ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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感想謝謝茄子。


13話 リィンの供述

私は、ホブゴブリンのリィン。

 

昔は、盗賊の真似事をしてその日暮らしをしていた悪者だった。

 

けど、今は違う。

 

とっても素敵なご主人様に拾ってもらって、色んなことを……、お仕事のやり方を、身を守る術を教えてもらい、今では、ご主人様のお店の『ビストロ・グリーズ』のオーナーだ。

 

訓練は厳しかった。

 

ご主人様は本当に強くて、カッコよくて、優しい、最高の人。

 

お料理も戦いも魔法も勉強も、何でもできちゃう凄い人。

 

それと比べて私は、弱くて馬鹿で、魔法も勉強も駄目駄目。

 

でも、料理だけは上手いって。

 

私は、ご主人様にとって、使えないんだと思うと、悲しくて胸が締め付けられる。

 

せめて、エッチの時は、ご主人様をいっぱい気持ち良くしようと頑張るけど、ご主人様は凄いから、いつも私ばっかり気持ち良くされちゃう。

 

沢山ずんずんされて、私はご主人様を喜ばせようとする前に変になっちゃうの。

 

うー。

 

唯一褒めてもらった料理を活かして、今はお店で頑張っているけど……。

 

ご主人様が本当に欲しいのは、優れた人間だ。

 

いや、人間でも、魔人でも、モンスター娘でも、ご主人様は差別しない。

 

ご主人様が求めているのは、マリーやピトーネみたいに賢い人、グラースやウーノみたいに強い人だ。

 

私、いらない子なのかなあ。

 

でもね、ご主人様に聞いてみたらね。

 

……「馬鹿を言うなリィン。お前は大切な俺の部下だ。お前は俺の為に命を捨ててくれるんだろう?俺はその忠義と愛に必ず報いるとも」

 

って笑って言ったの。

 

もちろん、私はご主人様の為なら、幾らでも、命でも、何でも捧げる。

 

ご主人様は、それだけで嬉しいんだって言ってくれた。

 

やっぱり、優しいなあ、ご主人様。

 

 

 

そんな優しいご主人様に、少しでも何かお返しがしたいと思った私は、ビストロ・グリーズでのお仕事を頑張った。

 

でも、頑張り過ぎると面倒になると言われたので、適度に手を抜きつつ、頑張った。

 

どうやら、ご主人様が普段食べさせてくれるような料理は、この世界の王侯貴族でも食べられないご馳走らしい。

 

事実、お姫様らしいウーノも、食べたことがないくらいに美味しいと言っていた。

 

そんな気はしていたけどね。

 

流石はご主人様だ、王様のご飯より美味しいものを食べさせてくれるなんて。

 

私みたいなのにこんな美味しいものをくれるだなんて、器の大きさが違う。

 

やっぱり、ご主人様は本当に凄い人だ。

 

さて、それで。

 

ビストロ・グリーズは、本日も満員だ。

 

「キシシ、注文はトマティアのパスタの大盛りと水だな?」

 

「おおよ、頼むぜ」

 

「こっちは串焼肉をくれ!ハーブでだ!」

 

「美味えなあ!この店は街一番だぜ!」

 

ダンジョンの発見により、冒険者が増えたこのジョージアの街は、どんどん人が増えて、街も拡大することになったそうだ。

 

人が増える理由は、ダンジョンという資源が見つかる。そして、資源を確保する者(冒険者)が集まる。すると、冒険者向けの店舗が集まる、というようになっているらしい。

 

私にはよく分からないけれど、兎に角、最近は街でも沢山の人を見かけるようになった。

 

街の人達は、外から人が沢山来たから、お店が儲かるって喜んでる。

 

ビストロ・グリーズが儲かれば、ご主人様に沢山お金を渡せるから、私も嬉しいな。

 

それで、料理なんだけど。

 

私達は、『武器庫』へのアクセス権限レベル3を持つから、食材なら無限に出せる。

 

つまり、元手はゼロ。

 

凄い。

 

そんな訳でメニューは。

 

まず、串焼き、ハーブ入り腸詰め、ハーブ燻製。

 

全部猪の肉だ。

 

本当は、豚肉とか牛肉とか、もっと美味しい肉があるけど、それは美味し過ぎるので出さない。

 

ランクが低い猪の肉で良いそうだ。

 

それでも、バーベキューソースをかけた串焼肉は大人気だし、ハーブ入り腸詰めと燻製は良い香りだとかなり売れる。

 

どれも、一本につき、銅貨3枚で売っている。

 

ご主人様が言うには、大体、一本50gくらいだそうだ。

 

