ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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笑ってはいけないアレを見る予定なのでサラダバー。



40話 フルボの供述

俺ァ、聖王国のドブネズミ、悪党のフルボってもんでさあ。

 

職業はまあ、医者崩れですかね。

 

ちょいと副業をやっていやして。

 

『黒骸骨』の幹部……。

 

それが俺の裏の顔でさあ。

 

 

 

いやぁ、ジン様。

 

俺らのボス。

 

新たな闇の帝王。

 

あのお方は素晴らしい。

 

お陰で若い頃の姿を取り戻せたし、医者としての腕も上がった。

 

仕事用の薬も色々と融通してもらったし、密輸と麻薬で儲けた金の取り分も多目にくれる。

 

その上で誰より強い。

 

力がモノを言う裏の世界で、強いってのは最高ですね。

 

その上で頭が切れるし、勝負事も強くて、何より、邪悪だ。

 

俺らは悪党ですぜ?悪い奴こそ良いんですよ。

 

「はいはい、ええと、ジェシカちゃんだったっけ?あんたは梅毒だねぇ」

 

「そ、そんな!」

 

「ああ、安心してくだせえ、俺ァちょいと、凄えツテがありやしてね。梅毒の特効薬があるんでさあ。お安くしときますよ?」

 

「い、いくらですか……?」

 

「ほんの、銀貨一枚でさあ!街一番の娼婦のあんたなら払えないこともないだろう?」

 

「そ、それだけで良いんですか?」

 

「ええ、ここだけの話、あんたんとこの娼館の元締めとは顔見知りでしてね。知り合いを助ける訳ですから、お安くなってるんでさ」

 

「わ、分かりました!薬を下さい!」

 

「ええ、今注射しますねえ」

 

「は、針?瀉血ですか?」

 

「違いやすよ、詳しくは企業秘密ですが、薬を直接血に混ぜて、梅毒に犯された血を浄化するんです」

 

「は、はあ」

 

「はあい、ちくっとしますよお」

 

 

 

いやあ、ジン様の医学は凄え。

 

俺ァ、銃と戦闘、魔法の訓練もやってますが、その上で更に医学の勉強も教えてもらっていやすね。

 

ククク、あの人は本当にとんでもねえんだ。

 

生きている人間の腹を掻っ捌いて、死んだら魔法で生き返らせて。

 

墓を掘り返して死んだ人間を魔法で生き返らせて治療して、また実験だ何だとやっては殺す。

 

悪魔のようなお人だ。

 

命をなんとも思っちゃいねえ。

 

だが、色々と分かった。

 

俺も何度も執刀させてもらいやしたからね。

 

人体の仕組み。内臓の位置や働き。今、聖王国で信じられている治療法の半分以上は嘘っぱちだってこと。

 

色々と教わった今じゃあ、麻酔もなしに骨や肉を切り捨てる手術の何と野蛮なことか!

 

癌の治し方、労咳の特効薬の作り方、梅毒淋病の治し方、疫病について。

 

回復魔法じゃあ病気は殆ど治らないし、あれはばい菌も活性化させちまうんですよ。

 

だから、回復魔法ってのは、清潔な状態の怪我にしか効果がないんですけど。

 

まあ、浄化の魔法もあるにはあるんですけど、あれは逆にいい菌も皆殺しにしちまうもんでして。

 

つまり、魔法で治すってのは、これまた精密な術式を複数使う必要があるんですよねえ。

 

まー、そんなこと、人間には無理ですわ。

 

脳味噌が足りませんわ。

 

だけど、医学なら治せるんでさあ。

 

あの縫合を見たらもう……、感動モノでさあ!

 

切り落とした腕を、骨を、肉を、神経を、皮を繋ぎ合わせて、また動くようにするとか!

 

ありゃあまさに神業ですぜ!

 

憧れますわ。

 

「フルボ、礼を言うわ」

 

「その必要はありやせんよ、ベッラ。あの子はいい娼婦で、売り上げに貢献してるんでしょうよ?それが梅毒で引退だなんて勿体ない。搾り取れる奴からは搾り取れるだけ搾取せにゃなりやせんよ」

 

「あら、冷血ね」

 

「ハッ、あんたに言われたくはねえですよ」

 

 

 

そんで銃の訓練もやりやすねえ。

 

俺の銃はこれ、コルトガバメント。

 

他に俺らに流された武装は、ホッチキスMle1914重機関銃、モシンナガン、トンプソン、ダイナマイトとかですかねえ。

 

それとエンチャント付きの防護服と武器も頂きやしたよ。

 

特に服は、耐衝撃、耐刺突、耐斬撃、瞬間硬化と魔法耐性、防火を永続化させた国宝級の代物ですぜ。こりゃ良いや。

 

俺らの装備をまとめるとこうですね。

 

