ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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インフィニットオルフェンズ草。


33話 麗国の改革

中国に当たる地域、麗国の指導権を奪う。

 

指導者は黄龍族の雷天と言う男だった。

 

人外らしく歳をとりづらいものなのか、三十代程の見た目。しかし実年齢は二千を超えるらしいと後で聞いたな。

 

長い黒髪を首の後ろで縛り、ハルバード……、中華風に言えば長戟か、を持った、中国鎧のようなものを着た、厳しい面をした男だ。

 

どうやら、麗国においては、魔力は気功と表現され、その気功を纏い適切に放出することが基本的な戦闘スタイルになっているらしい。

 

踏み込むと同時に背中から気功を噴出し突っ込んできた時は些か驚いたな。

 

龍の身体能力を気功の放出で更に高めて戦うとは、うまく考えたものだ。これなら、一騎当千だろうな。

 

貫手も素早く、蹴りも鋭く、威力も高かった。

 

まともに食らえば俺でもダメージを受けるだろうと思えるほどの近接格闘。

 

久々に武技を見れて心が踊った。

 

が、そこまでだ。

 

気功を纏い銃弾を防いだが、流石に対物ライフルの弾丸は防げなかったようだな。

 

片腕を吹き飛ばされ倒れる雷天。

 

しかし、気に入ったぞ。

 

この世界に来てからトップクラスに強かったからな。

 

対物ライフルならば、掠っただけでも人が死ぬ威力がある。

 

それを片手を犠牲にするだけで被害を抑え、尚且つ、片腕を失ってもショック死しなかったその生命力も素晴らしい。

 

 

 

「……で?我を倒して何が望みだ?」

 

吹き飛んだ雷天の片腕を回復魔法でくっ付けて再生、交渉に入る。

 

「国の支配権を寄越せ」

 

「むぅ……、我を倒す者であれば、それも悪くないか……」

 

基本的に魔人やモンスター娘の本質は獣と変わらない。

 

自分より強い者に従うのだ。

 

何故こんな調子で国が保つのか分からないものだが……。

 

だがまあ、国の仕組みの骨格はよくできている。上がボンクラでも官僚がいれば回るということだろう。

 

「では、触れを出せ。支配者が変わった、とな」

 

「よし、良いだろう。誰か!紙と筆を持ってこい!」

 

 

 

数ヶ月後、東西南北を守護する、青龍族、朱雀族、白虎族、玄武族が文句を言いに来たが、叩きのめした。

 

さて、やることはジパングの改革とほぼ変わらない。

 

面積と人口が圧倒的に大きいからな、時間が必要だろうが。

 

アバタークローニングの魔法で分身し、各地に飛ぶ。

 

……この魔法も中々に面白い。

 

魔力を持った分身体を展開する魔法だが、その展開量は込めた魔力に比例する。

 

全力で魔力を込めれば、本体はすっからかんになるが、数百万程に分身できるんだよな。

 

但し、数百万も分身すると、分身一体一体の魔力量はほぼ無い。ライター程の火を灯すのが限界ってくらいだ。

 

それに、個体ごとの情報共有ができるのが強みだな。

 

本体である俺にある程度の情報が共有される。

 

流石に負担は大きいがな。

 

……まあ、たった一人の脳で百万を超える分身の情報を制御できる時点で何かがおかしいのだが。

 

その辺りは暇な時にでも実験して調査するかァ。

 

重要なのは使えるかどうかだからな。

 

戦闘機の仕組みを理解していなくても操縦法が分かれば人は殺せるだろ?つまりそう言うことだ。

 

さて、適当に改革して回り、重税を課したり権力にものを言わせて暴れていた連中は皆殺しにしたが。

 

「陛下、困ります!勝手に官僚を粛清など……!おやめください!」

 

と、こいつは白澤族の女、雪音。

 

実質的な国のトップだ。

 

この国が滅ばない理由でもある。

 

この女は施政者として大変にやり手だ。

 

俺と同じ手段……、多重分身の術によって数千人に分裂し、各地に散って指示を出している。

 

使えない奴を左遷し、やり過ぎた奴を免職させ、出来がいい奴を見つけてきては取り立てる。官僚向けの能力が高い奴だ。

 

人を使うのも、使われるのも上手いタイプだな。

 

さぁて、だがな。

 

「断る」

 

「そ、そんな」

 

「粛清は続行だ。四神も黄龍も働かせろ。王命だ」

 