本当に人気で、何か他のメニューを頼むついでに、この三つを頼む、と言う人がかなり多い。

 

次に猪肉のスープ。

 

ガリクの根、ご主人様的にはにんにくと、ローリエと言うハーブを使った塩味のスープ。

 

具は、猪肉と、キャベッジに似たキャベツ、キャロリアに似たニンジン、オニオに似たタマネギ、それとメークインの根……、ジャガイモという美味しい野菜をじっくり煮込んだ塩味のスープ。

 

私にとっては、シンプルでちょっと味気ないかな?と思うけど、それでも美味しいスープだ。

 

うーん、コンソメを入れるともっと美味しいと思うんだけど、コンソメは画期的だからダメなんだって。

 

でも、それでも、この街一番に美味いスープと言われている。

 

たまに、ジャガイモについて聞かれるけれど、メリカの方から取り寄せた野菜だと言ってある。

 

ご主人様が言うには、芋は飢餓を救う物凄い食べ物で、痩せた土地でも育つらしい。そんなものがあると知れたら、有力者がこぞって手に入れようとするだろうから、秘密なんだとか。

 

黒麦に少し白麦を混ぜた粉を練って作ったパン二つと一緒で、銅貨10枚だ。

 

そして、この店の目玉の、串肉に続くもう一つは、パスタだ。

 

トマティア……、トマトのパスタに、ペペロンチーノ。

 

パスタはそもそも、それなりの高級品だ。なぜなら、白麦を沢山使うからだ。普通のパンなどに使われるのは、安い黒麦が基本だ。

 

それが、銅貨30枚という、比較的安い値段で食べられるのは、この店の人気の理由の一つになっている。

 

それだけじゃなく、そもそも、パスタは、チーズをかけて、香辛料や砂糖をかけて食べるのが基本だった中、トマティアの酸っぱいソースや、オリブの油の塩っぱくて辛いソースは今までにないもので、かなり注目されている。

 

デザートには飴とキャラメル、アプルル……、りんごの蜂蜜漬け、黒麦クッキー、黒麦パンケーキがある。

 

飴とキャラメルは、持ち帰る人が多いかな。両方とも、大きめの一粒で銅貨5枚。

 

一年は保つということから、冒険者の人達が、ダンジョンでの非常食にと沢山買って行ってくれる。

 

後は、お小遣いをもらった子供が、銅貨を握りしめて買いに来ることも。可愛いなあ。

 

アプルルの蜂蜜漬けは、アプルル一つ分で銅貨30枚。

 

パンケーキは、生地に、干したグレプの実を混ぜ込んだもので、素朴な甘さのするパンケーキだ。蜂蜜も少しかけている。

 

値段は銅貨30枚。

 

クッキーは、蜂蜜を練りこんだ黒麦のクッキーで、銅貨20枚。持ち帰り可能。

 

それと、銅貨5枚でハーブティーも出している。

 

ハーブティーは、ここでしか飲めない名物で、特にエルフや女性のお客さんに人気。

 

何種類かハーブの組み合わせがあるので、飲み比べて、自分の気に入った組み合わせを探す人が多い。

 

お酒も売っている。

 

赤白両方のワイン……、それなりの等級のもの。それとエールと、蜂蜜酒だ。

 

特に、エールは良く冷えていて最高だと言われる。

 

どれも一杯につき、銅貨5枚だ。

 

一日の稼ぎは、銀貨数十枚分ってところかな。

 

 

 

今日の賄いはカレーライスだ。

 

ピリ辛で美味しい、とろみがあるスープを、白いライスにかけたもの。

 

とても美味しい食べ物だ。

 

隣の、ハーブや塩を売る、グリーズ商店のエーバーと店員のロッソ、カーネ、アクアを呼んで、お店を閉めて、みんなで、交代で食べる。

 

「おっ、今日はカレーライスか!」

 

「わーい!」

 

「キシシ!」

 

いつもなら、みんなでご飯の時間だが……。

 

「くんくん、この匂いは?!美味そうだ!どけ、平民!貴族であるこのボーモン男爵様にその料理を寄越すのだ!!」

 

「あ、ちょ、ちょっと!」

 

無理矢理、店に押し入ってきた男の人が、カレーライスを食べてしまった。

 

「おほー!こ、これは美味い!なんて美味さだ!!よし、決めたぞ、ここの料理人を私専属の料理人として雇ってやろう!ありがたく思うがいい!」

 

「え、ええーーー?!!」

 




息抜きに書いているはずが大分続いてるしプロットもガバガバだがあるにはある。

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