ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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美味い飯屋を探す旅に出ます。


20話 きんたん!

こちらの世界……、いや、古代魔法文明の有った圏内。

 

地球で例えれば、ヨーロッパとか中近東辺り?いや、実際には、この世界の大陸の形が分からんからなんとも言えんのだけど。

 

まあ少なくとも、この、古代魔法文明跡地圏内にいるのは、魔族を除けば基本的に『白人』だ。

 

一口に白人と言っても色々なやつがいて、金髪碧眼の北欧系もいれば、黒髪黒目の地中海系もいて、中には、魔族との混血なのかなんなのか、ピンクとか青とかふざけた髪や瞳の色をした奴も少なくはない。

 

だが、『黄色人種』は、まず居ない。

 

居ないはず、なんだが……。

 

『通じてるでしょ!あんた!ここから出しなさい!出してくれれば報酬を出すから!』

 

『おい、デカいの!お前、某と同じ国の人間だろう?言葉が分かるなら、ここから出してくれ』

 

何故か、この中世ヨーロッパ世界に、中国語と日本語で話す二人がいた……。

 

 

 

とりあえず購入、二人合わせて3パラード。

 

ボロい服を脱がせて、川で水浴びさせる。

 

その間に買ってきた麻の服を着せて、俺は二人に話しかけた。

 

『お前ら、地球人か?』

 

『『チキュージン?』』

 

あぇーえ?

 

俺は思わず、カマラの方を見る。

 

「あー……。僕達が話している言葉は、どうやら古英語に近いようでな。そして神聖語と呼ばれる聖書の言葉はラテン語に近い。言語とは世界が違っても収斂するってことだろう」

 

「つまり……?」

 

「こいつらも、中国と日本に近いこの世界のどこかから流れ着いた、この世界の現地人だろうなあ」

 

あーはい、そう来る?

 

……まあ、買っちゃったもんは仕方ないか。

 

二人とも、平均より上背が高く、体格も結構良いからな。この二人を武装させて並べておけば、示威行為になるだろう。

 

実際プラスだ。

 

『えー、まず、お二人は奴隷です。今後は俺に従ってもらいます』

 

『奴隷……って、奴婢ってこと?!この私が?!!』

 

そう叫んだのは、黒髪黒目のアジア系美女。

 

烏の濡れ羽色の美しい黒髪を風に流す、濃いブラウンの瞳をした知的な美女だ。

 

『む、まあ、それも構わん。幕府に帰っても、最早流刑にされた身だからな。某はもう終わった人間だ』

 

そう呟いたのは、黒髪黒目の日本人風の男。

 

髪のほんの一部が白髪になっている以外は、ボサボサのポニーテールをした、サムライ風の眼光が鋭い男だ。

 

『あ、ああ、あんた!この私を誰だか知らないのかしらっ?!この私の身分を……!』

 

叫ぶ女。

 

だが、サムライ男がそれを制止する。

 

『やめい、蓬莱よ。何を言っても、この場での我々は根無草の流民であることには変わりない』

 

『九郎!でも……!いえ、そう、ね。申し訳ありませんわ、旦那様……』

 

そう言って二人に頭を下げられる。

 

『ああ、いや、ちゃんと働いてくれれば文句言わんから、別にその辺は……』

 

 

 

とりあえず、お互いに事情を説明し合った。

 

女の方。

 

『大華』と呼ばれる巨大な帝国の、偉大なる皇帝に直接命令を下された『道士』……つまりは魔法使い兼薬師兼占い師だそうだ。

 

皇帝からの命令の内容は、「この世のどこかにある(根拠なし)、不老不死の霊薬を探せ」とのこと。

 

その命令を受けて旅に出たが……、無事船が難破して、気がついたら檻の中にいた、と。

 

東方からやってきた『道士』の女、名を、蓬莱(ほうらい)と言う……。

 

「「徐福かな?」」

 

俺達二人は呟いた。

 

一方でこちらのサムライ男。

 

こいつは、蓬莱のいた国から更に東にある島国からやって来たらしい。

 

ここまできた理由だが……、なんでも、『幕府』という都市国家の支配者の家系にあったらしいが、兄との政争に負けて、国から追い出されたんだとか。

 

で、流刑の末に、遥か遠くのここまで流れ着いた、と。

 

そんなこのサムライは、名を九郎(くろう)と名乗った。

 

「「源義経じゃん」」

 

俺達二人は呟いた。

 

つまり、そういう事である。

 

『なるほど、旦那様方は、遠い遠い異郷からやってきた元学生で、今は旅の僧兵のようなことをしている、と』

 

『僧兵と言っても、この辺りの国では坊主が一番の権力者で、相対的に僧兵の地位も高い、と』

 

おお、流石は二人とも貴人なだけはある。

 

即座に事情を把握してくれた。

 

この辺の理解力、マジでない人はないからなあ……。

 

この世界のこの時代の人々は基本的に、狭い狭い畑と村だけの世界で、半径一キロ圏内くらいに引きこもり、そこで四十年くらいの一生を過ごすのだ。巡礼もするが、平均レベルの話をすると、巡礼に行こうと思えるほどに余裕がある層はあまり多くない。

 

そんな人々は、当然、畑の耕し方以外は何も知らずに生まれ育ち、死ぬ。

 

なのでこうやって、誰が偉いとか立場がどうとか、そういう、地球では下手したら小学生でも理解できるような話が通じないことが多々ある。

 

見下している訳ではないが、狭い世界で生きて死ぬのが普通のこの世界の人間と、ネットワークで星の全ての情報に触れていた地球人とでは、知識に大きな大きな差がある訳で。

 

こうして、指示をして話が通じている時点で、極めて上等な人材だと分かる。

 

『で、奴隷ってことになるんだけど、やって欲しいことは俺の従者なんだよ。一応、俺も偉い人だから、お供くらい連れていないと舐められちまう』

 

『理解できますわ。俗人は目に見えた権威を……、即ち、装いや供回り、美貌などを見て判断しますものね』

 

うーん、話が早くて助かるな!

 

で、更にその上で……。

 

『二人には、あーーー、そう!不老不死の霊薬を飲んでほしいんだ!!!』

 

大嘘をつくことにした。

 

多分、いかに貴人とは言え、この世界の人間に「ゾンビウイルスを正確に投与するので、適合して超人になってください」などと言っても……、理解されないだろう。

 

いや、一年位根気強く説明すれば、概念は理解されるだろうが、それはめんどくさいし……。

 

ならいっそ、ちょっと騙して人間やめてもらおうかなーって。

 

だって、裏切られると困るし……。

 

ゾンビウイルスを投与すれば、『統率種』である俺がウイルスを直接投与した『従属種』には、絶対的な命令権を持つようになるからなあ。

 

奴隷の立場とは言え、裏切らないって保証はないからなあ……!

 

ぶっちゃけバレたら100%異端なので、こいつらもこちら側に引き摺り込んでおきたいのだ。

 

『だ、旦那様?!!も、持っているのですか、伝説の金丹を!!!』

 

『うんうん、持ってる持ってる。でもこれは使うのに条件があってぇ……』

 




サイバーパンク学園もの、思っていた以上に手が進まない。

やはり俺には無理なのか……?
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