ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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もう本格的に連載しようかなこれ……。

でもほんへがあるしな。


34話 妖精、虫人、植物人の改革

ここは地球で言うトルコ辺りの森。

 

この森は、妖精や植物人、虫人の縄張りらしい。

 

うむ、いただきだ。

 

 

 

縄張りの森に入る、と。

 

「おっと」

 

ドリアード、いや、アルラウネってやつか?

 

植物人が蔦を伸ばして腕を縛ってきた。

 

「人間さん、ここは貴方の来るべき場所じゃないわよ〜」

 

俺は片手でボウイナイフを腰の後ろから抜き放ち、蔦を斬った。

 

「黙れよ」

 

そして、アルラウネの鳩尾に前蹴り。

 

「おふっ……?!!」

 

ほう、急所は同じなのか?

 

下半身は花のようになっているが……?

 

解剖してみたいところだな。

 

「い、ぃたいぃ〜……!!」

 

のたうち回るアルラウネの髪を掴んで聞く。

 

「ここの支配者は誰だ」

 

と。

 

「ぐ、う、ヘ、ヘラクレスビートル族のスカラベオ様です……」

 

ヘラクレスビートル……、カブトムシか?

 

と、考えていると。

 

「フィオーレを、放せ」

 

「おお」

 

手首の横から肘先にかけて刃が生えている黒髪の女が、木の上から奇襲を仕掛けてきた。

 

「ファルチェ!!」

 

「ん、助けに来た」

 

「駄目よ、あの人間、強いわ。逆らっちゃ駄目」

 

「私も強い」

 

そう言って、背中の虫の羽を広げつつ、木々を蹴って不規則に移動するカマキリ女。

 

「ほお、面白いな」

 

だがまあ、銃弾よりは遅いからな。

 

普通に撃ち落とす。

 

「がぁあっ……?!!」

 

「例によってゴム弾だ、死にはしない」

 

「な、にを、したの」

 

「こいつだ」

 

手元のグロックを見せてやる。

 

「なに、それ」

 

「やはりこの世界にはまだないのか。銃だよ、人間の武器だ」

 

「…….そう。早く、殺せば?」

 

ギラギラした目で言っても説得力がないなァ?

 

隙を見て殺す気満々じゃねぇかよ。

 

「おい、誤解するなよ?俺はここを真っ当な手段で治めてやる、と言っているんだ」

 

「どういうこと?」

 

「お前らの中で一番偉い奴と交渉して、俺がお前らのボスになるんだよ」

 

「そんなことして、どうするの」

 

「お前達を差別する大っ嫌いな人間共と戦争するんだよ!楽しそうだろ?」

 

「……楽しく、ない」

 

「ほう?だが良いのか?お前らがコソコソ隠れてぼーっとしてると、いずれ人間は攻めてくるぞ?ん?」

 

「……その時は、私が倒す」

 

はっ。

 

「現に倒せてねえよなあ?」

 

「っ、そ、その、じゅうってやつがなければ私が勝てる!」

 

「じゃあ試してみろ」

 

銃を放り投げる。

 

実際、武器庫から一秒以下で同じ銃を取り出せるから意味はないが。

 

まあ、素手で相手してやるってことだ。

 

「言われ、なくても!」

 

手首の刃を伸ばして首を狩りにくる。正確な狙いだ、故に避けやすい。

 

「当たら、ない?!」

 

あれ程の機動性を生み出す脚力を持つ脚での蹴りもなく、牽制のパンチもない。

 

対人戦に慣れていないようだな。

 

さっきから、刃での一撃による一撃離脱戦法を繰り返している。

 

タイミングは読めたな。

 

今。

 

「あ、が……?!」

 

踏み込んでくるのに合わせて殴った。

 

なんだろうか、この世界の人型生物はカウンターに弱いな。

 

基本的に、人間には反応できない動きができるからと言って、戦闘技術が未熟なように思える。

 

これでは自分以上の性能を持つ敵とは戦えないし、ラッキーパンチに負ける可能性もある。

 

「負、けた?わた、しが?マンティス族一番の狩人である、私が……?」

 

「狩人としては及第点だが、兵士としてはまだまだだな。戦いってもんを叩き込んでやるから楽しみに待ってろ」

 

「………………」

 

「どうした?」

 

「お前の、子供、欲しい」

 

「……あ"ぁ?」

 

「強い子供、作る」

 

あー……。

 

そうだったな。

 

モンスター娘はこんな感じだよな、うん。

 

「ガキはそのうち孕ませてやるから、とっととそのヘラクレスビートル族のところまで案内しろ」

 

「……殺さない?」

 

「殺さない、大丈夫だ」

 

「分かった。あとで交尾」

 

「してやる、してやるから案内しろ」

 

 

 

「俺がスカラベオだ、何の用だ人間」

 

「おぉ……」

 

相変わらず面白えな、この世界の人外は。

 

30センチほどの角が頭に二本、外骨格のような甲殻が腕、肩、脛などに見られる。一見、ボディーアーマーを装着した人間のようなシルエットだが、なんとなくSF映画のサイボーグのようにも見える無機質さがある。

 

そしてかなり体格が良いな。ボディビルダーなら、歴史に名前を残せる程にデカい筋肉だ。身長も2m50cm……、鬼族やミノタウルス族に匹敵するな。

 

服装はアステカなどのメソアメリカのような……、原住民風だ。頭の角に布が巻いてある。武器もマカナ……、黒曜石のような石を埋め込んだ木剣だ。

 

