ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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あちゅあちゅ!

暑い!死ぬ!


22話 憐れな、親を求める稚児が如く

「パパ、パパ……」

 

俺に抱きついて、父を求める甘えた声を出すシーリス。

 

寝言のようだが、深層心理では寂しがっているのかもしれない。

 

貧乏くさい捨て犬のような女だし、ご家庭の方がアレなのかもしれんな。

 

まあ、めんどくさいので首は突っ込まんが。

 

NPCイベントは、首を突っ込めば突っ込むほど鬱シナリオにメンタルをボコられるからなあ。

 

ん?いや、この世界のシナリオならマシかもしれんな。

 

ちょっと聞いてみてもいいか。

 

そんなことを思いながらぼーっとしていると、ララシャ様が話しかけてきた。

 

「捨て犬を拾ったか」

 

と。

 

「お嫌でしたか?」

 

「いや、構わんさ。お前の好きにしろ」

 

「俺はララシャ様に従いますよ」

 

「ああ、我が剣よ。私は、お前の旅路を見つめていたいのだ。お前が選んだ道を見たいのだ。私の傀儡にはなるな」

 

えぇ?

 

「確かに私は、強く美しいお前が私に甲斐甲斐しく仕える様を眺めるのが好きだ。だが、この腑抜けた世界でお前がどう生きるのかも見てみたい」

 

ふむ……。

 

「月並みな言葉だが、お前には幸せになってほしいのだ……。お前はもう、休んでよい。もう、辛い思いをせずともよいのだ。私はそう思う」

 

「ララシャ様……」

 

「折角、苦痛のない世界に来たのだから、しばらく人間らしく生きてみろ」

 

「はい、ご厚意に甘えさせていただきます……」

 

 

 

朝。

 

「んぅ……、ふああ……、おはようございます」

 

「パパって何のことだ?」

 

起きたシーリスに、早速訊ねる。

 

「ふぇ?」

 

「甘えた声でパパと呟いてたからな」

 

「んにゃ?!も、もうっ!」

 

彼女は、ぷいと顔を背け、恥ずかしそうに、呟くように言った。

 

「……私にはパパがいないんですよ。私が子供の頃に、病気で死んじゃったらしいんです」

 

はあ、なるほど。

 

「ママも、私と弟達を養うために働くばかりで、親に甘えたことがあんまりなくて……」

 

「で、俺に甘えてきた訳か」

 

「う……、その、嫌でしたか?」

 

「どうでもいい。抱きついてパパと呟かれるくらいなら実害がないしな」

 

抱きついて狂気ゲージを蓄積してくるカスゴミエネミーとかなら即殺だが。

 

マジでどうにかならんかあれ……。

 

かと言って、抱きついてチョークスリーパー決めてくるとか、抱きついて脳味噌啜ってくるとかならセーフとかそう言うアレはないが。

 

「じゃ、じゃあその……、もうちょっとだけ、甘えてもいい、ですか?」

 

「好きにしろ」

 

「はいっ!」

 

俺の膝の上で保存食を齧るシーリス。

 

「えへへ、ぬくぬくです。よく眠れました、ありがとうございます」

 

やっぱり人肌の温かさは安心しますねえ、などと言いつつ、水で濡らした布巾で顔を拭き、口を濯ぐ。

 

そして、朝日が地平線から顔を出した頃。

 

「さ、行きましょう!」

 

と、シーリスは立ち上がった。

 

 

 

そんな風にシーリスを介護しながら移動して、森の奥へ。

 

何故か知らんがシーリスはいやに俺に懐いており、森の中だと言うのに警戒心皆無で俺の服の裾を掴み、よく分からないことを喋り続けている。

 

「それでですねえ!最近は王都の方で、ヨシヤ王の若い頃の冒険を小説にした冒険小説というのが流行っていてですねえ!私も子供の頃、近所の友達に借りて読んでて〜……」

 

俺は抜刀した。

 

「ふぇっ?!ど、どうしたんで」

 

『キシャアアアッ!!!』

 

そう、木の上からデカい蛇が忍び寄っていたのだ。

 

が、俺が気付かない訳がなく。

 

「死ね」

 

『ギエエエェ!』

 

一刀両断、仕留めて終わった。50ホーン。

 

「わああっ?!!敵が来たんなら言ってくださいよぉ!!!」

 

「言っても無意味だ、お前には反応できないだろうからな」

 

余計な情報を与えて予想外の動きをされるくらいなら、黙っておいて行動をコントロールした方が楽だ。

 

「それでもほら、心構えできるじゃないですか!」

 

「できても死ぬ時は死ぬぞ」

 

「と、とにかくっ!次からはちゃんと言ってくださいね?!」

 

なるほど。

 

「じゃあ、さっきからずっと敵に囲まれていることも言った方が良いか?」

 

「………………は?」

 

「お前がアホ面を晒して寝こけている時にも、三度の襲撃があったぞ」

 

「……え?マジですかそれ?」

 

「ああ」

 

「どうやって追い払ったんですか?」

 

「ボウガンで敵のリーダーを狙い撃った」

 

「た、助かったあああ!!!」

 

胸を押さえながら息を吐くシーリス。

 

「そう言えば、他の冒険者の人達が、『モンスター除けのお香』がどうとか言ってたような気がしますもんね?!見張りなし、火も焚かず、森の中で寝るとか、どう考えても自殺行為ですよねぇぇぇ!!!」

 

「は?今更か?」

 

気づいてるもんだとばっかり……。

 

「気付いてたんなら言ってもらえますゥッ?!!!!」

 

「いや、まともな脳味噌してれば気付くだろう?夜の森が危険なんて白痴でもわかることで……、あぁ……、申し訳ない……」

 

「何ですかその申し訳なさそうな面はぁ?!!私が白痴よりもアホだと言いたいんですか?!!!」

 

「自覚があるのか?進歩したじゃないか」

 

「きぃー!ムカつくーーーッ!!!」

 




田舎剣士ィー!

書いてます。

政治なんて一ミリも分からんのに、何で政治フェーズなんて挿入したんだ俺は……。
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