さあ、やってまいりました。
『シティ・ライコウ』……。
たまたま回収してしまった、シティ・ライコウの上役の娘を、この街に返却しに行くのだ。
ちょうど、この街は通り道にあるようなので、どの道向かう先だったという訳だ。
無限に砂漠と荒野が広がるこの世界、GPSもないのだから、道路から逸れるとヤバいのだ。
そうそう、空撮しようと思って、この前試しにドローンを飛ばしてみたのだが、ドローンは飛行型のアポカリプスに食われてしまった。
つまり、楽することはできないってことだな。
地道に道路を辿り、マップを生成していくしかない。
プラント(物質転換機)があるとは言え、元となるリソース(素材)がなければどうしようもないからな。
目的は依然、「可能な限りのリソースを収集し、物資に困ることが万に一つもないように備えること」と、「安住の地を見つけること」の二つである。
これが、オープンワールドゲームでいう「メインクエスト」だとすると、その過程として俺達はサブクエストもこなさなくてはならない。
それがこの、シティ・ライコウの上役の娘……、「ナキア・ライコウ」を、その親である「マルルメ・ライコウ」に届けることだ……。
で、そのシティだが。
まず外観。
貨物用のコンテナと、コンクリート壁を組み合わせたような外壁が街を覆う。
そしてその外壁の上から、ボウガン?いや、バリスタらしきものを構えた衛兵らしい奴らが数十人いて。
門前にも、鉄棒の槍らしきものを構えた衛兵が複数。
その門というのは、重い金属板をレールと滑車で巻き上げる形式のもの。
後で見たが、門の裏にハンドル式の巻上げ機があって、屈強な男複数人が門を巻き上げている感じだ。
街の内部は……、新しい建物は基本的にトタン製のあばら屋。外見は錆びっ錆びで汚い。
まともな建物は、元々は店舗だのなんだのを改装したらしい、コンクリート製の家屋で。
大きなものは、恐らくは兵舎らしいコンクリート製の建物と、政治中枢らしき公民館的建物がいくつかあった。
他にも、黒煙を吐き出す煙突のある建物もある。
また、飛行タイプのジュラ娘が言うには、街の中心部に、面積にして50m四方程度の湖があり、そこから灌漑して水路を作り、作物を作っているらしい。
聞いていた通り、農業と少し工業をやっている街なんだな。
で、今は、その街の兵士に秘密基地が囲まれている訳だが……。
俺は慌てない。
鍛えられた古生物学者は慌てないのだ。
いやもう元なんですけどね……。
とにかく俺は冷静に、ひみつきち……『オロリン』の外部スピーカーを使った。
「こちら、『恐竜旅団』!マルルメ・ライコウの娘、ナキア・ライコウをスジモノから奪還した!ミリタイとして報酬を求めたい!」
……そして、しばらく待つと。
門が開かれ、三十人程度の兵士を伴いつつ、一人の女が現れた……。
年齢は三十そこら、金髪碧眼。髪の毛は後ろで一つに編んで、肩から胸の方へとかけている。
背は高めで胸も大きい。
目つきは、仮面のように塗り固められた微笑みで窺い知れないが、瞳の奥に映るものが虚空そのもので怖いな。
こんな目をした人間に昔会ったことがある……。
確か、南米の新興国のクーデター政権の……。
あの大統領も、「国の為ならば全てを捨ててよい」という覚悟と共に、国以外の全てに価値を見出せなくなった空っぽの瞳をしていた……。
その大統領が探す古代恐竜文明の遺産を取り合って、俺はその新興国そのものとバトルする羽目になったのだが、それは昔の話だ。
と言うより、古代恐竜文明は、俺が学会を追われることとなった原因なので、あまり思いだしたくない……。
その話はもういい。
とにかく、その、シティから現れた女。
こいつが恐らくは……。
「マルルメ・ライコウです。娘を保護してくださったとか?」
やはりそうか。
こいつが、マルルメ・ライコウ……。
シティ・ライコウの支配者……!
「マルルメ様!このようなアヤカシに話など!」
「そうです!アヤカシが人の言葉を話すなど、こちらを騙そうとしているのです!」
周囲の兵士達はそう叫ぶ。
どうやら、このひみつきちを機械と認識できないようだな。
こんな巨大な機械を見たことがないから、そう言う大きな化け物だと思っているのだろう。
しかし、マルルメは違う。
「黙りなさい。これは、ハガネの『キカイ』です。ここまで巨大なものは見たことはありませんが、恐らくは中で人間が操っているのでしょう」
マルルメは、ノーブル……貴族としての教養から、このひみつきちが機械の乗り物であることを即座に見抜いた。
「さあ、出てきてください。交渉をしましょう……」
よし、良いだろう。
俺は、スミロドンのスミとケナガマンモスのモースを伴って、フル武装で降り立った……。
フル武装の俺は、SF系ガスマスクにボディアーマーで、漫画やゲームに出てくるような……、例えるなら、ポストアポカリプス世界の特殊部隊のような有様だった。
肌を少しも露出せず、フル武装でいるのは、先のスーパーマーケットでの油断から。
俺は微塵も油断せず、ひみつきちの外ではこうしてフル武装を心がける。
このガスマスクとイヤーマフがあれば、銃撃は元より、ガス攻めや爆音による制圧なども無効化できる。
ジュラ娘は基本的に、俺の身を守る以外は指示待ちな子が多いからな。その辺は、タワーディフェンスゲームのキャラクターだからということなのかもしれないし、ジュラ娘の生物的な性質なのかもしれない。それは分からない。
だがとにかく、奇襲で俺が一瞬でやられるのが、展開としては一番拙いのだ。
故に俺は、警戒に警戒を重ね、防御と逃走を心がける。
正面から戦えば、ジュラ娘はそうそう負けやしないはずなのだから。
そんな、ゴテゴテに武装してきた俺を見て、マルルメは……。
……全くもって動揺していないな。
流石は指導者、と言ったところか。
それは良いとして、交渉だったな。
俺は、ジュラ娘を十人程度並べて俺を防護させつつ、トロオドンのトロに、マルルメの娘ナキアを連れて来させた……。
「ママっ!」
「ナキア!」
強く抱き合うマルルメとナキア。
……俺、ナキアを離していいって言ってないんだけどな。
ここから、何かしら交渉をするつもりだったんだけどな!
まあ、ナキアを親元に返すとは言ってあったし、仕方ないか……。
とにかく、今からでも遅くない。
何か、リソースになるものを貰おう。
「マルルメ殿。俺は慈善事業をやっている訳ではない。タダで娘を返すと思うか?」
「……無論です。お礼として、シティ産のリョーショクと武具を提供しようと思いますが、他に何かありますか?」
植物性素材と無機素材か……。
希土素材は無理だとしても、動物性素材は追加でもらいたいところだ。
「概ねそれで良い。しかし、ケモノの肉や、なければアポカリプスの肉も欲しいと思う」
「分かりました。詳しい交渉は、街の中で……」
最近はマジで遊んで過ごしてました。
英気を養ったけど、書けてはいないんですよねえ……。
とりあえず、手元にあるのはソシャゲ転移が7話、満月の狂人が7話。あとは雑多な思いつきの新作が10話未満で何もお出しできない……。
まあ思いつき週なのでマイペースにやります故、これからも応援よろしくお願いします。