ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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肩痛めた。


49話 狂女

「はい、これでよし。一週間くらいで抜糸できると思われるので、その時はまた来てください」

 

「ありがとうございます……」

 

春前のある日。

 

俺は、保健室で怪我人の治療をして過ごしていた。

 

農業指導と医療活動の二足の草鞋は、大分忙しいが、やり甲斐がある。

 

それに、このコミュニティ唯一の医者であり、農業指導者である俺は、非常に地位が高いので尊重されていた。

 

「……さて、光。どんな感じだ?」

 

「これで良いと思う……んだけど」

 

そう言って、俺は、光の手元を見る。

 

うむうむ、若い子は覚えがいいな。

 

いや、ステータスの向上も要因の一つか?

 

光の目の前にある「人間の腕」は、綺麗に縫合されていた。

 

「でも、驚きましたよ。環介さんのスキルって、人間の肉体も出せたんですね」

 

そう、俺の『変換』のスキルだ。

 

それにより、人間の死骸を出して、医学生よろしくそれを教材にし、光を中心に十数人程度の女子高生達に医学を叩き込んでいる。

 

「ああ。恐らくは、生きている人間も出せそうだが……」

 

「それはその、なんか怖いので……」

 

「分かっている、流石の俺にも最低限の倫理観はある」

 

「で、でも、これなら移植手術とかもできそうですね!」

 

「理論上は可能だが……、それは君らがもうちょっと育ってくれないとな。助手もなしに臓器移植なんてできんよ」

 

「じゃあ、頑張ります!」

 

「ああ、そうしてくれ」

 

とはいえ……、もう全員、注射のやり方くらいは理解してくれたので、かなり助かっているんだが。

 

 

 

そんな俺は今、保健室を光に任せて、翠と共に農地に向かっていた。

 

普段、午前は農業指導で、午後は五時まで保健室で待機するのが俺の仕事だ。

 

五時上がりは早いのでは?と思うだろうが、農業指導の為朝は早い。

 

そして急患の可能性の為に、休憩時間を多くとっている、というスケジューリングになっているのだ。

 

決して、サボっている訳ではない。

 

しかしまあ……、問題があると、何かと呼び付けられてしまうのだ。

 

それは仕方ないか。

 

俺は、この女子高生達に唯一信頼されている大人で、対外的には俺がリーダーのような扱いだからな。言わば宰相か?

 

「どうしたんだ?」

 

俺は、田んぼの前の人だかりに割り込んだ……。

 

「だーかーらー!田んぼをちょっと分けてって言ってるじゃん!ちょっとでいいんだよ?!なんで聞いてくんないの?!あーしの話聞いて!なんで聞いてくんないのー!」

 

人だかりの真ん中で叫ぶのは、染められた金髪……が伸びてしまって、頭頂部が黒くなってしまったプリンのような頭の女だ。

 

年頃は女子高生くらいで、耳に大型のピアスがあり、吊り目でギザ歯のギャルだな。

 

「何事だ?」

 

俺が前に出る。

 

「あ!おじさんがここの偉い人?偉い人だよね?ここって女の子しかいないのに何で男がいるの?それもおじさん!おじさんって偉い人だよね!」

 

「偉いと言えばそうだな。皆川だ、よろしく」

 

「あーしは新丸平良(にいまるへら)。アンタに頼みがあるんだけど、もちろん聞いてくれるよね?!あーしのお願いだもん!あーしは、ビジンだし、みんな言うこと聞いてくれるし、おじさんとかにも好かれやすいんだー!」

 

ふむ……、名乗るなら、まあ、話くらいなら聞いてやるか。

 

「お願いとは?」

 

「畑、ちょっと分けてよ!畑が欲しいの!田んぼも!田んぼと畑の違いがよく分かんないけど、とにかく欲しいの!」

 

ふむ……?

 

「どういう意味だ?」

 

「あーしは、霧島大学のチームの一人なんだけど……」

 

なるほど、霧島大学も農業をやりたいから、畑がほしいんだな。

 

とは言え……。

 

「だが、今までこの辺を耕してきたのは俺達だ。タダでやることはできんよ」

 

「でもさ、もう持ち主がいない畑なんでしょ?誰のものでもないんだから、ちょっとくらい分けてくれても良くね?ケチなのはダメだよ、おじさんはやっぱりお金持ちじゃないと!まあ、もうお金とか使えないけどさ。でも、あーしはやってないから分かんないけど、パパ活?とかやってる子はおじさんは太っ腹だって言うし、気前がいい方がかっこいいと思う!」

 

まあうん、それはそうなんだが……。

 

「そうだとしても、使えるように整備したのは俺達なんだよ。若い子には分からないかもしれないが、畑ってものはちゃんと定期的に整備しないとすぐにダメになってしまうんだ。それを、多大な労力を払ってまた使えるようにしたのは俺達なんだ」

 

「ん〜……、つまり、ダメってこと?あーしのお願いなのに?あーし、可愛いよ?お願いしてるのに?」

 

「そうなるな。だが、交渉ならば受け付けるつもりだ」

 

「コウショー?コウショーって何?ああ、なんかと交換ってこと?!なんか欲しいの?んじゃ、あーしを抱いていいよ〜!それじゃダメ?あーしはそういうのやったことないけど、気持ちいいことならしてみたいな!」

 

んん……、まあ……。

 

「君の身体に価値がないと言いたい訳じゃあないんだが……、君達がどれほどの団体か分からんがとにかく、集団レベルの食料供給源を軽々しく受け渡すことはできないな」

 

「……なんで?なんで!なんで!!!」

 

何だこの子は?

 

子供のような癇癪を……。

 

……いや、これは違うな。

 

「ちょっといいか?」

 

俺は、新丸……ん?新丸?俺の古い知り合いも新丸という人が……、まあそれはいい。

 

とにかく俺は、この新丸平良という女の子を診察しようと近づいた……。

 

が、迂闊だったな。

 

「あーしの!!!言うことを!!!聞けええええええええええ!!!!!!」

 

「ぐあっ?!!!」

 

瞬間、新丸の腕がグンと伸びる。

 

触手のようにしなるその腕が、俺の首に巻き付いた!

 

い、いかん!動脈が締まる……!

 

意識が……!

 

「うぅうゔう……、あああああああっ!!!!!!」

 

「環介さーーーん?!!!!」

 

遠く、なる……!

 

 




書けねー……。

ほぼ毎日更新続けてもう何年だ?三、四年くらい?

かなり頑張ったよな俺……。

もうゴールしたいところだけど、人生に明確なゴールはないので走り続けるしかない。
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