ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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ガッツといいアーカードの旦那といい、幼少期にホモのおっさんにレイプされたやつは強くなる傾向があるのかと思います。


37話 腕試し

エリザベートは俺を先導し、城の訓練場に連れてきた。

 

訓練場では多数の騎士が木剣で打ち合っている。

 

それもまあ、酷く無駄の多い……。

 

CQBやシステマなどの、人間科学に基づく洗礼さも、武道や拳法のような技術の積み重ねも感じられない、ただ華美さや見栄を重視した無駄の多い剣術。

 

まあ、中世の騎士など、儀礼や宗教的観念に凝り固まったクズばかりだと聞く。強盗騎士という、決闘の制度を悪用し強盗をする騎士もいたそうだ。

 

騎士の多くは、相手を捕らえた身代金で稼ぎ、乱暴狼藉、強姦強盗、好き放題やったそうじゃねえか。

 

俺はな、殺戮や強姦を否定することはないがな、それをひた隠しにして真人間ぶる奴は非常に嫌いだね。

 

薄っぺらな騎士道や武士道で本性を覆い隠した薄汚い戦闘者、裏では好き放題している癖に表では真面目ぶる政治家。

 

そんな奴らは悪党の風上にも置けねェなあ?

 

つまり、ここの騎士もクズなんだろうという話だ。

 

事実、ここに来る前、街角で騎士達が露店の品物を金を払わずに奪っていたり、乞食や孤児を殴っていたりする姿を見かけた。

 

まあ、上がエリザベートみたいなクソアマなんだ、下もお察しだろうよ。

 

さて、このクソアマはどうやら、俺の性能を把握したいらしいな。

 

俺は着替えて、銃を持って訓練場へ。

 

どうやら、手先の騎士を差し向けて戦わせ、俺の有用性を見るようだ。

 

成る程、な。

 

 

 

さて、俺の武装だが。

 

まずは服装。

 

中世的なシャツとズボン、その上に裾の長い黒いコートのような服を着込み、更にミスリルの手甲、脚甲、胸当て、そしてワイバーンの皮のベルトを着けている。

 

ミスリルとは、詳しくは調査中だが、鉄より軽く丈夫な、魔力の伝導率が高い素材だ。それなりに貴重な上に加工が難しいらしい。

 

だがまあ、防刃や防弾なら、ケブラーで十分だ。態々身体中に金属のアーマーを着用するのは無駄だな。

 

無駄だが、見た目で侮られるのは困るので、最低限のボディアーマーを着用、という訳だ。

 

他にも鉛のように重いが極めて堅牢なアダマンタイトやあらゆる性能が高いオリハルコン、魔法的なエネルギーを発するヒヒイロカネ、極めて軽いダマスカス鋼など、新素材は魅力的なものが多い。

 

これを兵器に転用できれば面白いことになるだろうな。

 

そう、それで、このミスリルのボディアーマーは、うちのドワーフの職人に命じて作らせたオーダーメイド。

 

ミスリル特有の銀の輝きに青みがかかった色合い、エングレーブは荊と骨。

 

因みに、かつて俺が作った傭兵組織「灰の指先」のマークは、骨の手に荊が巻きついたものになっている。俺の趣味だ。

 

そして武器は60cm程のミスリル製マチェット、ボウイナイフ、ダブルバレルのフリントロック式ピストルと銃剣付きライフル。ついでに中世仕様の手投弾。

 

やはり、本気を出すと警戒され過ぎるというのがあるからな。

 

例えば、ここで個人携帯用のミニガンなんて持ってきたら警戒心を引き上げるだろう。

 

銃の有用性に気付かれるとまだ困るな。

 

銃のイメージを、「扱いにくく量産に向かずコストもかかるが、一定の有用性と威力がある」という認識にしたい。

 

まあ、そもそも、聖王国には火薬自体がないのだが。

 

何せ火薬は……、そう、黒色火薬には硝石が必要だ。だが、硝石は天然ではイギリスにあんまりねえんだよな。

 

元々、火薬が発明されたのは中国だからな。まあ、例によって、麗国と国交を断絶しているこの聖王国には、火薬が存在しない。

 

ああ、それと、このアンティークな銃器だが、趣味で使ったことが何度かある。銃であるならそうそう的を外すことはないだろう。

 

では、やるか。

 

「その装備はどこにしまっておいたものなのでしょうか?」

 

「私はアイテムボックスの魔法を習得していますので」

 

「まあ!それは素晴らしいですね!」

 

大袈裟な反応を見せるクソアマ。ウゼェ。

 

「勇者様、勇者様は、冒険者として活躍していらっしゃると聞きました。うちの騎士に、そのお力を見せて下さいませんか?」

 

「手加減が苦手なもので、殺してしまうかもしれませんね。その場合は罪に問われますか?」

 

「いえ、その場合は罪に問いません。しかし、我が近衛騎士団は皆尖鋭で、それぞれがBランク冒険者並の実力があるのです。そう簡単にはやられませんよ」

 

俺の目には素人に毛が生えた程度にしか見えないんだがな。

 

にしても、俺の腕試しに近衛の兵士を消費するとはアホなのかね。

 

 

 

「では、位置について、始め!」

 

「先手は譲ります、勇者様」

 

「……はぁ?」

 

なんだこの、アホは。

 

戦場において先手を譲る?

 

脳味噌が死んでるのか?

