「我々は、『恐竜旅団』だ……!」
おっふぇ……。
なんかよく分からん単語が出てきてしまった。
昔、子供になった探偵が、江戸川乱歩とコナン・ドイルの本が近くにあったから……、みたいなのを見て「アホかこいつ?」などと思っていたものだが……。
実際のところ、咄嗟に名前を捻り出すってのは難しいんだな。馬鹿にしてすまなかったと言いたい。
恐竜旅団て……。
何ですかそれは?
が、もう言ってしまったもんは仕方ない。
これで通すしかないな。
「「恐竜……、旅団……?」」
首を傾げる薄汚いの二人。
俺は、話を続ける。
「交易とあるが、ここは何の店だ?」
「あ、ああ……、交易所だよ」
ババアがそう言った。
因みに、ババアは普通にババアだ。
三十代の美熟女とかそういうんじゃなく、五十歳前くらいの薄汚いババア。
東南アジアとか南米の貧しい中高年って感じ。しかし、人種は日本人っぽいかな?白髪は多いが黒髪みたいだし。
「交易所とは?遠いところから来たんで、この辺のことは分からないんだよ」
ババアは歳上だが、俺はあえて敬語を使わなかった。
舐められないようにってのもあるが、敬語は通じないだろうと思ったからだ。
このババアも、若い男も、日本語のはずなのにイントネーションがかなりおかしい。
言葉を飾ると通じない可能性がある。
「交易所を知らないのかい?」
目を見開いて驚くババア。
「知らないんだ、何だそれは?」
「まあ、良いさね。あたしはこの交易所の主の、モヘンってモンだ」
「ふむ」
「交易所では、物資の売買ができる」
ふむ?
通貨とかあるのかな?
経済活動があるとは、意外と滅んでいない……、のか?
「通貨は?」
「通貨……、『マネー』のことかい?」
あ、そこは英語なんですね。
「ああ。俺の出身地では、『ゴールド』という金属を通貨にしていた」
という設定にしておく。
「へえ、そうなのかい。でも、この辺り……、『イーストポリス』じゃあ、使われるのはこれさ」
そう言ってババアが腰の革袋から取り出したのは……。
「……ポイントカード?」
擦り切れた、一枚のポイントカードだった。
デザインは見たことがないが、赤色のカードに白で「Nyaon」と書かれている。
身分証があれば、コンビニで無料で作れそうなカードだ……。
「ポイント……、カード?何の話だい?」
「いや、何でもない。店だと言ったな?あんたは商人なのか?」
「ショーニン?あたしゃアキンドだよ」
えっ何それ?
アキンド?
……じゃあ商人じゃねえか!
まあ良い……。
「失礼した、アキンドだな。なら、現物での取引は可能か?」
俺は、ジュラ娘に指示して、ひみつきちから白バッタの死骸を持って来させる。
恐らくは、これで正解のはずだ。
「白アバドナかい、これならマネーは十枚だ」
ふむ……。
白バッタの名前は『アバドナ』で、一体につき十枚のマネーが貰える、と。
なら、研究に使ったサンプルの白バッタ……、アバドナを全部売ってしまおうか。
検体のうち、バラバラに解体してしまったものを除くと、売れそうなのは五匹分とのこと。
「はいよ、六十マネーだ」
カード……、マネーをもらう。
「ああ、それと、店の中を見せてくれないか?」
「……買う気はあるのかい?」
「良いものがあれば」
「……まあ良いよ、来な」
そう言って、顎をしゃくるババア。
クッソ態度悪いなオイ。
……ん?
「はあ……!」
「何やってんだいボン!早く来な!このウツケ息子が!」
「だ、だってよオフクロ!オラ、あんなキレェなムスメ達、初めて見たから!」
「はん!あんなキレイどころ、お前みたいなのにはケンコンがひっくり返っても靡かないよ!良いからはよ来い!」
ああ、若い男……、どうやらモヘンとかいうババアの息子は、ずっと黙っているからおかしいなとは思っていたんだが……。
どうやら、美しいジュラ娘達に見惚れていたらしい。
「好きに見ていきな。但し、べたべた触るようなら、買い取ってもらうからね」
モヘンの声を受けながら、店の中に入る。
店の中には熱気が篭っており、人の匂いと血の匂いがむわっと広がる。
「にゃん?!」「ぶえー……」
人間の俺がこれなんだ、俺よりも鼻の利くスミとモースは、かなり気になるだろう。
実際、あまりのひどい匂いに驚いて声を上げてしまっていた。
「大丈夫か?」
「び、びっくりしただけです。我慢できます」
「私もだいじょーぶです〜」
そう返す二人を撫でてやり、店の中を見回す。
店の中のものは……、俺からすれば、大半がガラクタだった。
廃材のような鉄パイプ、鉄板。
何かの革、古い布、紐や針金。
それと、何かクリーチャーの死骸を、まるで食糧のように吊るしてある。臭いの原因はこれだろう。
「あの瓶は?」
「水だよ」
瓶の中には、砂色の液体が入っている……。
……水?
水かあ……、そっかあ……。
それと……、薬品だ。
とりあえず、一種類ずつ購入。
それとラジオかな?
これも購入。
「マネーが足りないよ」
とのことなので、何か売ろう。
とは言え、あまり高価なものを売ると拙いな。
とりあえず、砂漠なので水は売れるだろう。
しかし、泥水が水として売られているのだから、綺麗な水を売るのは問題がありそうだ。
あえて泥水をプラントで作って持ってくる。
「水かい……。水はその量だと、百マネーで買い取るよ」
とのことなので売る。
差し引き五十マネーが手元に残った。
それと、周辺の地理を聞いて、ここを離れた……。
があーあ!
書けねえ!!!