味わって食べてください。
そしてお腹を壊してください。
1話 クラス転移……ってコト?!
スクールカースト、という言葉がある。
例えばアメリカでは、身長180cmを超えるマッチョのハンサム・ガイで、アメフト部のキャプテンが「ジョック」と呼ばれ、クラスの中心となる訳だ。
カーストというと、我々日本人に馴染みのない言葉で、ともすれば野蛮と思えるが、人と人との関係、社会の構造から「階級」というものを取り除くのは不可能だからなあ。
この学校のこのクラスでも同じだ。
私立鷹桐高校、二年一組。
ここにも、スクールカーストは確かにあった。
「サン=ピエトロ大聖堂新築のために贖宥状を販売した教皇は誰か?では今日は……」
「おっすー!」
俺は普通にバリバリ遅刻して、四限の後半に教室に入る。
「おっすじゃないぞ阿字(あじ)!もう四限だぞ?!」
世界史の藤村先生はそう言ってキレる。
「ハハッ、そうキレんでくださいよ藤村センセ。ハゲますよ?」
「気にしてるんだから髪の話はするな!……よし、折角だ。阿字!この問題、解いてみろ」
「んー、レオ10世ですね。レオ10世は3代の教皇の収入を1人で食いつぶした。先代ユリウス2世の蓄えた財産と、レオ10世自身の収入と、次の教皇の分の3人分を……でしたか?」
「はぁー……、これで成績が良いんだから、怒るに怒れないんだよなあ……」
「ははは!まあまあ!ほら、うちって寺院でしょ?色々やることが多くてですね、家庭のジジョーってことでここは一つ!」
「お前の家は……、確か、ここらで一番大きい『阿空戒賢院』だったか?そういえば、近々あそこで武士祭りをやるとか……。仕方ない、今回は大目に見てやる。今後はちゃんとあらかじめ連絡しておけよ?」
「へぇい!それはもう!」
そんなことを教師と話しているとチャイムが鳴り、昼休みになった。
昼休みには、今日はたまたま、クラスメイト全員が揃っていた。珍しいな、不良の人とか俺とかあんまりいないのに。
で、教師が退室すると、このクラスのジョックとクイーンビーの二人に声をかけられた。
「よっ、重役出勤だな、肇(はじめ)!」
「阿字肇って変な名前よね、面白い響きだわ」
サッカー部エースのイケメンボーイ、白道。
そしてチアリーディング部エースの美女、不知火。
クラスカーストの頂点のカップルだ。
もっとも、この二人は普通の陽キャなので、階級とかそういうのは全く気にしていない。誰にでも笑顔で話しかけるぞ。
カーストを気にするのは下の奴らだけだ。
「よー。重役出勤も何も、俺は重役みたいなとこあるからな」
「ハハッ、ねーよ!」
「で、何やってたの?」
「あー?藤村センセも言ってたろ?うちの寺院でやる武士祭りって行事の手伝いだ」
「「武士祭り?」」
「おう、鎧着て馬乗って弓射って、あとは本物の日本刀で演舞したりすんだよ」
「おー!すげー!お前もやんのか?」
「流鏑馬と槍演舞はやるかなあ。派手にやるとうちの寺院のマーケティングになるし。宝蔵院流槍術がまともに残ってんの、うちの寺院だけだからなあ」
「よく分かんねーけど、凄いんだなあ。祭りだろ?夏休みか?」
「おう!来て良いぞ!」
「行く行く!お前らも行くよな?!」
そう言ってジョックの白道が声をかけたのは、ジョックとクイーンビーの取り巻きであるプリーザーとサイドキックスだ。
名前はええと……。
「「おう、行く行く!」」
坊主が柴田、ロン毛が佐久間。
「「私も行くー!」」
金髪が我妻、茶髪が刑部だったか。
こいつらはクラスのリア充グループとしてブイブイ言わせている。