 

まあ良い、適当に脚を狙ってライフルを撃つ。

 

「珍妙な構えですな、しかしその位置では槍は届かなっ……、ぐっ?!!!ああああああ!!!!」

 

ふむ、狙った位置から1cmズレたな。腕が鈍った、いや、慣れない古式銃だったからか?

 

練習しなきゃな。

 

……しかし、未知の武器に対してなんでこうも無警戒なのかね?

 

「な、なんだ今の音は?!!」

 

「雷か?!!」

 

「魔法なのか?!!」

 

兵隊共が狼狽える。

 

撃たれた近衛は、銃創のある右足を押さえてのたうちまわっている。

 

全く、ちょっと撃たれたくらいで女みてえにぴーぴー泣き叫びやがって。

 

貫通してんだ、大した怪我じゃねえだろうが。

 

ん?ああ、鎧ごと貫通したぞ。

 

フルプレートアーマーの厚さなんざ大体一二ミリ。材質は鉄。そんなもんで鉛玉が防げるかよ。

 

「回復魔法をかけますね」

 

俺が回復魔法をかける。

 

「か、回復魔法まで使えるのですか?!」

 

「ええ、他にも攻撃魔法と防御魔法、エンチャントを中級までですが使用可能です」

 

「凄い、魔法使いとしても一流なんですね!」

 

一流?確かにまあ、人間の魔法使いなんて皆初級魔法を一系統一属性くらいしか使えないだろうが。

 

生活魔法と呼ばれる、簡単な魔法ですら、人間の半分以上は使えない。

 

それは教養の問題、才能の問題、魔力の問題と色々と理由があるが。

 

そして、魔法を戦闘に使えるレベルとなると十人に一人程だ。

 

それでも、同じ属性の初級攻撃魔法を二、三種類と言ったところ。その程度で人間は魔法使いを名乗れる。

 

まあ、伝説的な人間の魔法使いならば、複数の属性の上級魔法を操ったとされることもあるが、真偽のほどは分からねえな。

 

……しかし、人外の最上位種族ならば、超級魔法を含めて数千の魔法を記憶しており、使えるなんて奴もいる。

 

つまり、人間のスペックじゃどうやっても人外に敵わないという訳だ。

 

「それで、あの、今はどんな魔法を使ったのですか?」

 

「これは魔法ではありません、銃です」

 

「銃……、それが?」

 

「ええ、我が家の秘伝の錬金術によって作られた秘薬とからくりでできた武器です」

 

「無学で申し訳ないのですが、銃とはどういったものなのですか?」

 

「そうですね……、火の秘薬(火薬)の爆発力によって、鉛玉を飛ばす武器ですかね」

 

「鉛の弾を……」

 

「短いのがピストル、長いのがライフル。ピストルは二発までなら連射でき、ライフルは100mくらいは届きます」

 

魔法の有効射程範囲は拳銃の射程距離以下くらいだ。つまり、二、三十メートル程。そんな中、百メートル近い射程範囲は遠距離武器として有用だ。

 

しかし。

 

「弓では駄目なのですか?」

 

「銃の方が威力が高いのです。それに、真っ直ぐに飛ぶ故、入り組んだダンジョンでも使えます」

 

「ですが、その秘薬は高価なのでは?」

 

「高価ですね。ですがその分貫通力がありますから」

 

嘘だ。火薬なんざ簡単に作れる。

 

「湿気に弱いなどの弱点はありますが、鉛玉は小さいので、エンチャントにかかる魔力が少ないという利点もあります」

 

そう、エンチャントの魔法は、大きいものになればなるほど消費する魔力量が増加する。

 

さっき言ったような並の魔法使いでは、弓矢十本二十本にエンチャントをしたら打ち止めだろう。

 

しかし弾丸なら百発二百発は余裕でエンチャントできる。

 

まあ、俺は魔王レベルの莫大な魔力があるが故、城一つをまるごとエンチャントしても平気なくらいだが。

 

「そうですか……。でも、音が大きいですね」

 

「その場合はこちらで戦いますよ」

 

とマチェットを抜いてみせる。

 

「そちらの腕も見せていただけますか?わたくし、勇者様の勇姿を見てみたいです!」

 

とかなんとか言って、戦力を把握しようとしてくるクソアマ。

 

まあ良いだろう。

 

「では、次は銃を使わずに相手しましょうか。折角ですので一番強い方に『手解き』していただきたいですね」

 

「まあ、自信がお有りなのね!リッター団長、勇者様のお相手を」

 

「はっ」

 

相手は三十代半ば程の男。

 

ロングソードとカイトシールドで武装した男。

 

まあ、プロスポーツ選手並ってところか?

 

この程度で団長なのか?一番強いのか?大丈夫なのかこの国は?

 

「はああ!」

 

おお、向かってきた。

 

踏み込みが甘いな。

 

袈裟斬りを掻い潜って、左手で持ったマチェットを首筋に添える。

 

「と、まあ、こんなものでしょうか」

 

「ま、参りました」

 

「……勇者様、素晴らしいです!まさかリッター団長に勝つだなんて!」

 

今の一瞬、目つきが鋭くなったこと、見逃してねえぞ。

 

計算したな?俺がどれほど使えるか。

 

まあいいだろう。

 

茶番はこれくらいにして、さあ次だ。

 




傭兵のcvは多分藤原さんとか。

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