょこちょこと絡まれるもんで、その度に半殺しにしてやっていたら有名になってしまった。
少しは骨のある奴がいるか?という選別の意味もあったんだが、どいつもこいつも駄目だな。
一度半殺しにされたらビビって近づいてこなくなる。
ここで、何度も突っかかってこれば、根性を認めてスカウトするし、素直に師事したいと言えばこれもまたスカウトする。
だが、こいつらはビビって遠巻きから見つめるだけだ。
これじゃ、敵前逃亡が関の山。
うちの馬鹿女共より使えねえだろうよ。
ダンジョンに行ったり、店を見たりしつつ、ダンジョンに釣られて集まってきた冒険者を選別する。
そんなことを繰り返していたある日。
「へへ、邪魔するぜ」
「ここがジョージアの街の冒険者ギルド?なかなか良い雰囲気ね!」
「む、失礼する」
「ニシシ、広いねえ、田舎は良いね」
「お邪魔するでござるよー」
へえ。
骨のありそうなのが来たな。
犬、蛇、馬、鳥、蜘蛛。
初見ではそれだ。
犬。青い髪をざっくばらんに伸ばし、青い瞳は猟犬のように鋭い。肉体の動きを阻害しない程度の革鎧と、両手剣。うちのカーネと同じように、手足が青い毛に覆われていて、足の関節は犬の後ろ足のよう。手は、犬の手を無理矢理人の手に当てはめたような、歪な五本指。
蛇。上半身は、耳が長く、頬に鱗があること以外では、赤毛の長髪の顔も容姿も整った女だが、下半身は赤い蛇だ。水着のようなブラと、パレオのような腰布。どちらも良い布であることが伺える。杖を持っていることからして、魔導師だろうか。
馬。こいつは見れば分かる。ユニコーンだ。下半身は白馬で、上半身は白髪ロングの人型、額に角がある。プレートアーマーにランスとタワーシールド。面白いな、所謂重戦士か。
鳥。これは、ハルピュイア、か?結ばれた短めの黄色い髪、縦に割れた猛禽の瞳、両腕は黄色い鳥の羽、足も鳥の爪。革製のぴっちりと身体に張り付くブラと短いズボン。魔法なのか何なのかでふわふわ浮いている。航空力学的に、その身体じゃ飛べないはずなんだがな。
蜘蛛。背中から蜘蛛脚、額に目のようなものが複数、瞳も赤い複眼。黒い忍者風の服装で、髪も黒く、東洋人風の顔つき。背中に忍者刀、小道具を持ち歩く。
「俺達は、このジョージアの街の近くにできたダンジョンに潜る!誰か、腕に覚えがある奴はいねえか?!」
犬が吠える。
「そうねえ、この辺には、白い閃光、って言う凄腕がいるらしいじゃない?出てきなさいよ」
と、蛇。
「同じBランクだしぃ、使える人だと良いんだけどぉ。キシシ」
鳥が囀る。
「下手に人数を増やすのもな……」
馬が口を出す。
「もともと寄せ集めでござろう。一人増えたところで変わらないでござるよ」
蜘蛛が締める。
さて、お呼ばれしちゃったなァ?
「……俺が、白い閃光だ」
名乗り出てやるか。
モンスター娘ものって大抵逆レじゃないですか。
俺はそれが嫌でして。