そんな様子をキョロ充達がチラ見していて、誘ってもらえるのを待っていた。
その隣では、我関せずとお上品なプレップスが本を読んでいる。
「阿字君、こんにちは」
「お、斉藤か。貸したエロ本どうだった?」
「よっ、読んでないよっ!それより、漫画が面白かったよ。今まで毛嫌いしていたけれど、漫画っていうのも良いものだね」
「だろー?ドライガンは名作なんだよ」
と、文学少年の斉藤と話して。
「おっ、阿字殿!」
「どうした、萩原?」
「先週の機動神記ガンドールN観ましたかな?」
「ああ、観た観た。肘にパイルバンカー仕込むのカッケェわぁ……」
「ふひひ!さっすがは阿字殿!話が分かるぅ!」
「おっ、そうだ、これうちの寺院で描いた新しい萌朱印なんだが……」
「おおおっ!新作でありますか!ぜひ見せていただきたい!」
と、俺が描いた実家の寺の萌朱印をオタクの萩原に渡して……。
「ああああ、あのっ!さっきの話!」
「お?橘か、どうした?」
「阿字君って、宝蔵院流槍術、使えるの?!」
「まあ、使えるが」
「わあっ!私、忠臣蔵では俵星玄蕃が一番の推しなんだ!観に行きたい!」
「おー、良いぞ、来い来い」
歴女の橘に絡まれ……。
「いえーい」
「お?」
「肇ちゃん、いえーい」
「いえーい」
「おー、流石肇ちゃん」
「肇だからなー」
よく分からん女である君沢に絡まれる。
「お前、不良の俺より学校来てないのなんなんだよ……」
「そりゃお前と違って補習受けんでも良い成績を維持してるからなあ。やることやってりゃ登校日数は割とどうにかなんのよ」
「ぐ、成績はしゃあねえだろ……」
不良の鹿角とも会話。
だが。
「ぐぬぬ……!何でアイツがあんなにモテモテで、オレ様がモテんのだ?!」
「晴馬君、やめなよ……!嫉妬は良くないよ!」
「智絵里ぃ!うるさいぞこの貧乳が!このこの!」
「ひええー!」
俺のことを嫌う不良の槍崎晴馬みたいなのもいるし……。
「よう、鈴木。景気はどうだ?」
「あ、いや……」
「ん?ラノベか?俺もラノベは多少読むんだが、なんかおすすめとかあるか?」
「ないよ……、何なの?」
「何なのって……、暇そうにしてるから話しかけたんだが……?迷惑だったか?」
「はぁ……、良いよ別に」
感じの悪い奴もいるが、まあ、その辺は人間関係だしなあ……。
スクールカーストという言葉はある。
だが、誰とでも話せる俺には関係のないものだった。
そんな時のことである。
クラスメイトが全員揃っている今、教室の床に大型の魔法陣が浮かび上がったのだ。
「な、何だこれ?!」
咄嗟にドアを開こうとしたのは、たまたまドアの近くにいたスラッカーの星野である。
普段は面白キャラを演じているデブの星野が、珍しく表情を歪める。
「退いてろ、デブ!」
「うぎゃ!」
ドアを開こうとする星野を押し退けて、不良の甲斐が思い切りドアを蹴る。
あの音、威力からして、ドアは破壊されてもおかしくないのだが、何故かドアはピクリとも動かない。
やがて、赤い魔法陣から赤い稲妻が発されて……。
次に目を開くと、西洋の城のど真ん中にいた。
書き溜めは30話くらいあるから安心してください。
いやぁ、書こうと思えば書けるもんなんですねえ。
あと、ヒロインが天才で僕っ子の陰キャですが、最近僕がシロナガス島をクリアしたことと一切関係はないので悪しからず……。
寧ろキャラデザは、某ニトロプラス作品の絵師様がファンティアで描いておられたデニム尻の臭そうな美女で、性格的にはデレ多めにしてあるので色々と違うんだよなあ……。
貧相なねね子もそりゃ可愛いが、寸胴体型のむっちりデニムデカ尻は堪らねえんだわ……。