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《御恩と奉公》
・封土の確認をする
・封土の方針を決定する
・兵隊を作る
・オプション:特産品を作る
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宴を終え、無事に騎士に任命されて、封土に村三つと小規模な屋敷を与えられた。
多分、爵位という評価基準があれば、俺は恐らく「男爵」に相当する地位をもらえたことになるのだろう。
村はそれぞれに五十ほどの世帯があり、一つの村に三百人程度が住んでおり、合計して一千人ほどが俺の所有物となった。
貴族からすれば、農民には人権がなく、まさしく所有物のようなもの。
ここから、勇敢だったり、力持ちだったりするものを従士として雇い入れたりはするが、基本的には人間と言うよりかは家畜のような扱い。
さて、ドヴェルグ族の嫁であるブルーナは、半日で屋敷を取り壊し、もう半日で三倍は大きく十倍は豪華な館を造った。
「パパ、できたよ〜!こんなもんでいいかな?」
「良いね。マナーハウスって感じだ」
「この土地が『サスボーン』って言うみたいだから、『サスボーン・マナーハウス』だね!公式にこの名前で公布しちゃって良い?」
「ああ。ドロシーに伝えておいてくれ」
「ご安心なさってください。私めは常にご主人様のお側に控えております故」
うお、いきなり後ろに出てきたな。
「……いきなり転移してくるなよ」
「失礼致しました」
そんなこんなで完成。
だがまあ、三倍の広さにしても、十一人で生活するマナーハウスと思えば少し手狭なくらいだな。
少なくとも、全員分の私室は用意できなかった。
いや、しなかったという方が正しいか?あまり立派にし過ぎるのも生意気かと思ってな。
豪華さは十倍にしたが、それは元々が俺達からすると荒屋同然の屋敷だったから、最低限俺達が住むのに相応しい程度の建物にしたところ、元から建っていた館の価値の十倍くらいになったという話だ。本気で高価にするなら、この千倍以上の予算をぶち込んでドバイ風の高層ビルを建てられる。
で、外観。
まず、簡単な泥棒返しのついた柵の中に、小さな畑と魚のいる池、井戸と家畜小屋、そして厩に倉庫を用意した。鍛冶場と作業台も、小屋を用意しそこに設置。
建物は、石造りの基礎の上に木製の板床で、外側は赤煉瓦。三角屋根に煙突が一つ。窓は縦長の四角で、ガラスを嵌めている。しかし透明で大きな一枚ガラスは明らかにオーパーツなので、小さな曇りガラスをたくさん嵌めている。
内装は、両開きの大きい扉に六畳はある玄関。それと繋がる大ホールはリビングダイニングの扱いで、その隣は十畳程度の客間と図書置き場が一つずつ。逆隣には武器庫と錬金窯のある実験棟。ホールの向こう側にはパン焼き窯のある大型キッチン。二階は基本的に、俺と嫁らの寝室だな。
こうして、慎ましいサイズの館を建てた俺達は、しばらく領地の運営をすることとした。
領地の運営については、何も特別なことをしない。
俺は別に、自分の腕一本で金なんざいくらでも稼げるから、わざわざ領民から富を絞る必要がないからだ。
しかしだからと言って「百万年無税!」などと言ったら確実に混乱が起きるのは明らかなこと。
税率は変えずに五割。人頭税、地代、施設使用料、教会税ってところか。
それに折角なので、賦役ということで開墾をやらせてることにした。
賦役の最中に使う道具は、鉄の鍬やらスコップを貸してやり、「収入が増えれば鉄の農具を売ってやるぞ」と民に言いつけておく。
また、開墾した土地ではジャガイモを植えさせて酒造りでもしようかな、と思う。農民達は見たこともない芋というものを食べようとはしなかったが、これで酒が造れて村が豊かになるぞと言えば、ちゃんと働いた。酒はみんな飲みたいし、金も欲しいだろうからな。
総じて、あまり大々的な梃入れはしていない。
目立ちたくない、という気持ちもまあまああるんだが、それ以上にめんどくさいからだ。
領地改革!などと簡単に口にする創作物などは世に多く存在するが、農民共がちゃんと言うことを聞いて指示を理解して真面目に働くかと言ったら否だし、周りの目や妨害者も多く、何よりこの領地だけが富んでも他所が貧乏なら取引などができず無意味である……など、問題はあまりにも多い。
もちろん、全てをどうにかできるだけの力も富も全部俺にはあるが、そんな労力をこの領地にかける義理と人情はなかった。
なので、まあまあ無難に治めてそこそこに徴税し、新たな産業としてジャガイモ酒(アクアビットだな)の製造をやらせるのでそれで十分だろうと俺は思ったのだった。
と言うか基本的に、農民達は上が誰になろうが気にしないだろうしな。
日本人もそうで、政治家が何の党になろうと、総理大臣が誰になろうと、自分が普段通り生活できればぶっちゃけどうでもいい……。そう思っている人が殆どのはず。
この世界の農民達もそうで、誰が領主になってもあんまり関係なく、自分達の生活が保障されれば何でもいい……って感じだ。
「こうやれば豊かになるぞ!」なんて言っても聞きやしない。
今回は「酒を作って売るぞ!お前らも飲んでいいぞ!」という、農民達にとって嬉しい話だったので、「まあ試しにやってみるか」となっているだけ。
先の見えない地味な農業改革とかは無理だろうなあ……。
そして、やることはそれだけじゃない。
騎士としての本分、兵隊の用意もしなきゃならないのだ。
何でも、近いうちに戦があるらしく、それまでに最低限の体裁を維持できる程度の兵隊を揃えなきゃならないみたいなんだよな。
まずは、先日の宴の時に会った騎士、ブローナック王の甥である騎士ダイアンが、「鍛えてやってくれ」と、俺に息子を預けてきたので、その子を一応の従士ということにする。他の家からも二人ほどきたな。
「騎士ダイアン・レッドベンの息子、ジュリオです!」
「騎士エド・ラインズの息子、シオンです!」
「騎士マックス・ベリオンの息子、ニコラウスです!」
「「「よろしくお願いします!騎士ブラッド様!」」」
従士……。分かりやすく言えばエスクワイア、盾持ち。見習い騎士みたいな、そういうアレだ。
十代半ば程度の少年で……、まあ、ホモ要素のない小姓みたいな感じだろうか?
騎士の側近で、鎧着せたり、荷物持ちしたりする感じのアレだな。
とは言え、まあ普通に要らないので、ある程度それっぽいことをさせてお茶を濁すこととする。
剣の訓練とかをやらせておけばいいだろう。
礼儀作法については、村の教会の司祭を呼びつけて、教師役をお願いした。
その代わりに、教会には「寄付金」の名目で幾許かの金を積むこととなったが、必要経費だろう。そういうのは大事だ。
因みに、礼儀作法については、基礎的な部分は日本人をやってりゃ小学校以前に習う程度のこと。ヴォルスランドの騎士作法もあれば、まあ困らんだろう。つまり俺は大丈夫。
兵士については、徴兵ということで、農民達から部屋住みの次男三男を貰って兵団を作った。
兵舎に大きな建物を建てて、三十人程度の兵隊を雇用。普段は衛兵として、訓練と村の見回りをさせている……。
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《御恩と奉公》
・封土の確認をする◯
・封土の方針を決定する◯
・兵隊を作る◯
・オプション:特産品を作る◯
———クエスト成功
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……で、そうこうしているうちに、本題の。
従軍依頼、つまりは赤紙が届いた……。
実家に帰らせていただきます。