ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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雪ーーーーー!!!


13話 ファースト・クライ

ネクロ77型は、初運転の訓練で素晴らしい性能を見せた。

 

更には、この世界の常識からは考えられない超威力の兵装、『レールガン』『高周波ブレード』の二つも、民衆を大いに驚かせる。

 

エネルギー兵器など、この世界にはまだないのだから。

 

そして、目には見えない要素だが、出力の高さもこの世界の機体とは段違いだった。

 

例えば、このヴェリタ王国の制式採用機である『グエリエロ』の出力は1800キロマギカ……、凡そ、1800キロワットであるのに対し……。

 

この、ネクロ77型の機関出力は、3000キロワットもあった。

 

また、マギアメイルがエリクシア・リキッドという高価な燃料を100L補充して250時間動くか動かないかという燃費に対して、グリムメイルはバッテリー充電式で最大活動時間は550時間という超兵器だ。

 

しかもその充電の為の電力も、ブルームーン号に複数ある永久機関であるマクスウェルエンジンから無限に供給できる。

 

その圧倒的な出力と、武器内にある強力なコンデンサが、エネルギー兵器の使用を可能とした理由だった訳だが……。

 

周囲からそれを見ている人間に、これらの兵器の強さが真の意味で分かるのは、半年後の話になる……。

 

 

 

さて、ネクロ77型のパイロット達だが。

 

いかに、操作が簡単なグリムメイルとはいえ、訓練は必要だ。

 

グリモア(AI)に癖などを覚えさせる為に、パイロットは、極力多くの状況下に置かなければならない。

 

まず、最初の一月は、ネリアポリスの練兵場で延々と取っ組み合いをした。

 

信じられるだろうか?8mはある人型兵器が、受け身の練習をしているのだ。

 

マギアメイルにはもちろん、このような機能はないし、付けられるものでもないだろう。

 

マギアメイルはあくまでも、人の形をした機械であり、間違っても、人間らしい動きはそうそうできるものではなかった。

 

ただ、油圧ピストンのパワーで、力強く武器を振り回し、敵に体当たりし、あとは引き金を引くくらいのものだ。

 

もちろん、それはルーク級(佐官専用機)ともなると話は違うのだろうが。

 

だが少なくとも、ポーン級(量産機)やナイト級(隊長機)では不可能だった。

 

つまり、このネクロ77型は、量産機でありながらも佐官専用機ほどの性能を持ち合わせていることになる。

 

……因みに、グリムギアのネクロ77型は、スペックの数字的には、このグリムメイルの方と比べると、三十倍近い差がある。

 

何故意図的に性能を低くしたのか?というと、グリムギアは、人間を超越したサイボーグが搭乗することを前提としているからだ。

 

普通の人間がグリムギアに乗ると、Gでミンチになるし、そもそも認知機能が足りずに機体性能に振り回されて碌に動けなくなる。

 

そうして、パイロット達は訓練に励んでいる……。

 

 

 

……後に、『ブックシェルフ』と呼ばれる、テラリス星最強の傭兵組合は、初めはたった四人のパイロットから始まった。

 

後世の歴史書にはこう記されるであろう。

 

だが、彼ら四人の始まりのパイロットも、最初から強かった訳ではない。

 

むしろ、訓練に手間取っていたくらいだった。

 

アトラ

 

ディーノ・ベルモンド

 

ステファノ・パストーレ

 

ジョルジョ・ビアンコ

 

これから、数百では収まらない量の名前が記載されることになるパイロット名簿の、一番上に記された四つの名前……。

 

彼らの訓練の様子は、と言うと……。

 

『わああっ!転んだ!』

 

ガサツで力任せな獅子獣人のアトラ。

 

『っくそ、修理費が……』

 

修理費を気にして上手く動けないディーノ。

 

『はは、面白いねえ』

 

実機を動かさずシミュレータに篭るステファノ。

 

『おおおおおっ!』

 

逆に実機を動かし続けるジョルジョ……。

 

率直に言えば、「酷い」ものだった。

 

だが、これを見ていたダニエルとニアは、「まあこんなもんだろう」と流している。

 

何故か?

 

こんな程度、ガチめな人格破綻者揃いのグリムギアパイロットと比べれば、まさに「お利口さん」そのものだから。

 

こんな程度、矯正するまでもない。

 

街に降りれば、暴行、レイプ、発砲、爆破と碌なことをやらない愚連隊と共同戦線を張ってきたダニエルなどは、あまりのお利口さに感動したくらいである。

 

『じゃあ、実戦やろうか』

 

『『『『……え?』』』』

 

しかし、忘れることなかれ。

 

このダニエルも、その愚連隊の一員だったのだ。

 

まともな訓練など、やる訳がない。

 

朝から休憩を挟みつつも十時間もの訓練をさせ、クタクタになった四人の新米パイロットに笑顔で言った言葉。

 

それがこれだった。

 

『い、いや、無理……』

 

当然、新米達はそう漏らした。

 

無理だ、と。

 

『何で無理なん?』

 

『疲れてるし……』

 

『え?疲れてると敵は待ってくれんの?』

 

本気で「わからない」という面をしたダニエルが首を傾げる。

 

これは、本気で言っているのだ。

 

『パイロットだろ?飯食ってようが女抱いてようがクソ垂れてようが、戦う時は戦わなきゃ』

 

グリムギアパイロットは、壊れている。

 

例外はない。

 

ただ、その壊れた部分が表面に出ている奴が殆どと言うだけの話で。

 

ダニエル・ヒューガもまた、壊れている。

 

最も機械に近づいた人間、史上最強のサイボーグである彼は、生まれつきいくつかの異常があった。

 

痛覚がほぼないこと。

 

精神的疲労を感じないこと。

 

睡眠を必要としないこと。

 

生まれつき、ぶっ壊れた「ヒトモドキ」だったのだ。

 

常在戦場、などと言う言葉があるが、そんな生やさしいものではない。

 

奇襲を受けたらすぐに戦闘スイッチが入る!だとか、そんなものではないのだ。

 

この男にあるのは、ただ一つ。

 

常に自然体でいること。

 

その自然体で日常を過ごし、自然体で戦う。

 

正に、生ける機械であった。

 

『ほーい!じゃ、ガンバルゾー!』

 

深夜二時。

 

新米パイロット達の初めての実戦が始まった……。

 




雪ほんまに嫌だ。
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