エリザベート・オリビア・ディリジェンテ。
俺を呼びつけた聖王国の第一王女だ。
俺はヒゲを剃って、商談用の黒スーツ。
「初めまして、勇者様!わたくしはこの国の第一王女、エリザベートです!」
柔らかな、童貞野郎なら骨抜きにされてしまいそうな優しげな笑みを浮かべて挨拶をする王女。
歳の頃は17くらいか?金糸のような長髪と嫌味にならない程度に豪奢なドレスと装飾品。均整の取れたスタイル、少々小柄。
……クハハ。
そんなものに騙されるほど甘い人間じゃないぞ、俺は。
笑顔の仮面を顔に貼り付けてもよォ、瞳の奥底が笑ってねえんだよ。
ドブ川の奥底みてえに澱んだ瞳だ。
クズの匂いが隠しきれてねェぞ雌豚ァ?
ま、それを本人に伝えるのはまだだな。
最後の最後に犯しながらぶん殴って痛めつけて、死体を串刺しにして晒そうかね。
いや、駄目だな、そんなことしちゃあ。
折角魔法のある面白い世界なんだ、ユニークな処刑法を考えなきゃあよぉ!!
そうだな……、魔法で回復させて、薬で感覚を麻痺させながら、自分のはらわたを食わせ続けて、何分で死ぬか賭けるとか……、うーむ、前の世界でも同じようなことやったな……。
自分の貧相な発想力が嫌になるねぇ。困ったもんだ、肉体は若いが頭の中は老いているってことか?
「あの、勇者様?」
「……ん、ああ、すみません、少し緊張していて」
「うふふ、大丈夫ですよ」
にっこり微笑むクソアマ。
あー、ぶっ殺してえ。
こう言うお高くとまった女ってムカつかねえ?
「勇者様?今回、貴方に来ていただいたのは他でもありません」
少し真剣な顔をしてこちらを見るクソアマ。
「……勇者様もご存知でいらっしゃると思いますが、遠い遠い、魔の大陸と言うところに、それはそれは恐ろしい魔王と呼ばれる存在がいるのです」
「はあ」
「その魔王が、悍ましい人外達を指揮して、人間の生活を脅かしているのです!」
魔大陸(オーストラリア大陸)は実在するし、魔王もいるが、魔王は別に人外を指揮している存在とかではない。ただ単に、サキュバスやリリス、デーモンなどの、所謂悪魔と呼ばれる種族の王であると言うだけだ。
それに、人外共は、自分達が自分達の力で出来る範囲の豊かな暮らしがしたい、くらいにしか考えていない。
だから基本的に進歩はしない。そして多くは望まない。
しかしポテンシャルはあるので、発展を手助けすれば面白いことになるだろう。
「我々、聖王国の悲願は、その恐ろしい魔王を討伐し、邪悪な人外をこの世界から駆逐することなのです!」
オイオーイ、人間とかいうこの世で最も邪悪で醜い生物がなんか言ってるぜー。
……別に人間が嫌いで人外に愛着が湧いているとかそんなアレはねえがな。
人間は醜い!と三流小説の黒幕のようなことを言う訳ではないが……。
俺は生き物を殺すのが好きなんだよ。
特に賢い生き物ほど良い。殺し甲斐がある。
他にも、何かを壊すのが好きだな。
それと命乞いを聞いたり、泣き喚く女を犯したりするのが好きなんだよ。
つまり、戦争が好きなんだよ。
それも、勝ち戦がな。
負け戦も悪くはねえが、大量の兵隊を動かして虐殺だの人体実験だのやる方が楽しいねェ。
人間はな、放っておいてもあの手この手で醜く争って、戦争してくれるが、どうやら人外はそうじゃねえらしい。
いや、人外にも悪党と呼ばれる存在はいるんだよ。
けどな、人外の価値観は基本的に、強い奴に従う、なんだよ。
要は動物の群れに近い。
例えるならそう、猿だな。
ボスが一番強く威張っていて好き放題するが、いざという時は群れを守る。
人外は基本的にそんな感じだ。
人間だとこうは行かねえよなァ?有事の際に政府や上層部は何もしてくれねぇだろ?有力者に限って何だかんだ理由をつけていの一番に逃げやがる。
