ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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暫くはほのぼの展開。


20話 とあるサンダーバード族の供述

はろはろー。

 

私はとあるサンダーバード族の女だよー。

 

ジン様……、私達の王様に連れられて、レムリアっていう国に住んで良いって言われた。

 

助かったよー。

 

そろそろメルキアからも追い出されそうだったし。

 

人間は心が狭いからなあ。

 

食べ物を頂戴って言っただけで殺そうとしてくるんだもん。

 

でもレムリアは違うよ、お金さえあればいくらでも食べ物がもらえるんだから!!

 

人間は、お金を渡しても食べ物をくれなかったけど、この国では、お金があれば欲しいものは何でも手に入るんだよ!

 

お金も簡単に稼げるし!

 

荷物運びをしたり、人を乗せて飛んだり。

 

私は、戦士隊長になった。

 

戦士は楽だよー、一日街を回って、喧嘩や盗みをする人に雷を落とせば良いだけだし。

 

夜には帰って良いしね。

 

基本的にハーピィ系は夜目が利かないから、夜勤はしなくて良いって。

 

夜目が利くオウルやブラックハーピィなんかは夜に仕事をして昼間に寝てるらしいよ。

 

さあさあ、仕事に行こう!

 

 

 

仕事の前にご飯食べたい。

 

メルキアにいた頃は、一日一回だったけど、レムリアでは一日三回は食べられるね!

 

ご飯はー、メキシコ風!なんだけど、メキシコってどこなんだろう?レムリア料理と区別するために、南レムリア料理って呼ばれてるけど。

 

スープとパンが北レムリア料理。トルティーヤが南レムリア料理なんだって。

 

取り敢えずそういうことにするって王様が言ってた。

 

私もよく分かんないんで、それで良いよ。

 

基本的に、獣人は北レムリア料理が、鳥人は南レムリア料理が好き。

 

南レムリア料理は美味しいよー?

 

何せ、辛いから!

 

香辛料とトウガラシをたーっぷり使った肉とトマトを、トルティーヤで包んで食べる!

 

これが一番美味しい!

 

他にもスープとかサラダとか沢山あるけど、どれ食べても美味しいよー。

 

ハーピィ系はね、タコスが好きなんだよ。タコスがあれば生きていけるんだよ。そうなんだよ。私が言うんだから間違いないよ。

 

朝ご飯にタコスを食べる。

 

念力の魔法を駆使して、自分で作れないこともないけれど、基本的には外で食べるかなぁ。

 

ハーピィ系向けのタコスの屋台がその辺にあるよ。

 

それを食べたら、仕事に行くー。

 

 

 

「遅いぞ、サンダーバード族!」

 

「「「「ごめんなさーい!」」」」

 

「あー、クソ、謝れば良いと思ってやがるな?!」

 

「「「「そんなことないよー!」」」」

 

フェンリルの、この辺りの大隊長に怒られる。

 

仕方ないよね、朝は眠いもんね。

 

「はぁー、ったく。まあ良い、お前らは走り込みは必要ないもんな。戦闘訓練は参加しろよ!!」

 

「「「「はーい!!」」」」

 

「返事だけは良いなあ……」

 

 

 

戦闘訓練は、サンダーバード族同士、もしくは、獣人と合同でやる。

 

サンダーバード同士だと、空戦の練習。そもそも、飛行魔法は上級魔法だし、並列して他の魔法を使える人なんて全くと言って良いほどいないんだけどなあ……。

 

それでも一応、空戦ができる魔導師を警戒して、空戦の訓練がある。

 

それと、フェンリル族と対歩兵戦。

 

正直、空から自由に攻撃できる私達が有利と思ったけれど、そんなことはなかった。

 

フェンリル族の特性……、種族としての技能、『氷雪支配』は、自在に冷気や氷を発生させ、操ることができる。

 

そんなフェンリル族は、その技能の使い方が違った。

 

クソッ!ちょこまかと……!!

 

フェンリル族が、レムリアで得た研鑽の答え。

 

それは、氷の足場を使った、三次元機動だった。

 

墜ちちゃえ!!

