ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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ネットがない空間とか無理、死ぬ。


4話 絶望

「いやー、もう十時間ぐらいぶっ通しで歩いてるけど、疲れねえな俺」

 

草原を行く。

 

この一週間、この世界の一般的な村で生活して分かったことがあった。

 

まず文化。

 

中世後期レベルだが、魔道具と呼ばれる魔法のアイテムの普及で部分的に進んで、または遅れている。

 

魔物。

 

外に出れば魔物がいるのは当然。未開の地も沢山。

 

冒険者。

 

俺がやってきたのは女騎士がオークや触手にぐちょぐちょにされるファンタジーが主なのでよく分からなかったが、どうやら、何でも屋のことらしい。

 

言語。

 

文字は英語だ。

 

英語読めて助かった。ああいや、生命工学は海外の方が進んでるから、参考文書とか漁るのにもどうしても英語は必要だったんだよね。因みにドイツ語も読めるぞ。

 

経済。

 

例によって、一部貴族が不当に儲けたりしてるらしい。この辺で悪名高いのはワルバッド卿とか言う人とのこと。

 

奴隷。

 

現代日本からしたら考えられない文化レベルだな。しかし、犯罪者や難民、孤児を受け入れる公的な機関はない。奴隷になれば死なないだけマシってことか?

 

パンティとブラジャー。

 

何故か存在する。

 

エロ触手の被害。

 

あるらしい。

 

何でもエロ触手は媚薬や排卵誘発剤の材料になるとか。

 

さて、知るべきことは知った。村長は長く生きているだけあってそれなりに博識だった。どうやら識字率が低いこの世界において珍しく本を読める人だったらしく、知識量は中々のものだった。

 

そして、海神の蠕動。

 

レベル5のレア度EXのレアスキル。

 

水棲生物……、エロ触手を始め、海藻、川魚、海龍、海獣どんな物でも呼び出して従わせ、肉体にそれを反映させる。

 

つまり、先日のように魚介類をぬるっと出すことも、手脚をぬるっと触手にすることも、って言うか羽とか色々生やして神話生物になって、一般市民の皆さんにSAN値チェックを強制することもできる。

 

脳内に思い浮かべればほら。

 

『クトゥルフ』、ランクEXクラス。邪神。オクトパス種の超進化個体の最終段階。狂気のオーラレベル5、水属性の魔法を自在に操り……。

 

……などと、あからさまにやばい魔物になれる、もしくは呼び出せることが分かる。

 

マジやばくね?

 

 

 

歩きながら目的を考える。

 

旅の目的だ。

 

俺は思った。

 

この世界は未発達だ、と。

 

エロゲが、無い。

 

趣味兼仕事の研究も、できない。

 

好きだったロックを聴くことも、毎月買ってたエロ漫画も、官能小説も、映画もアニメもスマホゲーも。

 

毎週通っていた家系ラーメンも、割と美味かった学食も、お袋の手料理も、暇な時にコックパット見て作るカレーも。

 

それだけじゃねえ。便利なコンビニ、ブックオン、konozama、公共サービス。

 

何もない。

 

確かに、エロ触手はある。

 

でも、俺は実際にレイプがしたい訳じゃないんだ。

 

やるとしてもレイプ風味のプレイがいいんであって、本気で泣き叫ぶ女の子に触手をぶち込もうだなんて思っちゃいない。

 

俺をこの世界に送った神とやらは、ジョークを理解できなかったのか。

 

どう考えても、その、こんな世界で核爆弾クラスの地雷埋め込んで放り出されるなんて予想してないってか、正直辛い。

 

「帰りたい……、神奈川に帰りたい……」

 

だが……。

 

「この身体じゃ、帰るに帰れねえ……」

 

化け物になっちまったしな……。

 

でも帰りてぇ……。

 

帰ろう。

 

帰る。

 

よし。

 

どうにかして南城大学に帰ろう。

 

目的は、日本に帰ること。

 

次は過程だ。

 

先ずは、王国の図書館とやらで知識を蓄え、冒険者とやらをやって金を稼ぐ。

 

図書館、まあ、書籍は英語みたいだし何とかなる。

 

冒険者は、まあ、日雇い労働者みたいなもんらしいし、どうにかなるでしょ。

 

「はぁー、どうしよこれ、どうすんだ本当」

 

と、頭を抱えて歩いていると。

 

「ガルルルゥ!オオオオオオオー!!!」

 

「この、逃すなよ!!」

 

「奴隷紋は刻んだはずだろ?!どこにこんな力が?!」

 

「引っ張れ!!」

 

数百人の兵士らしき人影が現れた。

 

その人影は何かを連行しているようだ。

 

厄介ごとか、厄介ごとだな。

 

隠れよう。……って草原じゃ隠れられねえな。

 

こんな時こそスキル。

 

脳内に使えそうな水棲生物をピックアップ。

 

『ステルス・ディープシー・オクトパス』、全長10メートルの海洋生物。上級魔術フルステルスの効果を持つ隠蔽力を使い、深海で獲物を待つ。

 

良いね。

 

体表の色を変化させて、周囲に溶け込むそうだ。

 

じわりと色を変化させる俺。

 

手脚を見ると、消えていることが分かる。ゲームのステルス迷彩みたいだ。

 

「クソッ、引っ張れ!」

 

「この化け物め!」

 

「おい、早くしろ!」

 

さあて、何が起きてんのかなー?

 

「ウガァァァ!!!!」

 

……雄叫びを上げていたのは、女だった。

 

それも、ただの女じゃない。

 

褐色の肌、紫の癖がある長髪、巨乳。ここまでは普通に可愛らしい。だが、尖った耳、漆黒の角、大きな翼に龍の尻尾。鋭い爪と牙。

 

これは、まさか。

 

龍、人?

 

「放せぇ!!!私は誰にも従わない!!!」

 

「はっ、お前は奴隷になるんだよ!来たるべき魔王との戦争の尖兵にし、我が国のため戦わせてやるんだ!ありがたく思え!」

 

女は、檻の中で鎖で雁字搦めに拘束され、恐らくは魔法の品であろう、文字が刻まれた包帯のようなものを巻かれ、その上、胸をあからさまな聖剣に貫かれている。

 

んー。

 

んー?

 

ぬるっと、檻の中に入る。

 

そして、小声で話しかけた。

 

「なあ、お嬢ちゃん。困ってんのか?」

 

「何だ、お前は……?」

 

「助けようか?」

 

「……ああ、助けてくれ。私は、自由でいたい」

 

「了解、っと」

 

俺の頭にあったのはただ一つ。

 

助けたお礼に触手プレイに付き合ってくれねえかな、だけだった。

 




将来のクランメンバーの一人、登場。

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