ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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賃金、1145141919810円にならねえかなあ……。


4話 誰かが、ほら、呼んでる

「あ、あーっと……?」

 

ジュラ娘。

 

ソーシャルゲームの中から飛び出した、絶世の美女達だ。

 

「「「「先生ーっ!!!!」」」」

 

「うおっ?!!」

 

俺は、来日した海外のスター俳優のように、ジュラ娘達にもみくちゃにされた。

 

「きゃーっ!先生だー!」

 

「やっと会えた!」

 

「先生、大好きーっ!」

 

指をしゃぶられ、顔を舐められ、匂いを嗅がれ、抱きつかれ……。

 

もう正直勘弁してほしい。

 

流石に怒りの声を上げようとして、気付く。

 

仮に、この子達が、俺の育てたジュラ娘だとしても。

 

人間なんかよりも遥かに強いジュラ娘を怒らせたら、どうなる……?

 

背筋に冷たさ。

 

悪寒が走る。

 

ジュラ娘は、★一つの低レアではほぼ人間と変わりないという設定だった。そして人間とは違い、『ダイノ・フェノメノン』というある種の超能力……、例えば、火を発したり、物を凍結させたりなどを使える。

 

が、★★ともなれば武器を持った人間を素手で捩じ伏せ、★★★からは『ダイノ・スキル』という凄まじい必殺技を行使する。

 

★★★★ならば、『ダイノ・フェノメノン』は更に有用で強力になり、スキル枠も二つに増え……。

 

最高レアの★★★★★なら、二つのダイノ・フェノメノンと三つのダイノ・スキルを扱い、更には2121年の未来兵器を上回るほどの戦闘能力があると描写されていた……。

 

まあ、つまり、★★★のジュラ娘でも、俺の首を素手で捻じ切るくらいの芸当は、簡単にできるのだ。

 

……怒らせては、ならない。

 

「あ、あぁ、みんなありがとう!歓迎してくれて嬉しいよ」

 

そう言って、手近なジュラ娘の頭を撫でてやる。

 

「わあっ!先生!」

 

「私も撫でて〜!」

 

クソ……。

 

逆らえない奴らに囲まれるとはこんな気持ちなのか。

 

南米でのフィールドワークの時、ジャングルの殺人部族に囲まれて武器を向けられた時を思い出す……。

 

まるで、猛獣の檻の中に閉じ込められたみたいだ……。

 

「コラ!君達!」

 

そんな中で声を上げたのは、青髪の女。

 

トリケラトプスのリッケだ。こいつも何故か、数少ない知能派に分類される。

 

「先生が困っているだろう!一旦離れなさい」

 

「「「「はーい!」」」」

 

リッケがそう言うと、ジュラ娘達は解散した。

 

「さて、先生。話の前に、まずはシャワーでも浴びてください。この環境は人間には辛いでしょう?」

 

なるほど、気を遣ってくれているのか。

 

「ああ、ありがとう、助かるよ」

 

「あ、それとこちら、水です」

 

ペットボトルを渡された。

 

見た目は透明な液体だが……。

 

まあ、ここで俺を殺す意味はない、か。

 

この暑さの中歩ってきたのもあり、喉はカラカラだった。

 

ペットボトル一本を空にした俺は、そのままひみつきちの中へと入る……。

 

 

 

ひみつきちのマイルームは、ゲームで設定していたものと全く同じだった。

 

そこの、シャワー室で砂と汗を落とす。

 

冷たいシャワーを浴びて、茹っていた頭が冷めた。

 

これは、チャンスだ。

 

こんな、白赤バッタのような化け物が出る砂漠地獄で、一人きりで徒手空拳など、死ぬに決まっている。

 

それも、飢えや渇きで苦しんで死ぬか、化け物に生きたまま食われて苦しんで死ぬかの二択。最悪の死に様だ。

 

ジュラ娘が何故ここにいるかとかそういうのは全部置いておこう。実際、スミに道中で訊ねたら、「よく分からないけれど、気が付いたらここにいたんです」としか言わないし。

 

だがこれは、利用できる!

 

ジュラ娘とひみつきちがあれば、この地獄のような砂漠でも衣食住が充実しているし、孤独感も感じない!

 

ジュラ娘が基本アホなのも、その分扱いやすいと思えば助かるもんだ。

 

ジュラ娘達から嫌われない限り、こんな環境でも楽に生きられるんだ!

 

そう思えば、幸運だったくらいだ。

 

俺だってもう四十歳になったが、別に枯れている訳じゃない。綺麗な女にモテれば嬉しい。

 

大体にして若返ったしな。

 

シンプルに考えていこう。

 

得したと思おう。

 

未来への切符はいつも白紙なんだよな。

 

 

 

さっぱりした俺は、自室内の新しい服に着替える。

 

そしてそのまま、プラントのある車両へと向かった。

 

プラント……。

 

特に、羽の生えた女性の姿をしたものとかそういうのではない。

 

ただ、虹色に輝く光を発する球体を強化ガラスで包み、鉄材で保護して、コンピュータと接続されたプラグが刺さったものだ。

 

これは、ジュラ娘の超能力こと、ダイノ・フェノメノンを科学的に解析して、その能力を擬似的に行使できる装置である。

 

水、食料、衣類の他、武器弾薬や娯楽品の類、家具や嗜好品など、ジュラ娘に与えられる全てのものがここから生産されている。

 

……とは言え、ジュラ娘は、★であろうとも、自分の衣服と武具は好きなタイミングで創り出せるのだが。ダイノ・フェノメノン関係なしに。

 

だが、一般人である俺はそんなことはできない。

 

丸腰は怖過ぎる。

 

武器を用意せねば……。

 

プラントのコンピュータにデータ入力。

 

登録されている銃器シリーズである、『エレクトス・シリーズ』から、ハンドガンとその弾丸を生成する。

 

それを、生成したガンベルトに巻いて、ついでにマチェットを腰に差しておく。

 

銃の使い方?分からないと昔のフィールドワークの時に首狩り族に殺されてたね。

 

武器を装備してから、それを砂色のマントを羽織って隠して、グレーのストールを巻く。

 

ついでにサングラスも装備。

 

さあ、ジュラ娘に会いに行こう。

 




Q:こいつ(主人公)何やってた人なの?

A:恐竜博士版インディージョーンズ。
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