世界樹3あああああー!!!
余興なのかなんなのか、次々に騎士が前に出て、俺と力比べをしたいと言ってきた。
面倒臭いので一度に複数人を相手して、全員を捻り潰してやったら、騎士達は逆に俺を称え始めたので若干引いたな。
まあしかしその辺は……。
一人の騎士、最初の、ブローナック王の甥を名乗る騎士が負けた時点では、周りは皆「最初の騎士の敵討ちだ!」といきり立っていたのだが。
全員が圧倒的な実力を見せつけられて負けると、せめて俺を讃えることで敗者である自分達の立場も上げていく、みたいな方針にしたようだった。
それも仕方ない。弱い貴族は舐められて、舐められると封土も富も、命すらも奪われる過酷な中世の世界。
名誉が命より大切なのは、名誉を失うと死ぬよりも辛い思いをするから。
だから、学はなくとも、彼ら貴族はその辺りに敏感だ。
侮辱には勝てなくても毅然とした態度で立ち向かうし、自分の立場を上げる機会は決して見逃さない。そういうものなのだ。
そんな彼らからすると、大勢の前で面子を潰されてしまった以上、「ブラッドさんはとても強いので、挑んだだけでも勇気があるカッコいい行為でした!」でまとめるしかない。
無論、ここで追い討ちをして、彼らのプライドを無駄にへし折るつもりはない。そんなことをして一時的に気持ちよくなっても、利益がほぼないからな。
そんなことをするより……。
「力比べをしてくれてありがとう、中々楽しかったよ。この国の騎士は精強だな、ブローナック王も鼻が高いだろう」
と、上手いこと誉めてやった方がいい。
俺にそう言われて、露骨にホッとする騎士達。
お前ら全員ザコ!なんて言われた日には、死を覚悟して突っ込んでいくしかなくなるもんよ。名誉は大事だが、それはそれとしてそんなことで死にたくないのもマジな話だろう。死ぬなら戦場で華々しく散りたいとか思ってそう。
「いやいや!我らも、ブラッド殿のお力に驚くばかりで……!」
「素晴らしい騎士なのだな!故郷でも、さぞ名高い貴族だったのだろう!」
「奥方らも美しく、羨ましいくらいだ!」
貴族……、騎士達は、口々に俺を誉めてきた。
ああ、そうそう。
貴族ってのは基本的に騎士みたいだな。
ギンギラギンの華美な服を着て、ピッチピチのストッキングを履いたちょび髭のおっさん?そりゃ、近世の貴族だな。
この世界の貴族は基本的に「戦う者」で、つまりは「騎士」である。
伯爵だの男爵だのと、爵位階級ができるほどに成熟した地域ではないってだけ。
ブローナック王も、王とは言うが、その権益というかやっていることは基本的に「辺境伯」のそれである。
で、ここにいる、俺に力比べを挑んできた騎士達は、伯爵から男爵まで色々って感じ。
聞けば、まだどこにも従っていない人々、所謂「まつろわぬ民」とかも結構いるらしいし、本当に中世の世界なのだ。
おっと、ってか今嫁の話した?
「ああ、そうだ。自慢の妻について紹介させてくれ」
話しておかなきゃな、これは。
「諸君らは、名誉を第一に考える勇敢な戦士達だ。だが俺は違う、俺にとって一番大切なのは妻達なんだ」
「むう……、なるほど」
「確かに、あの美しさならば……」
「ううむ……」
あまり理解されてない、か。
男尊女卑が酷いからな、この世界。
「理解されずともいい。ただ俺は、俺自身の名誉が傷つくことよりも、妻が悲しむ方が心苦しいのだと覚えてくれ。なので、妻達を侮辱するものは……」
俺は、手に握った鉄製のカップを握り潰す。
「……殺す。最大の苦痛を与えてな」
「「「「ひっ……!」」」」
これだけは言っておかなきゃならない。
嫁、第一。
嫁は、この世界で唯一、俺と同じ価値観を持っている人々で。
老いることも死ぬこともできない同朋なのだ。
それに……、俺のこの肉体が。日本人のプレイヤーではなく、ブラッド・ミスラスというキャラクターが。
嫁達を離すなと、強烈に訴えかけてきている……。
「……失礼。脅すつもりじゃないんだ」
「は、ははは……」
「い、いやはや」
「そ、そうですかな」
冷や汗を流す貴族達。
「事実を言っただけだ」
「「「「………………」」」」
おっと、黙っちまった。
無視して、嫁の紹介を始める……。
「全員で十人いるが、全員がご覧の通り人ではない。しかし、人よりも遥かに強い種であるので、彼女らに負けても誇りは傷つかないとあらかじめ言っておこう」
「ひ、人ではない……?」
「確かに……」
「恐ろしいな……」
「彼女達は、諸君からすればモンスターとも言える種族が殆ど。侮辱を許さないのはそうだが、彼女達に敵わぬからと言って『女に負けた』などと貶すつもりはない」
「先ほどから……、それはつまり、奥方らは戦に出るのですか?」
騎士の一人がそう訊ねてくる。
「無論だ。この国にも女傭兵がいることは確認しているから、おかしなことではないんじゃないか?」
「しかし……」
「言っておくが彼女らも、分野は違えど、それぞれが俺に伍する程の能力がある。そしてこれまで、俺は彼女達を率いて戦ってきた。妻というだけでなく、戦友でもある訳だ」
「そんなまさか」
「ブラッド殿と伍する力を?」
「そのようなことがあり得るのか?」
うーん……、あ、そうか。
「失礼。彼女達は見た目通りの者もいるが、人に化けている魔物というパターンもある。少なくとも諸君らの目の前には、吸血鬼、人狼、悪魔、鬼神、龍がいると思え」
貴族達に緊張が走る。
どれも超一級、一体出れば国が滅ぶほどの格が高いモンスターだ。
「そ、それは、き、危険、なのでは?」
「叩きのめして調伏し、妻として娶ったんだよ」
貴族達は、大口をぽかんと開いて驚き。
「そ、それは、大層な『勇者』ですな。反乱軍の『勇者』なんぞより、余程のこと……」
と、引き笑いをしながら、言った。
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《歓迎の宴》
・アスレッド王国の宴に参加する◯
———クエスト成功
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世界樹3クリアしました。
アトラス特有の三周クリアしないと真相は分からないよーん!というシステムほんとひで。
同じゲームの周回プレイ嫌いなんですよね。いや、やるけどさ。
六階層が先だがまあ、後でやろう。
いや、キャラ引き継ぎアリなんだし、ストーリーのみをやればすぐ終わるか。