ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

1494 / 1724
低温調理サラダチキンに挑戦する。


14話 さらば、優しき日々よ

ひみつきちこと『オロリン』の先頭車両のすぐ後ろの車両。

 

ここに、探検隊の隊長……、つまりは俺の私室と、執務室がある。

 

装備を脱いでトロに渡し、俺は軽装のまま執務室の椅子に座って、言った。

 

「レクスは?」

 

「レクスちゃんはああ見えてもタンクですから。服と、皮が少し切れたくらいですよ」

 

秘書であるスミがそう報告を返す。

 

「そう、か……」

 

「あ、あのっ、先生!気を落とさないでください……!」

 

「いや、メンタルに問題はない。ただ、レクスの治療は万全にしておいてくれ」

 

「はいっ!……多分、もう治っていると思いますけど」

 

「ん、じゃあ、謝りに行ってくる」

 

「あ、謝るなんて……」

 

スミは、何か言いたげな表情をしているが……。

 

「謝るんだよ。俺がミスをして、レクスに怪我をさせたからな」

 

「で、でもっ!先生は悪くないですよ!」

 

「いや、駄目だ。けじめの問題もあるしな」

 

「そ、それでも……、それでも、先生は悪くないんです!私達の不注意でもありました!先生はちゃんと考えてくれていましたよ!私は、私はっ……!」

 

スミ……。

 

甘い、な。

 

だが、本当に助かる。

 

少なくとも、「ミスをしたから嫌いになりました」という訳ではないようだからな。

 

よし、なら……。

 

「ありがとな、スミ。じゃあ、その……、一緒に謝ってくれるか?」

 

「は、はいっ!」

 

 

 

病室へと向かう。

 

基本的に病気にならないジュラ娘にも、健康診断の為などに、病室や医療機器などが用意されている。

 

レクスは、その病室のベッドに腰掛けていた。

 

「レクス」

 

「あ、先生」

 

見たところ、包帯すらしていないが……。

 

「傷はどうだ?」

 

「あれくらい、もう治っちゃったよ〜?」

 

「そうか……」

 

「わざわざお見舞いに来てくれたの〜?」

 

「いや、その……、謝りたくてな」

 

俺がそう言うと、レクスは、首を傾げた。

 

「なんで?」

 

「俺のせいで怪我を……」

 

「え?いつものことじゃない?」

 

んん?

 

「ゲームだから分からなかったってこと?私達、ゲームの世界でエボリネーターと戦ってる時に、このくらいの怪我はしょっちゅうだったよ〜?」

 

あー……。

 

それもそうか。

 

「いや、それでも、俺がもっとしっかりしていれば……」

 

「しっかりしてたよね〜?ゲームと違って偵察もしたしぃ〜、ヤバいと思ったらすぐに撤退してたよ〜?判断力はちゃんとあったと思うなあ〜」

 

「それは……、まあ……」

 

「と言うか、先生を守って怪我したのは、なんてゆーのかなー……、クンショー?みたいな?」

 

なるほど……。

 

好感度が下がったらまずいと思っていたのだが、失敗をしても見捨てられないほどに愛されているのか、俺は。

 

「だから、ね?大丈夫だよー。これからも、先生を守っちゃうから〜!」

 

「ありがとう、レクス」

 

俺は、レクスの手を強く握った。

 

温かい。

 

女子供のように、温かい。

 

「あ、そーだ!じゃあね、先生……」

 

俺の手を引っ張り抱きついてくるレクス。

 

「もし、ごめんなさいって思ってるなら、今晩は私のことをたーくさん愛して?」

 

耳元で、甘ったるい萌えキャラボイスで囁いてくるレクス。

 

そんなことを言われると頷くしかないんだよなあ……。

 

俺の性欲もそうだが、良い女にここまで言われて引き下がるような玉無しではない。

 

「分かった。愛してるよ、レクス」

 

頬に軽く口づけをして、そのまま病室を辞する……。

 

「……なんだかエッチな雰囲気になってたじゃないですか?!謝るって話、どこに行ったんですか?!」

 

スミの突っ込み。

 

うーん、どこ行ったんだろうなあ……?

 

 

 

まあ、とにかく。

 

俺は、一つの失敗と、多大な教訓を得た訳で。

 

怪我をさせてしまったレクスの手前、公言はできないが、「良かった」と思っている。

 

今回の反省点は、次に活かせるからだ。

 

まず第一に、★★★★(スーパーレア)相当のタンクにも、傷を付けられるほどの化け物がこの世界には存在することを知れた。

 

そして第二に、そんな化け物も、★★★★★(ダイナミックレア)のジュラ娘ならば容易に殺せるということ。

 

この辺りは正直まるで分からないのだが……、あの黒い化け物は、まあそこそこは強キャラだったのではないかと推測できる。

 

普段、砂漠を移動していて出会うのは、基本的には白アバドナ。

 

白アバドナは、俺でも鉄パイプで殴れば殺せてしまう。

 

そして稀に、赤アバドナが出る。

 

赤アバドナは、鉄パイプを振り回す俺と互角か、それより強いくらいだ。

 

……とは言え、ひみつきちに突進したところで、逆に無限軌道に踏み潰されてミンチになっていた。

 

そして今回、黒い化け物が出た。

 

黒い化け物は、★★★★のジュラ娘に皮一枚切る傷をつけるくらい……、つまりジュラ娘に例えれば★★★(ハイレア)以上の力を持つことが分かる。

 

白、赤、黒の順番で強い訳だ。

 

俺の勝手な予想だが、黒より強い青の化け物が存在するように思える。

 

作為的だもんな。

 

大量のバッタ、白、赤、黒の順番……。

 

恐らくは、黙示録のオマージュ……。

 

黙示録、キリスト教における世界の終わりの本では、『大量のバッタが全てを喰らい尽くす』という描写と、『破滅を司る白、赤、黒、青の騎士が順番に現れる』という描写がある。

 

あのコズミック害獣が『ポストアポカリプス』の世界だ!と言ったんだし、つまりそういうことだろう。

 

つまり化け物は、白、赤、黒、青の順番で強くなっていく。

 

まだ教訓はある。

 

スーパーマーケットには、叫ぶ白猿と、白ゾンビの二種類がいた。

 

叫ぶ白猿は、状況証拠なのだが、叫んで他の化け物を呼び寄せていたように思えた。

 

白ゾンビは、俺達生き物を優先して襲い掛かってきた。

 

ん、ああ、観察した結果だが、白アバドナはなんでも食べるらしく、その辺の建物や廃材に齧り付いていたんだよ。

 

だが、あの白ゾンビは、俺達を優先して狙ってきた……。

 

これはつまり、化け物共には、生態があるということになる。

 

こうやって戦闘記録を集めれば、対処は楽になっていくはずだ。

 

そして、何より大事なのは、俺の心から油断慢心がなくなったこと。

 

次からは、ジュラ娘を大量に引き連れて、火力で叩き潰す。

 

古今東西、「数と火力を揃えてぶん殴る」以上の戦術はないからな。

 

極論だが、百倍の兵力と火力があれば、赤ちゃんでも諸葛亮に勝てるだろ?

 

つまりそういうことだ。

 

次は油断しない。

 

どんなやつでも叩き潰してやる……。

 

そう決意を新たにした俺は、私室のベッドを整え、レクスが来るのを待った……。

 




カンピロらないように気をつけねば!

それはさておき、今はなんとなくポストアポカリプスみが高まってきたので、追放賢者の続きを書いています。

ビワ湖利権で争うダイミョウ達!その裏には、黄巾賊の暗躍があったのだ!みたいな。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。