ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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太り過ぎィ!!!


11話 ライオン・ガード

「なあなあ!ダニエル殿!また胸を開いて見せてくれないか?!」

 

「性的な意味で?」

 

「いや、機械的な意味でだ!」

 

「壊されたら困るしなあ……」

 

「壊さないから!元に戻すから!なっ、お願いだよー!」

 

ダニエルは、腰に抱きつくイルヴァをあしらいながら、イルヴァの一族……、イェーデルホルム家の総勢三十名を連れて、郊外の森までやってきた。

 

そこには、ブルームーン号が鎮座している。

 

「「「「おおっ!」」」」

 

歓声を上げるイェーデルホルム家の面々。

 

ぐるぐる目に薄汚れた格好をした狂人なのがイェーデルホルム家の基本なのか、皆そのような感じだった。

 

しかし、ダニエルからすれば、「話が通じるだけでグリムギア乗りよりはまともやんけ!」という認識なので、分け隔てなく接している。

 

そもそも、ダニエルの生きた五十六世紀頃は、国民はほぼ全員サイボーグ化しており、その肉体は末期のMMOゲームが如く多種多様である故、見た目を気にすることはほぼない。

 

道をゆけばエロ触手やらガチ獣人やらロボ人間やらが歩っている世界から来た彼は、見た目で差別することはない。まあ、ブスにはブスとはっきり言うが。

 

「傾聴してください。これから、皆様には、ブルームーン号で学習をしていただきます。その為の教室を開設するので、皆様にはお手伝いを願います」

 

「「「「はい!」」」」

 

引率のニアは、二十世紀の観光ガイドのように、小さな旗を振りながら、イェーデルホルム家のエルフ錬金術師達を案内する。

 

それと同時並行に、作業ロボット達がブルームーン号を改造して、大部屋を作る。

 

パーツを造れる工場ユニットも外に出して、一つの建物にした。

 

その空いたスペースが大部屋だ。

 

ブルームーン号は最早、事務所兼兵器工場になっていた……。

 

 

 

そうして色々とやっているうちに、話を聞きつけてネリアポリスの人々がちらほらと見物に来る。

 

その中には、こんな存在もいた……。

 

「たのもー!」

 

人間ではあり得ないほどの大声で叫ぶ女。

 

きりりと引き締まった鋭い瞳、くっきりとした目鼻立ち、紅色の唇。

 

しかしそれは、ただの人間ではなかった。

 

黒肌に丸い獣の耳、鬣のような髪、鋭い爪と牙。

 

女とは思えない190cmもの巨躯には、筋肉と脂肪が程よく乗っている。

 

「たのもー!おーい!出てこい!」

 

服装は、デカ過ぎる乳がこぼれそうなチューブトップに、ボロボロのデニムジーンズにブーツ。

 

腰には、使い込まれた鉈剣を帯びている。

 

銃が戦場のメインウェポンとなって久しい今、刃物を帯びるなどアホ同然だ。

 

しかし彼女はそれで良い。

 

何故なら彼女は……。

 

「うるさいですね……、子宮全摘すんぞ。誰だ?」

 

「アタシは、獅子獣人のアトラってもんだ!お前がよそ者の傭兵か?!」

 

獣人だからだ。

 

獣人とは、このヴェリタ王国のある大陸の、海を隔てた南側にある大陸に住む種族。

 

人間よりも強い身体能力が特徴だが、個体数の少なさと、種族としての知識知能の差で人間の奴隷になっている。

 

このアトラという女も、奴隷狩りに捕まって「輸入」された商品であった。

 

だが、彼女は、獣人の中でも最強と名高い獅子獣人だ。

 

鎖を砕き、仲間を連れて逃げ出した……のはいいものの、このエウロリア地方で無学な獣人に仕事などなく、スラムで日雇い労働や物盗りなどをして生きてきたという過去がある。

 

獅子獣人である彼女は、鉈剣一本あれば、ピストルを持った男数人をぶちのめす程度は訳ない。

 

彼女は、その腕っ節とカリスマで、スラム街をまとめ上げるリーダーだった。

 

そんな彼女が、何故ここに来たのか?

 

「いかにも、私が変な傭兵さんです」

 

「そうか!じゃあアタシ達を雇え!」

 

仕事を探しに来たのである。

 

彼女達獣人は、無学であるが知恵遅れではない。

 

このエウロリアで数年生きて、様々なことを学んだ。

 

人間の社会の仕組み、生活の仕方、作法。

 

それを基に考えて、これが最適だと感じだから、ここに来ているのだ。

 

もちろん、彼女の獣じみた勘によるところが大きいが……。

 

「よそ者でも、この辺のボスに気に入られて、金をたくさん稼いだんだろ?なら、同じよそ者のアタシ達も仲間にしてくれ!」

 

と。

 

つまり、そう考えた訳だ。

 

事実、「世界地図」が描かれるくらいにはこの星は開拓されたが、それでもまだ人種差別や地方差別部落差別と差別は多い。

 

ネリアポリスの人々も悪い人ではないのだろうが、地元の住民よりも外国人を、それも奴隷種族の獣人を優遇することはないのだ。

 

この世界の基準ならむしろ、獣人を雇ってくれているだけでかなり開明的と言えるだろう。

 

かの悪名高きドレイク帝国は、獣人奴隷を山ほど捕まえて、無休の無給で砂糖プランテーションで働かせているのだから、少なくとも給金を出すだけまだマシだ。

 

これに対してダニエルは。

 

「ふーん、まあ良いんじゃね?」

 

と返した。

 

重ねて言うが、ダニエルは人種で差別はしない。

 

ブスにはブスと言うが、それは差別ではなく区別だ。

 

ブスでも友好的な存在は厚遇するし、美人でも敵なら容赦なく殺す。

 

むしろ、まだ人型兵器を造ると発表していないこの段階で、即座に動いて頭を下げに来たアトラ達スラム獣人のことは、かなり評価していた。

 

判断の速さはそれだけでプラス査定なのだ。

 

「じゃあお前パイロットな。他の奴は警備員。事務はできんでしょ?」

 

「おう!よく分かんないぞ!」

 

「元気が良い、+334点」

 

「ははは!お前、何言ってるか分かんないな!」

 

「良いから風呂でも入ってこい。臭くて敵わん」

 

「おお!太っ腹だな!」

 

 

 

そうして、しばらくの時が過ぎ……。

 

創世歴1255年5月7日……。

 

四機の人型兵器、グリムギアのモンキーモデル、『グリムメイル』が製造された……。

 




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