俺、密輸、麻薬担当のフルボが、黒塗りしたミスリルの仕込み杖、こちらに流してもらったヤドクガエルの毒付き投げナイフを六本、その解毒剤の入った鉄のスキットルのような容器。

 

その上に消音のエンチャントがかかったコルトガバメントと予備の弾丸のカートリッジを持ち歩いていやす。

 

そして、例の防護エンチャントがかかった医者らしい黒コート。鎖帷子はもう必要ないですねえ。それと、防護エンチャントつきの白手袋に、黒い帽子。

 

いつもはそれに、医療器具と薬が入った、医療箱を持ち歩いていやすね。

 

まあ、ぱっと見は医者でしょうよ。

 

風俗担当のベッラは消音のレミントンデリンジャーと予備の弾丸を、太もものベルトに付けていやした。

 

ドレスは、アラクネの糸とワーシープの毛で作られた最高級品をいくつか貰ったと小躍りしてやしたねえ。

 

肌着は防護エンチャント付きらしいですよ。

 

見るからに娼婦で、気に入った客には抱かれることもあるらしいですぜ。

 

ウィゴーレは腰のホルスターにSAAを突っ込んでいて、黒塗りにしたミスリルのメリケンサックと魔力を流すと中級防御魔法プロテクションが発動する指ぬきグローブを付けてますね。

 

服装はタンクトップとズボンで、一見すると力自慢の用心棒って感じでさあ。

 

コントは魔法を補助するミスリルの指輪と、サプレッサーをつけたナガンM1895。アイテムボックス内にはモシンナガンも入っているとか。

 

仕立てのいいベストに丸眼鏡で、見た目は銀行員ですから、怪しまれやせんね。

 

オペライオは……、腰の工具入れの中にルガーP08と予備弾薬をしまい込んでいやすね。前掛けと服には防護エンチャントがついていやす。

 

基本的には工員にしか見えないんで、お上に悪党だとバレやしやせん。

 

ジョカトーレは、懐に十四年式拳銃とその予備弾薬を持ち、その上でゴテゴテに飾り付けたミスリルのショートソードも持ち歩いていやす。他にも指輪や首飾りをいくつか。

 

防護エンチャント付きのベストとジャケットで、遊び人や、放蕩貴族のような見た目。

 

そんでうちの正式なメンバーは全員、身体のどこかに黒い骸骨の刺青をしていやす。

 

基本的に手の甲ですかね。

 

幹部は、骸骨に荊が巻きついているデザインの刺青になっていやす。

 

そんで、正式なメンバーでも特に信頼できる奴らには、SAAとボウイナイフを持たせ、訓練させていやす。

 

根城の館もこっそりと増改築しやしてねえ。

 

地下に脱出用の通路とか、地下の射撃室、武器庫だとかが増えやしたね。

 

 

 

それと、医学の勉強。

 

「今日は何をやる?」

 

「そうですねえ、解剖なんてどうですかい?」

 

「良いだろう、確か妊婦がいたはずだ。腹を割いてみるか」

 

ヨロパ地方の人間国家のスラムから攫ってきた人間を使って、色々と人体実験をやる。

 

ぐちゃぐちゃと人の腹を掻っ捌いて、中身を覗き見る。

 

「へえ、子宮ってこんなに大きくなるもんなんですねえ」

 

「中々面白いだろう?次は帝王切開をやって見せるぞ、見ておけ」

 

「へい」

 

「そうだな、因みに産褥熱の防ぎ方は?」

 

「清潔にすること、ですかね」

 

「そうだ、覚えてきたな」

 

色々な手術の手伝いと、カルテの読み方を教わりやした。他にもレントゲンや心電図もうちにありやすよ。使い方も習いました。

 

カルテは何故か龍語で書かれていやすから覚えるのは辛いんですがね。その上で魔族語も覚えさせられるんですよ?

 

まあ、負担はデカイんですが、若いんでね、覚えも良くなってまして。三十半ばの頃はどうも新しいことを覚えらんなくてねえ。

 

若返った今じゃなんでも覚えられますよ。

 

「以上が帝王切開だ。今度は、そうだな、次は中絶のやり方を教える」

 

「へえ、良いですね。中絶は娼婦だの貴族だのがやりたがるんで使えますね」

 

 

 

……楽しいですね、今は。

 

最高に充実していやす。

 

この調子で裏を支配して、国を支配してやりたいもんですね。

 

だがまあ、油断は禁物でさあ。

 

さて、ジン様はそろそろ、勇者として旅立った頃かね……。

 

どんなデカイことしてくださるのか、楽しみに待ってますぜ。

 




数年後、フルボともっと付き合いが長くなれば、フルボが生い立ちとかそういう湿っぽい話をしてくれます。

つまり、その内、悪党飲み会みたいなそんなの書きそう。

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