「支配権を寄越せ」

 

「何だと?」

 

「この縄張りは俺が支配する」

 

「俺達に出て行けと言うのか?!」

 

「違うな、お前達ごと支配する」

 

「む……」

 

鋭い眼光を……、いや、そもそも複眼だ。眼光なんざ分からねえな。だがまあ、雰囲気は鋭くなったな。

 

「俺は近くの国、アルカディアの王だ。インフラ整備や物資の提供の代わりに、有事の際における戦力の動員、平常時では商取引などを行う予定だ」

 

「ふむ……、それ程無理を言っている訳ではないな。人間のことだから、森を寄越せと言うのかと思ったぞ」

 

「確かに俺は人間だが、そのうち魔人化する予定だ。ドラゴン族かデーモン族になろうと思っている。それに、愛人も全員モンスター娘だ」

 

「成る程、親モンスター娘派か……。物資の提供とは、何をくれるのだ?」

 

「この森では手に入らない食料や酒、鉄や石材、陶器、布、宝石なんてどうだ?」

 

「ふむ、確かに、その辺りのものは俺達も欲しいな。オーベロン、アルベロ、どう思う?」

 

と、妖精にしか見えない男と、木?トレントという奴か?に見える女に話しかけるスカラベオ。

 

にしてもオーベロン?シェイクスピアか?

 

「僕は良いと思うよ。アルカディアって、この前までユニコーン族が支配していた国だろ?あそこは、支配者が変わってからとても豊かになったと聞くからね」

 

体長15cm程のオーベロンと呼ばれた妖精が言う。

 

「私は心配だわ〜……。森を壊したりとか〜、酷いことをされちゃうかも〜」

 

下半身が木の根のようになった木人間、アルベロと呼ばれた女がそう返す。

 

「森を壊すか?」

 

「いや、環境保護の為にも森林伐採は控え、植林を行う」

 

「良いかしら、人間さん〜?森は空気から穢れを吸い取るのよ〜?それを沢山切ってしまったら、自分の首を絞めることになるわよ〜?」

 

「二酸化炭素のことを言っているのか?知っている。しかし、知的生命体の発展の為には、環境汚染は付き物だろう。上手く調整して最小限に抑えると言っているんだ」

 

「あらあら〜?もしかして、穢れについて理解しているのかしら〜?」

 

「ああ。しかし、俺の予想では、そこまで穢れとやらは広がらないと考えているが……。まあ、しかし、放っておけば確実に、人間は世界中に穢れを撒き散らすぞ?」

 

「そうねえ、人間なんてちょっと前まではただのお猿さんだったのに、今じゃ火遊びをしちゃうようになったものね〜」

 

ふむ、木人間故に、環境汚染について理解しているのか。

 

「それで、いんふら、とは?」

 

「住むところであったり、道を整備したり、治水やエネルギーを……、あー、つまり、より住みやすい環境に整えるということだ」

 

「成る程……」

 

試しに、ということで、空き地に城や家屋を建ててやった。

 

「おお!これは良いな!」

 

「このまま、道を整備し、上下水道を作る。そして、いずれは電気設備を設置しよう。もちろん、そちらの言う通りに、発電所や工場などの工業施設は森の外に建てよう」

 

「ふむ……!だが、最後に一つ」

 

「何だ?」

 

「上に立つ者は強くなければならない」

 

はぁ、またか。

 

「かかって来いデカブツ、すぐに終わらせるぞ」

 

「その意気やよし!行くぞ!!」

 

 

 

まあ、馬鹿正直に剣で斬りかかってくるから対処は楽だな。

 

投げ飛ばしてゴム弾を五、六発撃ち込んでやった。

 

「ぐおおぉ、よ、よし、お前の勝ちだ!我々を支配する権利を与える!」

 

「賢明だな」

 

まあ、やることは今までと変わらない。

 

完全蛮族の植物人、虫人、妖精に対して教育を施し、インフラを整備し、国として成り立たせるだけだ。

 

植物人の殆どは食事ではなく、肥料と水、そして日光を欲した、虫人、妖精共に甘い菓子類を好んだなどの特徴があった。

 

「ここに果樹園を作る」

 

特産品は果物と蜂蜜になるだろう。

 

いや、ハニービー族の生成する蜂蜜は異常に美味いのだ。

 

調べたところ、栄養価も信じられないほどに高かった。

 

他にも、妖精族には、生物を活性化させる力があるそうだ。

 

それによって育てた作物や果物は、非常に高い栄養価と、優れた味になることも判明。

 

妖精王オーベロンにやらせたところ黄金の林檎ができた。それを食べたら若返った。どうなっていやがる。

 

早急にマリーを呼んで研究開始。どうやら、妖精族の魔力には、生命体を活性化させる要素があるらしい。

 

高濃度の活性エネルギーが込められた果実を口にすれば若返るのもおかしくないとのこと。何故金色になるのかは要研究。

 

訳分からん。

 

国名はヘスペリスと命名。レムリア、アルカディア、エデン、麗国、ジパングと貿易を開始。

 

……これで、人間の住むアメリカ大陸以外での貿易網ができた訳だ。

 

さて、残るは魔の大陸と呼ばれ、魔王がいるとされるオーストラリア大陸のみだ。

 

……その前に、一旦ジョージアの街に戻るか。

 

報告を聞いたら、魔大陸に行くぞ。

 




『蛮族改革編』終了。

次回から、『銃の勇者ハヅキ編』始まります。

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