ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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おなかがいたい。

食べ過ぎた。


16話 殺し愛ってこと

火花が、散る。

 

いち、に、さん、し。

 

瞬きをする程の短い間に、四回。

 

四合のぶつかり合い。

 

『グオオオオッ!!!!』

 

「はああああっ!!!!」

 

破壊の光と、雷光がぶつかり合い、爆ぜる。

 

「殺す気で来い、アァークゥウウウ!!!!!」

 

開き切った瞳孔が、バイザーから覗く総長殿。フローレンス殿。

 

凄まじき豪剣、速く柔らかく、硬くしなやかで、鋭い一撃。

 

ぞぶ、と。

 

変異により、鋼よりも遥かに硬くなっている俺の肉体に、刃が一寸潜り込む。

 

魔剣、ストームルーラーが、俺の肉体に傷をつけた。

 

無論、すぐに肉が盛り上がり、一秒もしないうちに傷は治る。

 

治るが、この肉体に傷をつけられる時点で異常だ。

 

ダークデイズオブザ・デッドの主人公達のような、明らかな超人が、銃火器で武装して、対戦車用のロケットランチャーを撃ってくるならばまだしも。

 

魔剣とは言え、単なる切れ味の良い刃物で、変異体ネオ・ヒューマンである俺に傷を負わせている時点で、まともではない。

 

「喰らえェ!!!!!」

 

総長殿の加護、『破砕騎士』の力。

 

『破壊属性』と部類される、触れるものを原子分解する破壊光線は、変異体である俺の肉体にすら有効らしい。

 

『ヌウウッ!!!』

 

咄嗟に、腕を積層型の甲殻盾に変異させて防ぐが、総長殿の翳した左掌から照射される破壊の光は、俺の装甲をバリバリと削ってきていた。

 

俺が変異して細胞分裂する方が、破壊されるペースよりも早くはあるのだが、これは、総長殿のやり方次第で俺が抹殺されてもおかしくはない。

 

強い……、強いなあ。

 

こんなに強いのか……。

 

敬意を持とう。

 

ここまでやってるんだ、殺さないのは失礼だ。

 

『オオオアアアッ!!!!』

 

光線を弾く。

 

そして、返す刀で変異。

 

腕を筒状に、高密度の骨牙を詰め込んで、筒の内部で可燃性ガスを発生させ、生体電流で着火。

 

これを繰り返すことで、攻撃ヘリの車載ガトリング砲ほどの威力の骨の弾丸が、連射される。

 

「おお、おおおおお、おおおおおおおっ!!!!!」

 

破壊の光を盾状にしてどうにか防ぐ総長殿。

 

だがしかし、防ぎきれずに肩口や指先、足先が抉れる。

 

「ああ、ああ!楽しい!楽しいなあ、アーク!私の愛する男よ!」

 

『どういたしまして、総長殿……いや、フローレンス。俺も楽しいよ』

 

「ふふふ……、町の娘達がする逢引とは、このような感じなのだろうかな!心躍るぞ、アァークゥ!!!!!」

 

寧ろ「合い挽き」にされてんだよあんたが。

 

とは思ったが、流石にそれを口に出すのは憚られる。俺は空気が読めるゴリラだからな。

 

 

 

三時間だ。

 

三時間かけて、じっくりと殺し合いをした。

 

寧ろ、この俺が三時間かけても殺しきれなかったのだから、総長殿がどれほど偉大な戦士かよく分かると言うもの。

 

「総長殿……」

 

ねじ切れた手足、抉れた目玉、千切れた乳房に、風穴の空いた腹。

 

凄まじい、ここまで戦い抜いたのか。

 

俺は、総長殿を抱き上げた。

 

「アー、ク……」

 

「総長殿、もう終わりです」

 

「そう、か……。楽し、かった、ぞ……」

 

微笑む、総長殿。

 

この国の聖典で語られる聖母より、ずっと美しい。

 

よい「もののふ」の顔だ。

 

ああ……、惜しい。

 

最高の戦士が、失われるなんて……。

 

だが、戦士から死に場所を奪う方が、余程残酷な仕打ちだと俺は分かっている。

 

だから、俺は……。

 

「総長殿、今、楽にしますね……」

 

短剣を、抜いた。

 

「お、お前!殺す気か?!」

 

横からカマラが出てくる。

 

殺す気か?

 

殺し合っていただろうが。

 

「殺す気に決まっている」

 

「そうじゃねーよ!僕みたいにウイルスを注入して……!」

 

「それは……」

 

総長殿はそれを望むのだろうか?

 

俺が勝手に決めて良いことでは……。

 

それに、総長殿ならば、武人の誉こそを大切にするんじゃないか?

 

無理矢理生かして、化け物にしても良いのだろうか……。

 

「僕だって、好きな男にヤバい女が引っ付くのは嫌だ!けど……、同じ男を愛した女なんだ!頼む、見捨てられない!」

 

「なら止めれば良かったろ、なんで今更そんなことを」

 

「このアホ!僕だっていい加減に人の機微くらい学習したぞ?!ありゃ、言って止まる目じゃなかっただろ!大体にして、さっきから止めようとしてたのに、お前らまるで聞く耳持たないじゃねーか!!!」

 

まあそれはそう。

 

素直に頷かない俺を押し退けると、カマラは、総長殿に呼びかけた。

 

「おいっ!アンタ!こんなところで死ぬ気か?!」

 

カマラは、総長殿に呼びかけた。

 

「悪くない……、終わり、だろう?」

 

「いいや、最悪だね!愛した男の子供も抱けないで死ぬなんて、あり得ねぇんだよ!!!」

 

「こ、ども……?」

 

「良いかよく聞け総長!アークと同じ化け物になっても、アークとまた会いたいか?!」

 

「アー、ク、殿……」

 

「そうだ!アークだ!アンタの愛するアークだ!好きな男と共に生きてみせろよ!逃げるな、総長!!!」

 

 

 

「私は……、ふふ、そう、だな。まだ……、生きてみたい、な……」

 




有給、年間1145141919810日くらい欲しい。

それはそれとして、サイバーパンクだ!

トンチキ性を出したいから、日本軍の特殊部隊に「サムライ・コマンド」とか「ニンジャ」とか出そうぜ。
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