武器を装備した俺は、ひみつきちの外に出た。
そこでは、百人を超えるジュラ娘達が、ひみつきち内の天幕などを展開して、野営モードに入っていた……。
ひみつきちの中には色々なものがあり、その中には、キャンプを大袈裟にしたような軍用の天幕や野外用の椅子にテーブルなどがある。
それらを設営しているようだ。
ジュラ娘がいかにアホとは言え、考えることそのものは可能なのだ。
ジュラ娘に足りないのは知識であり、知性そのものは人間並、見た目相応に持っている。
一度教わったことならできるらしいな。
プラントの使い方や、炊事洗濯、効率的なパトロール方法などを知っているということか。
事実、野営場からは煮炊きの煙が上がっている……。
調理をしている黒髪の巨乳は、ブラキオサウルスのラキだったな。
「あらあら〜?先生〜!ご飯できてますよ〜!」
そう声をかけられたので、そこへ行くと、鍋一杯のカレーがあった。
「辛口ですか?甘口ですか?」
「あ、ああ、辛口で……」
「まあ!大人ですねえ〜!はい、どうぞ!」
カレーを食う。
……美味い。
何故か、お袋が作ったカレーと同じ味だった。
……えっ怖。
何で?
……あ、そうか。
ジュラ娘は、ひみつきちに配置することによって、様々な仕事をする。
仕事は……。
料理
掃除
洗濯
日誌記録
外部交渉
パトロール
の六種類となっており……、それぞれが。
ATK(攻撃力)上昇率
HP(体力)最大値
DEF(防御力)上昇率
ひみつきち稼働率
アイテムゲット率
SP(スキルゲージ)上昇率
に対応している。
適切に配置すれば、戦闘パーティの各能力が15%は向上するのだ。
そんな中でも、このラキは、『おふくろの味』というプライベート・スキル(仕事能力)を持っている。
だから、俺のおふくろの味が再現できる……。
いやいやおかしいだろ。
おかしいだろ。
……まあ、良いや。
その辺の突っ込みは多分、無意味だ。
『偶々』とかの言葉で終わりだろう。
どうせ、その辺を追求しても、まともな答えが返ってくるとは思えない。
それよりも、現状の確認をしよう。
しれっと向かい側に座っているスミに訊ねる。
「結局、どうなっているのかな?」
「分かりません。ただ、私達は、先生をずっと見ていたのは確かです」
「画面越しにってことかい?」
「はい。ゲームの中から、私達はずっと見ていました」
うーん……。
「ここにいるのは何故かな?」
「それも、分かりません。ただ……」
「ただ?」
「先生が困っていると、なんとなく分かって……。だから、先生を助けたいって、強く思ったら……」
「……ここに来ていた、と?」
「はい」
ううーん……。
「きっと、奇跡ですよ!想いが神様に通じたんです!」
神様だあ?
そもそもお前らに信仰なんて考え方があるのかよ?
まあ俺も確かに、南米の殺戮部族に捕まって、5メートルを超える巨大人喰いワニの生贄にされそうになった時は、流石に本気で神に祈ったが……。
「そっか……?」
「はい!きっとそうです!」
結論、ぜんぜんわからん!
「いや、強ち間違ってもいないんだな、これが」
おや……。
こいつは、数少ない知能派の一人にして、ひみつきちの管理人、トロオドンのトロだな?
もさもさの白髪に羽をイメージしたカチューシャ。
羽は、トロオドンが羽毛恐竜だったからだろう。
ビジネスマンのような青シャツにネクタイ、スラックス、スニーカー。
それと白衣と丸眼鏡が特徴か。発明家キャラの安易なキャラ付けだ。
「私も、この世界に転移してから、ひみつきちの計器を全てチェックした。だが、『何の異常も見られなかった』んだよ。……気温や湿度などの変化はあったがね」
眼鏡を拭きながらそう言うトロ。
何の異常もないだと?
そもそも、ひみつきちにどのような計器があるのかが分からんのだが……。
いや、だが、かなり高度なものがあるのは察せられる。
「次元転移したならば、次元湾曲反応が計器に引っかかるはずだ。それもなかったのだよ」
そう……、次元転移。
プレイヤーである『先生』が、未来の地球から次元転移技術により、ジュラ娘達の世界にやって来たと言う設定なのだから、当然、次元転移に関する技術やら計器やらがあるはず。
それらに反応がないならば……。
「つまり、観測不能な手段による転移だから、そんなものは奇跡としか言えない、と?」
そういうことになるはずだ。
「或いは、我々の技術力では気付けないというだけかもしれんがね」
なるほどねぇ……。
「まあ……、それは良いじゃないか」
「よくないけどなあ」
「そんなことより、今は、君とこうして直に顔を合わせられるという、素晴らしい奇跡に感謝しようじゃあないか!」
む……。
それを言えば、俺もまあ、嬉しくはある。
かなりの時間を注ぎ込んだし、課金もしたし、グッズや同人書籍なんかも漁った。
例え★や★★の低レアだとしてもきっちりと育てたし、全キャラが「推し」だ。
会えたのは、シンプルに嬉しい。
「にしても、何で君は若返っているんだい?いや、若い君も、その、素敵だが!カッコいいが!」
「あー……、それも分からないなあ。まあ、損はしていないから良いんじゃないかな?」
「う、うむ、そうだな」
ふむ……?
容姿が気になるのか?
別種である俺の「見た目」に好意を?
つまり……。
「えっと……、性欲とかある感じなの?」
と、思わず聞いてしまう。
「にゃあーっ?!!」
トロは飛び上がった。
カクヨムに移行して、投げ銭もらってウハウハに!とか考えたけど、別にPVが高い訳でもないし無理っぽいな……。
でも違うんです聞いてくださいよ。
カクヨムで、大して面白くない作者が、サポーターなんちゃら投げ銭で、半年で三十万くらい稼いだ!とか言ってて!
そんなんなら俺の推し作家は何故伸びないんだと憤慨したんですね。