「行くぜ、ブレイズセイバー!」
『応っ!』
俺はまず、ロボテックに指示を出す為のアプリが入った端末……、『ケータッチ』を開いた。
腕輪型のケータッチは、空中に立体映像を映し出す。
それは、俺の愛機、ブレイズセイバーの視点カメラから見た景色だ。
それに、HPとエネルギーをゲージで表示したインジゲーターに、照準などが並ぶ。
俺はシンプルな画面配置にしているけど、例えばケンジみたいな狙撃タイプのロボテック使いは、レーダー配置や高度計なんかを追加配置するらしい。
とにかく俺は、ブレイズセイバーのブーストを吹かせて、まっすぐ前に進んで行った。
相手は、テロリストであるバタリオンの標準的なロボテック、『スクラプ』……。
灰色のボディに、緑色のディスプレイみたいな頭部カメラが特徴の四角いフォルムをした中量人型二脚タイプ。
武装は片手持ちのマシンガンにライオットシールド、それと警棒だ。
かつてブレイクアウトしたバタリオン達の武器を、知り合いのロボテックショップに持ち込んだところ、「構造を簡単にすることで量産性を高めている」「精度は低めだが、数を揃えて撃つ分には充分」と評価されていた。
つまり、油断はできないってことだ!
「ブレイズセイバー!Vライフルだ!」
『了解!V(ビクトリー)ライフルッ!!!』
ブレイズセイバーは近接型寄りの中量機だけど、優れた反応速度がある!
だから、ライフルによる攻撃も可能なオールラウンダーなんだ!
ココロAIは学習をするから、射撃の猛特訓で苦手な遠距離戦を克服した俺達コンビに敵はいないぜ!
『ロックオン!』
「撃てっ!」
立体映像の操縦パネルにタッチ!
そして、弾丸が飛んでゆく!
Vライフルは、種別的にはバトルライフルだ。
連射力はそこそこだけど、一発の威力が強い!
そんなVライフルを撃ちながら、俺は全力で突っ込んで行った!
一発一発を上手く命中させる必要はない……、『牽制射撃』だよな!お兄ちゃんとの特訓は無駄になってないぜ……!
『ヌワーッ!』
俺が狙ったスクラプ四体は、見事に混乱しているな!
盾を構えてじっとしていることしかできないようだ。
その隙に、ブレイズセイバーは距離を詰めるぜ!
何せ、ブレイズセイバーの真骨頂は……!
「剣を抜け、ブレイズセイバー!」
『了解!Vカリバー!』
近接戦闘だ!!!
右手にVカリバー、左手にVシールドを構えたブレイズセイバーは、Vカリバー……両片手剣(バスタードソード)を天高く掲げる!
「クソォ!シールドで防御を固めろ!」
「いや、シールドはもう保たない!警棒で防ぐんだ!」
「俺のスクラプが囮になる!その隙にやれ!」
「分かった!うおおおおっ!」
無駄だ!
Vカリバーはただの実体ブレードじゃない!
Vカリバーは……!
『ボウギョ、リョウカ……グワーーーッ!サヨナラ!!!』
「なっ、何ぃっ?!!!」
Vカリバーは、『ヒートブレード』だ!
超高熱で、プラスティール装甲を焼き切る!
だから、防御不能の究極剣なんだ!
「そ、そんな!俺のスクラプがぁーっ!!!」
「くっそぉ!仲間の仇ーーーっ!!!」
むっ!
後ろから来たか!
だけど!
「やらせないわよ!」
「ごんす!」
「僕達を忘れないでください!」
三人の仲間達のロボテックが援護してくれた!
「く、くそおおおっ!」
「これで終わりだあっ!!!」
……そんな時、またもや銃声が。
「ああっ、あれは!」
俺の担任の先生、マイ先生が捕まっている!
「動くな!この女の頭を吹っ飛ばすぞ?!」
目出し帽を被ったテロリストが、先生を捕まえて叫ぶ。
くそ!あれじゃ手出しができない!
「人質を殺すぞ!ケータッチを捨てろ!」
……俺だって、勉強は苦手だけど馬鹿じゃない。
この局面でケータッチを捨てたら、逆転不可能なくらいに追い詰められることくらい、分かってる。
でも、ここで意地を張ったら、先生が……!