「む、無理ですよぉ!あの人達、私がどれだけ言っても働いてくれないんですから!」

 

「安心しろ、全員死ぬ寸前まで殴っておいた。言うことを聞かねば殺すと言いつけてな」

 

「暴力はいけませんよぉ!」

 

「お前は気にせず働け」

 

「でもぉ……」

 

ふむ。

 

「いや、少し休んでも良いぞ。仕事を代わってやる」

 

「………………え?本当、です、か?」

 

「ほら、金だ。これで美味いものでもたらふく食って、酒でも飲んで家でぐっすり眠れ。来週の◯日には出勤しろよ」

 

「おや、すみ、きゅ、うか……?お休みを、下さるん、ですか……?」

 

「何を言っている、適度に休まないと業務の効率は悪くなる一方だ。週に二日は休め、良いな?」

 

「へ、へ、へ、陛下ぁぁぁ!!!服従させていただきましゅぅぅぅ!!!一生ついて行きますぅぅぅ!!!」

 

 

 

……聞けばあの女、ほぼ無給の無休で働き詰め、五時起き零時帰りが基本だったとのこと。それも千年近くの間ずっと。

 

日本のブラック企業かよ。

 

そんな働き方じゃ効率が悪いだろう。

 

休まずに働くことは悪いことだ。

 

戦争屋の俺も、仕事の合間にバカンスを楽しむことだってある。

 

いやあ、懐かしいな、下僕、いや部下を連れて中国にバカンス(銀行強盗)しに行ったり、南米にショッピング(麻薬密売)しに行ったりしてな。

 

楽しかったぜェ。

 

まあ、趣味を仕事にしているのは強みだな。

 

さて、十分に休んだ雪音が仕事に復帰し、働き始める。

 

ふむ、流石にパフォーマンスが違うな。

 

前までは、クマのある目と伸ばしっぱなしの髪、痩せこけた身体と、幽鬼のようだったが。

 

今では、軽く口紅をつけたアジア人らしい童顔、床につくほどに長いが整えられた髪、豊満なバスト、程よい肉付きの尻や太もも、と美しい見た目だ。

 

そうだな、この見た目で放っておくのは勿体ないな。

 

「陛下……?あんっ❤︎」

 

「少し休憩だ、付き合えよ」

 

「きゅ、休憩、ですか……?はい……❤︎」

 

折角なので手篭めにした。

 

抱き心地は良い。

 

 

 

麗国には粛清の嵐が吹き荒れた。

 

この時代は、麗国全体が国、と言うより、一部地域毎に分かれた国々の共同体、のような感じだ。

 

それに、学がある奴自体が少ない。

 

仕方がないので俺が各地で官僚の真似事をして統治し、その間に有能そうな民をピックアップし、教育。

 

そうやって支配階級を減らして増やした。

 

実際に在野に優れた人物は多かったな。

 

ある程度教育してから、俺が内容を弄った科挙……、ああ、官僚になる為のテストのことだ、を多くの民に受けさせたところ、小数点以下程のパーセンテージだが、受かる民もいた。

 

つまり、物覚えが良い奴がいたと言うことだ。

 

本来なら、学校に通っていない者は科挙を受けられないのだが、人手が足りないので許可した。

 

……この国は獣の国だ。

 

皇帝の独裁、細かい政治は官僚に丸投げ、強い奴がのし上がれる。

 

そんな社会システムだからな。

 

しかし、それも強ち間違いではない辺りがな……。

 

魔人やモンスター娘と言う生き物は基本的に、強さと知能が比例する。

 

つまり、強い奴を仕官させればどうにかなる、なってしまうのだ。

 

しかし、強くなくても賢い奴がいないという訳でもなく、強いからと言って必ずしも賢いと言える訳でもないしな。

 

強き者こそが偉いと言う獣の信仰は時として邪魔になる、か……?

 

だがその思考回路なら、現体制に対する不満も軽減されるからな。

 

難しいところだ。

 

「さあ、仕事だ。官僚の給料はもっと高くしろ、賄賂が横行しているからな。汚職をやってる官僚はリストアップしておけ、後で斬首だ」

 

「はい!」

 

まあ、白澤族や麒麟族、仙人族なんかは、読み書き計算からあっちの世界で言う儒学のようなもの……、この世界では瓏学と言うんだが、を修めている者が多い。

 

そいつらを主軸に国を回していこうかァ?

 




改革編そろそろ終わり、次、勇者ハヅキ編。

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