《アーク》
『そんな感じで、今は巡礼の旅に出てる』
『なんかあったら連絡頼む』
しゅぽ。
クラスSNSに、俺が最も信頼している男からの連絡が来る。
アーク……、阿字肇。
学校にいた頃は、接点はそんなに多くなかったんだけど……。
この世界に来てから、あいつには随分と助けてもらったな。
自慢じゃないが、俺は、運動部のエースで美人の彼女持ちで、成績も良かったし、ルックスも結構イケてた。
地球の高校では、女の子にモテモテで、彼女がいるって知られているのにラブレターが靴箱に入っていたくらいだ。
だがそんなもの、この世界じゃ何の役にも立たなかった……。
そんなこの厳しい世界に、一番最初に適応したのが、アークだ。
アークは、ルックスは結構コワモテな感じだけどイケメンで、スポーツも勉強も俺よりできた。けど、あんまり学校に来ないで遊びまわったり、バイトとか色々やっている、よくわからん奴だった。
不良と誤解されて、モテモテ度は俺に劣る感じだったのだが、実際の話、俺なんかより凄くてカッコいい奴だ。
そんなアークは、今まで、足手まとい同然の俺達を助けてくれていた!
あいつがいなけりゃ、就職どころか、今頃は火の国の奴隷になっていてもおかしくない。
だから俺も、こいつにいつか恩返しがしたい!
その為にはまず、ここ、聖堂騎士団で真面目に働くことだな……!
俺……、白道聖斗こと、セイは。
聖堂騎士団の見習い騎士だ!
……おっと、アークの投稿にいいねスタンプ、と。SNSはすぐに返さなきゃな!
「仕事の最中にスマホ弄りとは、不真面目だなぁ〜?」
っと……。
茶髪のポニーテールを揺らしながらそう言ったのは、俺の彼女。
ソーナこと、不知火奏那。
「悪い悪い、アークからの近況報告でさ」
「いたた!鎧のまま撫でるのやめてよー!」
「あっ!ご、ごめん!まだ慣れなくて……」
「もー、撫でるなら夜に、ね?」
「お、おう!」
……手玉に取られている感があるが、俺はこれで楽しいのでアリだな!!!
ソーナはこの大人っぽい感じが可愛いんだよなあ……。
でも、二人っきりの時は結構甘えてきてくれて、そのギャップが堪らないんだよ。
本当に、俺には勿体無い彼女だ。
「お熱いねえ」
「良いだろ、人間関係でギスんないのが一番だ」
「そうそう、喧嘩とかしない方が良いよね」
「そうねえ、私もそう思うわ。でも、仕事は真面目にね!」
そう言って囃し立ててくるのが、俺達についてきてくれた元クラスメイトの四人。
柴田明宏ことアキ。
佐久間夏生ことナツ。
我妻蘭子ことライラ。
刑部麻知子ことマチルダ。
信頼できる友人達である。
アキは剣道部の次期部長で、剣の扱いが上手い好青年だ。
ナツは弓道部のエースで、弓の扱いが上手いし頭もいい。
ライラは場を和ませてくれる優しい女の子で。
マチルダはあえて厳しいことを率先して言ってくれる善人だ。
他にも、騎士団の内勤として四人……。
斉藤克也ことカツ。
今中恭子ことキッカ。
伊勢崎清音ことクレア。
猿渡舞ことマイカ。
この四人が、騎士団で写本などのアルバイトをしながら勉強をして、法律家みたいなやつになろうとしているらしい。
みんな、いい奴だ。
俺みたいなヘタレには勿体無い、最高の仲間達だ……。
そんな俺達は今、騎士団の仕事である、巡礼者の護衛をやっている。
聖堂騎士団……、『神の子とアゼル王神殿の清き戦友達』は、元々、聖地巡礼をする旅人の護衛をする修道騎士から始まった騎士団だ。
巡礼者の護衛が主な業務だから、ここら辺で一番権威のある教会が、活動を強くバックアップしてくれている訳だな。
教会のバックアップは、この世界じゃ非常に重要なんだ。
この世界のこの辺りじゃ、『エレメンツ教の教徒である』というのが人権の代わりみたいなもんだからな。
だから、教会の機嫌を損ねて『破門』されると、事実上の人権剥奪になるんだ。
破門された奴は、教徒から話しかけてももらえないし、法律も適応されないから殺されても奪われても文句が言えない……。
本当に恐ろしいよ。
で……、その上で言うが、教会っていうのは清廉潔白な組織じゃない……。
俺も二十歳だ、夢見るガキみたいに「正義が一番!悪は死ね!」とは言わない。
大きな組織である以上、腐敗とかダメな人がいるのはしょうがないんだ。
と言うより、現代日本にだって、偉くて悪い人はいっぱいいただろうしな。その辺に突っ込むのは無謀だ。
そんな訳で、教会も結構利権の話とかしてくるから、何かやる時は教会に睨まれないようにすることが最重要なんだな。
だが、この聖堂騎士団は、教会に睨まれるどころか気に入られた。
始まりは巡礼者の保護官からだったが、今では聖職者を中心に様々な護衛や、巡礼者の旅に必要な財産の保護の名目で金融業も、巡礼の支援の名目で輸送や海運にも手を出す、超巨大組織だ。
どれくらいの巨大組織か?