どうする……、どうすればいい?!
お兄ちゃん……、俺は、俺はっ……!
俺が迷っていると……、今度はまた、いきなり。
空から、黒尽くめの人間が降ってきた。
……何事?!
黒い奴は、装甲服とパイロットスーツの合いの子のような、肌を一切露出しない服を着ていた。
赤いバイザーのヘルメットからも、顔は全く見えない。そういう処理をしたグラスなんだろうな。
体型は分からないけど、背が高いから大人の男だと思うかな?
そんな奴が、いきなり、空から降ってきた。
……何でぇ?
呆気に取られたのは、俺達だけじゃなく、バタリオンも。
黒い奴は……、落ちてきた瞬間に、ナイフで銃を持ったバタリオンを斬りつけたみたいだ。
「ぎいいやああああ?!!!!!」
うわっ……、ひでえ!
銃を持ったバタリオンの、ゆ、指を切り落としたんだ!
引き金にかかっていた人差し指が……、ポ、ポロッと、取れた!
「い、いやああああああっ!!!!」
俺の背後で、女の子のユーリが大きな悲鳴を上げた。
無理もないぜ、あんなの……!
「う、うおおおおっ!スクラプ!俺達を守れええええっ!!!」
『『『『ハイ!ヨロコンデー!』』』』
うわっ?!スクラプだ!
十二体もいる!まだこんなにいやがったのか?!
と、とにかく、多勢に無勢だ!
よく分からないけど、黒い奴は一応、マイ先生を助けてくれたし……。
助けなきゃ!
「ブレイズセイバー!」
『了解!』
ココロAIは、マスターである人間との交流で無限に成長する!
ブレイズセイバーは、俺のしたいことを、思っていることを、すぐに感じ取ってくれるんだ!
そんな、ブレイズセイバーが……。
『なっ?!ぐああっ!!!』
黒い、ロボテックに弾き飛ばされた!
「なっ……?!なんだ?!」
黒いロボテック……いや、あれは……、ロボテック、なのか?
大きさも形も、全部が違う。
五頭身程度のロボテックとは全く違ったデザインで、八頭身の小さな頭。胴が細くて、手足が長く太い。ロボテックの共通規格パーツはどれも取り付けられないように見える。
武器も異常で、背中のバックパックから伸びるアームのようなものが、巨大な砲身とよく分からない何かとレドームのようなものを保持して、両肩の上と横側には大型のミサイルポッドが。
腕には、通常のロボテックなら両手持ちで一丁が限界であろう巨大なガトリングガンが、四砲身並べて束ねられたものを持っている。しかも、片手に四砲身ずつだ。
膝や腰にはパルス系の電磁砲があって、胴体にもバルカンや拡散ビーム砲がある。火薬庫みたいだ。
そんなヤバそうな超重装甲型が、赤黒い粒子を撒き散らしながらブーストで「常時飛行」しつつ、普通のロボテックの倍は大きい40cmもの巨体で浮遊していた。
こいつ……、どこかで見たことが……?
『ライト!気をつけろ!こいつは、《裏テックバトルランキング》の最大王者!《アレイスター》だ!!!』
ブレイズセイバーの声を聞いて……、俺は思い出した!
裏テックバトルランキング……、それは、ブレイクアウトしても終わらない地獄のバトル!
通常、ロボテックは、装甲が破壊されてブレイクアウトすると、その時点で保護モードが発動して動きが止まり、内部機能の保持に全リソースを注ぎ込むんだ。
でも、その内部保持機能をオフにして、お互いのロボテックが完全に破壊されるまで行われる最悪のテックバトル……言わば、ロボテック同士の『殺し合い』をやる奴ら!
それを、『裏テックバトラー』と言う!
その中でも、ここ数年で最強無敵と名高い、最悪の王者……。
「『暁月のアレイスター』……!そして、愛機の『天死エイワス』か……!」
アレイスターとエイワスのコンビだ!
裏のテックバトラーが、何故ここに……?
ホビアニ、20話まで書けました。
息抜きで書いていた召喚士ものは17話第一章完まで綺麗に書けましたが、特に面白い内容でもないのでオクラ入り。
ここでそろそろ重い腰を上げて、サイバーパンク学園の続きを書きたい……。