二次大戦頃の日本なんて醜いったらありゃしねえぞ?軍部でお互いに足引っ張り合ってよぉ。まあ、どこもそんなもんだよな。
と、まあ、つまり、人外は俺が手出ししねえと戦争してくれねえんだよ。
人間は放っておいても殺し合ってくれるからな。
さて。
「それは素晴らしいですね!是非、聖王国の力になりたいです!私も、人外が蔓延る世界の現状を心苦しく思っていましたから」
「本当ですか?嬉しいです、勇者様!」
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エリザベート・オリビア・ディリジェンテ。
わたくしの名前よ。
下賎な平民共は皆平伏す、偉大なる聖王国の第一王女。
尊き血。
今日は、うちの巫女共が選び出した勇者と会う。
何故、偉大なる唯一神アース様は、下賎な平民などから勇者を選出なさるのかが理解できませんが……、何か理由があるのでしょう。
どうぜ選ばれるなら、貴族の中から選ばれれば良いものを……。
まあ、良いでしょう。
さて、話を聞いたところでは、不思議な格好をした、黒髪にヒゲを蓄えた大男とのこと。
まあ、薄汚い冒険者風情など、そんなものでしょう。
噂によると、ダンジョン踏破階数において歴代最高だとか?
まあ、強いと言うことでしょう。それは結構ですね。
しかし、銃の勇者とは一体何でしょうか……?
勇者の選出とは、巫女の神託により選ばれるもの。
選ばれた勇者の、名前、居場所、そして称号がアース様から啓示していただけます。
名前はハヅキ・ジングージ。
名前の感じからして、未開の地から来たことが分かる。
ハヅキ、などと言うおかしな発音をする名前、聖王国ではあり得ないですし。
家名があると言うことは、それなりの家から出たのでしょうか。
まあ、冒険者などと言う社会のゴミになるくらいです、家を追い出された貧乏貴族の次男三男と言ったところでしょう。
居場所はヨロパ地方にいました。
最後にこの、称号。
これがどうしても分からない。
例えば、建国王にして最も偉大な勇者、シュヴェールト・ヴァルフリート・ディリジェンテ様は、聖剣の勇者の称号をお持ちでした。
聖剣の勇者とは、その名の通り、アース様から授かったと言われる聖剣プリマーティにて、ドラゴンをも討ち取ったと聞きます。
他に著名な勇者と言えば……。
ドラゴンブレスさえ防いだという大楯の勇者、フェニックスに追いついた速の勇者、拳一つでミノタウルスを打ち倒した武の勇者……。
なら、「銃の勇者」とは?
じゅう、とはなんなのかしら……?
そんなことを考えていたら、いつの間にやら会う時間に。
まあ、良いわ。
どれほどのものか確かめてあげるわ。
「お初にお目にかかります、女王陛下。私はハヅキ・ジングージです。勇者認定の報せを受け、ヨロパ地方から馳せ参じました」
……ふうん。
思ったよりは上等ね。
後ろで一つにまとめられた、波打つ長髪。ヒゲは剃られ眉の形も整えられている。服も、見たことのない仕立てだけれど、黒の材質が分からない、しかし貴族ですら持っていないような良い出来の布でできた黒いズボンと革靴、そして純白の服にズボンと同じく黒い上着。そして首に黒い布を巻いていますね。
あらあら、どうやら、多少は品性というものを持っているようですね。
「……と、言う訳で、魔王討伐をお願いしたいのです」
「喜んで!」
けれど、まあ、やはり平民ですね。
疑うこともせずわたくしの命令に従うとは。まあ、馬鹿な平民は少し微笑んでやれば、無様に舞い上がって働いてくれるものですからね。
さて、銃の勇者。
まずはお手並み拝見と言ったところですね。
あああ、モン娘リョナレイプを書きたい。