 

「グルルルル……」

 

氷で階段や柱を創り、それを駆け上がると、空中に板状の氷を多数展開する。

 

それを足場にして、空中を跳ねるように移動して、すれ違いざまに斬りつける。

 

それがフェンリル族の基本的な戦術だ。

 

その上、多少の物理攻撃なら、氷の盾が展開され防がれ、隙があれば氷の刃がかなりの速さで飛んでくる。

 

しかも、本気を出せば、それと同時に、草花が凍って崩れるほどの冷気を数百メートルに渡って振り撒ける。

 

私達、サンダーバード族の技能、『雷電支配』を使っても、中々侮れない強さがある。

 

ああっ?!

 

「ガルルゥ……!!!」

 

上から氷の塊が……、不味っ、あ。

 

「ガァァァ!!!」

 

あひい。

 

墜とされたよ……。

 

 

 

まあ、フェンリル族だろうがなんだろうが、奇襲して空から雷を落とせば勝てないこともないんだけど……。

 

まともにやったら負けるよねえ。

 

それと、爆撃とレールガンの射撃の練習。

 

爆撃って言うのは、火薬って言う秘薬だったり、中級魔法のファイアボムが刻まれた石なんかを空から落とす戦法。

 

レールガンは、サンダーバードだけができる、フレミングの法則による電磁力で弾丸を放つ砲のこと。

 

これらを扱う訓練もする。

 

と言う訳で、あとは警邏。

 

まあ、空を飛んでるだけで良いんだから楽だよね。

 

他にも、輸送とかやってる子が多いらしいけど、そっちもただ飛んでるだけで良いから楽なんだって。

 

え?私達は馬鹿だから道に迷う?

 

そんなことないよ?

 

地図もらったし。

 

えいせいしゃしん?って言うんだって。

 

この地図は本当に分かりやすいから、これを見れば遠くの国にも行けるよ。

 

今は各国を回ってじんこうえいせい?をきどうじょうに上げてるんだって。

 

よく分かんないや。

 

輸送の仕事は高給で、一回につき大体銀貨十枚は出る。

 

行くのに何日かかかる麗国なんかに行った時には銀貨五十枚はもらえる。

 

そしたら当分は働かなくて済む。

 

でも、そう言う美味い話は、フレズベルグ族がやっちゃうなー。

 

『暴風支配』の種族としての技能を持つフレズベルグ族は、音より速く空を飛べるから、高速輸送で大儲けらしい。

 

るいしんかぜい、でその分多く税金を納める必要があるけれど、それでもかなり稼いでいる。

 

……あ!チョリソの屋台だ!

 

一本ちょーだい!

 

「銅貨三枚でさぁ。……兵隊さんが屋台で食べ歩きして良いんで?」

 

いーの!

 

 

 

何事もなく終わった警邏。

 

鐘が鳴る頃、仕事は終わる。

 

五時くらい、だけど、五時って言われてもイマイチいつ頃なのかわからない。

 

大体、太陽が沈み始める頃、かなあ。

 

その頃には、仕事が終わって、解散。

 

暗くなったら、基本的にどこもお仕事は終わりだ。

 

あ、でも、酒場、賭場なんかは、夜までやってるかな。それでも、蝋燭が勿体無いから、夜の十時にはどこも閉まるね。

 

さて、私は、まだ開いている飲食店に入って、食事をすることにした。

 

「注文は?」

 

ソパデトルティーヤで。

 

「あいよ」

 

夜だから軽めにする。

 

スープだけにしておこう。

 

うーん、スープも美味しい。サンダーバード族向けの飲食店も増えてきたし、私は嬉しいよ。

 

今晩は帰って寝よう、っと。

 

拳闘見物も観劇、賭け事も人並にはやるけど、私達ハーピィ系は、空を思いっきり飛ぶのが一番好きかな。

 

だから、仕事をすればそれだけで充実する。

 

私達からすれば、好きに空を飛ぶだけで、お金が手に入る、食べるのに困らないんだから。

 

王様についてきて良かった。

 

本当に、良かった。

 




そのうち戦争回挟みたいんですけど、まあ、未定ですわ。

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