休みなんだから家にいろよ!
一つ、気がついたことがある。
この世界の狂いっぷりは、俺に不利に働く部分もあれば、有利に働く部分もあるということだ。
具体的に言えば、俺が15歳の若さで弁護士になれたこと、大金を稼げていること、そして……。
「「ゼット様ぁ〜♡」」
浮気をしてもあまり問題がない、ということだ。
恐らくここも、何らかの補正が働いているのだろう。
俺が演じている「イケメンでハイソな若手弁護士にしてやり手の実業家」のペルソナは、実際に俺をそのペルソナに限りなく近付けている。
考えてみればそうだろう。
原作主人公の兄にして、完璧超人の飛び級弁護士少年。しかし、裏の姿は最強の裏テックバトラー……。
設定盛り過ぎだが、物語的には「補正」がかかって当然というものだ。
さっきも言ったが、この世界には「運命」がある。
「原作」の運命、ホビーアニメ世界の「法則」だ。
それは、「絆の力」とか「愛」とかいうよく分からん感情論が無限のパワーを生み、小学生じみた「夢」や「希望」が明日を照らす、そういう「お約束」のパワー……。
であれば、それを俺は利用するのだ。
「主人公の兄」だから強キャラ!
「天才キャラ」だから常軌を逸した知能を持つ!
「イケメンキャラ」だから女にモテる!
「実は最強の裏テックバトラー」という二面性は逆にパワーを生み出し!
「直接的な殺人をしていない」のは、光の陣営に鞍替えできる予防線となる!
「女たらしキャラ」は「金持ちキャラ」と「ハーレムでもちゃんと面倒を見る律儀キャラ」で相殺する!
これで俺は、世界法則を利用して力を得るのだ……!
「ゼット様!今日は何をします?」
「アタシ、ゼット様の為ならなんでもするから!」
ご覧の通り、俺が運命の力を使いこなしているから、浮気をしても文句一つ言われない!
やはり上手くいっているな……!
よし、本題に入ろう。
ネネコとヤトギに、俺の計画を話す。
「お前達に頼みたいのは、まず、俺の弟のサポートだ」
「「サポート?」」
「ああ、俺の弟はバタリオンと戦っているんだが……」
「バタリオン……ってのは何です?」
「ああ、そこからか」
俺は二人のサブヒロインに説明してやった。
バタリオンについて……。
「バタリオンは、平たく言えば、ロボテックによって職を追われた軍人達の集まったテロ集団だ」
「テロ集団……?もしかして、この前の?」
「そう、この前に学園に来たのも、そのバタリオンだな。あいつらの目的は、ロボテックを兵器にし、世界を征服することだ」
「「……えっと?」」
お、ドン引きか。
正しい反応だな。
「さっきも言ったが、奴らは軍人な訳だ。戦うのが仕事なんだよ。だが、ロボテックという、兵士よりもよほど信頼できる道徳感を持つロボットを、一人一つ持って、それぞれが主人を守っている……」
「ああ、なるほど!戦争みたいな戦う仕事がないから……ってことですね!」
「確かに、ロボテックを兵器にすれば、スゴい戦争を起こせマスね」
合点がいった、という顔をする二人。
「あ、でも……、ロボテックには『ココロAI』があって、人を傷つけられないはずやないですか?」
と、ヤトギ。
「イヤ、そーでもないよ?ココロAIは訓練によって緩められるから。殺し屋裏テックバトラーのロボテックは、躊躇いなく人間を撃つね」
と、こちらはネネコ。
「その辺はどうやら、ココロAIの代わりに『安易AI』というものを積んでいるらしい」
俺が答えてやる。
……そう、そうなんだよな。
ロボテックというハードウェアがあるなら、使いづらい『ココロAI』じゃなくて、別の制御装置を使えば良いんだよな。
ココロAIには「良心回路」というものがあり、それによってロボテックは人やモノを傷つけない優しい心を持つ。
長きに渡る訓練で、この良心回路を麻痺させることも可能だが、それはかなりコスパが悪い行為だ。
であれば、ココロAIに代わる別の制御AIで動かしちゃえば良くね?というのがバタリオンの考えだ。
確かに、ココロAIは凄まじい。
コミュニケーションを重ねることで、持ち主の意思を勝手に汲んで動いてくれるようになるし、訓練を重ねることで性能が無限に上がっていく。自分で考えて行動するから、例え主人が身動きがとれなくなっていたとしても、自己判断で助けに来てくれたりするのだ。
だが、安易AIはそんなものはない。
自律する、というココロAIの利点と欠点をかなぐり捨てて、ただ単に「ロボテックを動かすこと」のみにリソースを割り振ったものである。
ケータッチの指示によって、歩いて、飛んで、撃つ。
成長もしないし、自分で考えることもないし、指示がなければ何もできない。
……だがそれは、兵器としてみれば充分なものだ。
ロボテックの強みは、「ある程度の銃撃にすら耐え得る堅牢性」と「殺人に十分過ぎる火力」、そして「小型かつ軽量でどんなドローンより高性能」であること。
ケータッチの操作信号も、その気になれば数百メートルくらいまで飛ばせる。
しかも、手持ちの武装を換装することで、狙撃や破壊工作、護衛に偵察など多目的運用が可能……。
つまり、クソ強い殺戮ドローンという訳だ。
最悪、抱え切れるだけのプラスチック爆弾を背負って特攻させるだけでも、最強兵器の座を得てしまうレベル。
そんな説明を二人にする。
「なるほど……。バタリオンのロボテックは、決まった命令しか聞けない完全な道具という訳ですね」
「そうだ。だが、数は多い。つまり、戦う奴の手が足りないんだ」
「つまり、テロリストと戦えば良いんですね?」
「いや、無理そうなら逃げて良い。自分の身を優先しろ」
……そう言った方が善人ポイントを稼げて、補正がかかるだろうしな。
「は、はい♡でしたら、弟サンを守れば……?」
「露骨に守る必要はないな。ただ、今回のようにバタリオンと戦うことがあれば、弟に手を貸してやってほしいんだ」
「「分かりました!」」
それと……。
「それと、これからは多くの戦いがあると予測している。その際に、俺の作る勢力で戦うようにしてほしい。その時までにテックバトルの訓練もしておいてもらいたい」
「「はい!」」
「その為に、うちの訓練室は常時開放しておく。……今、ケータッチに、この館の開錠キーを転送しておいた。好きな時に来て良い」
「「……好きな時に来て良い??!?!?!!?!!」」
これで良し、と……。
もういっそ開き直って、サブヒロインとかモブ女キャラとかを勧誘して大部隊作るか。
キャラデザ派手であんまり記憶にない女を勧誘すりゃ良いんだろ?知ってる知ってる。
キャラチップありってだけで実力は保証されてるんだ、楽なもんよ……!
今、パスファインダーキングメーカーやってんですけど、これ中々良いっすね!
TRPGものの続きを書きます。