近くにある、エンジ村なるところを目指して、ひみつきちを移動させる。
そして、マメンチサウルスのマメが、モヘン交易所で購入した薬品の検査結果を持ってきた。
……マメは、とても渋い顔をしていた。
「どうしたんだ?」
「薬……、これ、良くないものアル」
ふむ。
「まずこの、『イェニ・チェリ』という薬。これは、精神高揚系の麻薬アル。痛みが和らぐ効果があるから、恐らくはこれを吸引して戦うってことみたいアルネ。けど、依存性が高い上に、使えば使うほど神経が鈍化していくアル」
そう言って、ガスマスクとスプレー缶が融合したようなものを見せてきた。
「こっちの『ガンダーラ』は、鎮静系の麻薬アルな。麻薬成分に、弱い止血と肉体再生の成分を織り込んであるから、ある意味では回復薬かも……。それにしては、毒性が強いから、連続で使えば死ぬアルけど……」
静脈注射アンプル。
「この『ストロンガー』は、脳機能を一部麻痺させて、限界以上の身体能力を発揮できるようになる麻薬アル。こんなものを使えば、心身が壊れてしまうアルよ……」
粉薬。
「こっちの『クイックリング』は、脳機能を一時的に向上させる代わりに、脳細胞を破壊するアル。常用すれば、脳がスポンジみたいになるアル……」
粒薬。
なるほど、なるほど。
「……ヤバくないかそれ?」
「ヤバいアルよ」
ヤバいよなあ……。
つまりこの世界は、日本なら違法になる薬物で、疲労をポン!しながら戦わなきゃいけないってことになる。
こんなところにいられるか、俺は帰らせてもらう!そう言えたらどれほど良かったでしょう?
帰れない以上、適応するしかない。
環境に適応できない生物は絶滅する。
それが星の意志ということだろうな。
仕方ない、まあ、ぼちぼちやっていこう。
そう、決意を新たにしたところで……。
「先生、報告です」
スミが、内線電話を受けてから俺に言った。
エンジ村に向かおうと思っている俺達だが、周辺に飛ばしているドローンが、スーパーマーケットの廃墟を見つけたそうだ。
ふむ……。
俺は考えた。
最悪、泥水をプラントで生成して売りつければ、マネーとやらは稼げるだろう。
しかし、それだけじゃいけない。
水の需要も無限じゃないだろうし、こちら側のリソースも無限ではない。
ああ、プラントは、理論上は無から有を生み出すが、実際のところは消費エネルギーなどの関係もあり、スクラップでも生ゴミでも良いから材料となるものを用意して、物質転換をした方がリソースの削減になるのだ。
更に言えば、転換前の元素に近しいものほど、変換効率は良い。
節約できるところは節約していかなくては。
という訳で、何か、ガラクタでも良いから拾ってこよう。
「各員、スーパーマーケットに進路を変更する。資材確保の為だ」
と、オープン内線電話で呼びかけをする。
隣のスミが了解です!と元気よく返すのを聞きながら、俺は、移動中なのに恐ろしいほど揺れないひみつきちで、椅子にもたれ掛かった……。
道中、白バッタ……、アバドナが襲いかかってくるなどはあったが、戦艦の装甲並みの堅牢さを誇るひみつきちには傷ひとつつけることが出来ず、無限軌道に轢き潰され挽肉にされていった。
「うへえ、グロいな」
そんなことを呟きながら、すぐにスーパーマーケットに到着。
スーパーマーケット。
半分くらいは廃墟だが、辛うじて屋根が残っている部分もある。
看板には、『Union Mart』と白文字で印字されているのが見て取れる。
聞いたことがないが、規模からして結構大きなスーパーマーケットだったみたいだな。
駐車場らしきスペースにひみつきちを停車し、内部に侵入する……、前に。
「パーティ編成だ」
パーティを編成する。
まず、★★★★★相当のアタッカーは除外。
廃墟の中で超威力の範囲攻撃など繰り出された日には、ジュラ娘達は無事でも俺が死ぬ。
★★★★相当の、単体攻撃型アタッカーが良いだろう。
それと、護衛の為の★★★★タンク。
何かあった時のための★★★★ヒーラー。
計三人も連れて行けば充分だろう。
ヤバそうなら逃げればいいし。
むしろ、あんまり大勢でゾロゾロ入ると、身動きが取れなくなりそうだ。
そんな訳で選んだのは、メガロドン、レクソビサウルス、マイアサウラの三人である。
メガロドン、つまりは大サメの『メロ』は、金髪美女がサメのコスプレをしている感じ。
剣竜レクソビサウルスの『レクス』は、鎧を着た緑髪モサモサ女。
マイアサウラの『マイ』は……、ピンク色の髪をした、良妻賢母を自称する精神異常者。
この三人を連れて、スーパーマーケットの廃墟を探索していきたいと思う。
まずは、三人に挨拶しておく。
「そんな訳で、お前達を連れて行きたいと思う。情けない話だが、守ってくれよ」
「「「はい!」」」
うん、元気のいい返事。
「ティーチャー!ミーに任せてねっ!」
メロは、よく分からんサメのコスプレフード付きコートから覗く、水着の巨乳をあざとく揺らす。
砂漠で水着にフード付きコートという、完全に気の狂った装いには苦笑いが漏れるが、そこはジュラ娘。
気温にして40℃にまで達する灼熱の砂漠も、彼女らの超越した肉体からすればなんのその。
シミひとつない肌は、日焼けもしない。
「まー、どーにかなるでしょ〜。先生だけはちゃんと守るからね〜」
間伸びした声で話すのはレクス。
因みに、プレイヤーからの愛称は「まりも」で、緑色のもさもさとボリュームの多い髪が目を惹く。
のんびり屋のパワータイプ。
「ダーリンは私が守ってあげるからねっ!」
マイはまあ、普通に精神異常者だ。
ネット上でも「妻を名乗る精神異常者」とあだ名されており、ガチャで引いた時点で「お嫁さん宣言」をぶちかましてくる頭おかしい人。
しかし、ヒーラーとしてはかなり有用で、特に即時SPチャージのスキルは、ハマるやつと組ませれば絶大なシナジー効果を発揮する。
さあさあ、とっとと攻め入ろうか。
自作をカクヨムとかに投げて収益化……?
このザマでできんのか?って話よねえ……。
あーあ、景気良くなんないかなあ……。
まあそんな話はどうでも良いんですよ。
よくねーけど。
それより、ハードコアファンタジーの話をして現実逃避しましょ、現実逃避!
基本スタイルは、三人称のハードコアファンタジーパートと、主人公一人称のサイコパス日記テイスト物語を交代しつつ書いていく感じにしてみたいと言う試み。
こんな感じ?
(シリアス三人称パート)
黄昏を背に浴びる。
極光を纏う神格のように。
かの者、遥か遠き時に滅びし「エルの民」……。
精霊を祖とする妖精(フェイ)の末裔たる、魔なるもの、凄まじきもの。
(サイコパス日記パート)
四月一日。
エルフになって早十年。
暇潰しに禁術保管庫を開いて遊んでたら逮捕された。
昔の人がちょっとミスったからって、何も全面禁止にすることもないじゃん?
ムカつくのでエルフ上層部を焼き討ちします♡
みたいな?