少なくとも、所属している修道騎士は千五百人いるぞ!
これがどれくらいかと言うと……、火の国の騎士の総数と同じくらい?
この辺りで大国と呼ばれて有名な火の国と、同じくらいの戦力を持つ……。
ついでに、荘園と、免税権含む様々な特権を持つ……。
言うなれば、火の国、水の国、風の国、土の国の四大国とは関係ない、第五の大国と言った感じだ。
この前の第三次聖王軍遠征の成功もあり、聖堂騎士団の名声は鰻登りだな!
おまけに、アークがなんかやったらしく、総長殿がとんでもない化け物(見た目は天使)になったので、権力は増える増える……。
大体にして、聖王軍遠征の時の俺達は、後方で物資の運搬とかしかやってなかったのに、今では『聖王軍遠征に出た名誉ある騎士様』という扱いをされてちょっと困る……。
今護衛している教会関係の巡礼者達も、俺達のことをやたらとキラキラした目で見てくるんだもん……。
恥ずかしいわこれ。
救済もの、いっそ、前から書きたかった「世界混合もの」で書くか……?前からシャドウランみたいなの書きてー書きてー言ってたしな。
地球は元々、異世界の影響を受けやすい位置にある特別な世界だとしよう。
そしてある日、地球近隣の様々な世界が砕け散る。
で、砕けた世界は、地球にくっついて統合される……。
こうして地球は、ファンタジーもサイボーグも超科学も超能力も呪術も魔法も何でもアリな世界となったのだ!みたいな。
こうすれば、「悪の独裁者が支配する軍事国家で徴兵されて戦わされる女の子兵士」も、「勇者として人生全てを破壊され利用され心身が崩壊した女勇者」も、「『死んだらチェックポイントから復活する』超能力が暴走して死ねなくなった能力者少女」も、「全てを救うことを勝手に期待されて期待の重さに押しつぶされて壊れてしまったヒーローちゃん」も、全部救えるからお得!!!!!!
主人公?主人公はいつものイカれたナイスガイなので安心してください。
主人公の能力は、「力を操る」としましょう。ええ、「力」と名のつくもの全てを。
ゲーム的に言えば、この世界は、異なる「レンジ」の攻撃とは基本的に互換性がないんですね。
例えば、「科学力」は圧倒的な物理破壊属性攻撃を広範囲にばら撒けるが、「魔力」「霊力」「呪力」には全く対抗不可能。
「魔力」は、極めれば物理無効シールドを張れるが、「霊力」には滅法弱い。
「霊力」は、「魔力」や「呪力」などの邪な力は問答無用で掻き消すが、物理的な力はなく、「氣力」に弾かれる……。
まあつまり、メガテンみたいに色々な属性パズルで相性があるってことですね。
で、主人公は、その相性を完全無視して「殴ったら殺せた」とか言うタイプ。
んーでも、ゲーム世界転生でありとあらゆるものを「知ってた」するのも書きたくはあるんだよなあ。