ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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正月だし、地震もあったし、こんな小説読む暇があったら各々がやるべきことをやった方がいいのでは……?


24話 戦いに備えよ

俺は、従軍依頼を受けて、即座に参陣した。

 

三十人の兵隊と、三人の従士、あと嫁全員で。

 

「我々、アスレッド家は、代々アルザード大王国を支えてきた名家!反乱軍は断じて生かしておけん!そも、反乱軍には正統性というものごなく〜……」

 

王の演説を聞き流しながら、俺は頭の中で話を整理する。

 

ボンクラ第一王子率いる(率れてない)正規軍と、有能第二王子率いる反乱軍……。

 

アスレッド王国は正規軍側だったな。

 

で、今回の敵軍がグリンバル王国。

 

国としての公式声明は「中立を維持する!」ではあるが、反乱軍に加担しているのは公然の秘密だ。

 

何故そう断定できるか?と言うと、グリンバルで開発された最新型の武器を、反乱軍が持っているからである。

 

グリンバルは、北方の寒い土地にある国なのだが、たくさんの鉱山と山を保有しており、そこから得た金属と薪で(中世基準で)大量の鉄器を生産しているのだ。

 

それ故に、グリンバルには、鉄や木材を巧みに加工できる職人が多く……。

 

そんな職人達が作り出した武器が、「平民でも騎士を殺せる武器」である、『クロスボウ』だった。

 

クロスボウは、狙って引き金を引くだけなら、理論上では女子供でも使えて、尚且つその威力は、騎士の防具である『フルプレートアーマー』を貫通せしめるものだった。

 

それはつまり、力なき民でも、クロスボウを上手く使えば、選ばれし戦士である『騎士』を殺せると言うことに他ならない。

 

無論、騎士達も、一定時間鎧を固くする魔法や、力場で矢を逸らす魔法なんかが使える奴が多いらしいが……、それでも、殺せることには変わりない。

 

そんな貴族を、騎士を殺す武器を、グリンバル王国は反乱軍に流しているのだった。

 

そりゃあまあ、反乱軍に与する敵と思われても仕方がない。

 

「〜以上!諸君らの健闘に期待する!」

 

おっと、話を戻そう。

 

たった今、アスレッド王の演説が終わり、集められた兵隊達がうおお!と叫んでいるところだ。

 

内訳は指揮官たる騎士が三十人、農兵が六百、傭兵が二百ってところか。

 

総勢八百人。

 

ショボく感じるが、この世界では一般的な規模の戦争だな。むしろ、これでも結構な本腰を入れているのが伝わってくる。

 

傭兵二百人だもん、相当頑張ってるよ。

 

アスレッド王国って、金がある国じゃないからな。傭兵二百人を雇えるだけの金は、結構奮発している。国家の運営をご家庭のお買い物レベルに落とし込めば、「新しいゲーミングPC買おうかな!」くらいには金をかけているだろう。給料(予算)二、三ヶ月分ってところか。

 

さて、そんなそこそこ重要な戦争とは……?

 

「戦地は、ここから四日の地点にある『マインザッハ砦』!砦を落とすのが諸君らの仕事だ!」

 

なるほど、砦の攻略、か。

 

 

 

「良いか?マインザッハ砦は、隣国『グリンバル王国』の要所だ。ここを落として橋頭堡にできれば、グリンバルを攻めるための足掛かりとなろう」

 

移動を終え、マインザッハ砦の少し手前辺りに陣を張り、天幕の中でブローナック王の話を聞く。

 

「グリンバル王国は、知っての通り北の国だ。マインザッハ砦を越えてその先に進めば、そこは雪国……。つまり、雪と山という天然の鎧に阻まれて、こちら側からの侵攻が困難なのだ」

 

なるほど、そういうパターンか。

 

「故に、このマインザッハ砦。ここを奪取し、橋頭堡として我が国に取り込むことで、ここを起点としたグリンバルへの侵攻が可能になる!」

 

理解できる話だな。

 

何もおかしなことを言っていない。

 

侵攻、というと悪いことに聞こえるかもしれないが、逆に言えばここを取っておけば相手側も攻めにくくなる訳だから、ある種の防衛と言っても良いかもしれん。

 

……しかし、砦の奪取ともなれば、砦そのものを壊すと怒られそうだな。

 

手加減をするように、嫁らに言っておかなきゃなるまい。

 

「そして今回だが……、先陣は、ブラッド殿に務めてもらおうと思う」

 

へえ、新入りの俺に活躍の場を与えてくれるってことか?

 

良いね、ありがたい。

 

けど……。

 

「ああ、やるよ。けどひとつ聞きたいんだが」

 

「何だ?」

 

「全員殺して良いのか?」

 

「ふふふ、できるものならやって見せよ」

 

あっそう。

 

じゃあやるわ。

 

 

 

「そんな訳だから、先陣を任されることになった。お前らもなんか適当に上手い具合にやってくれ」

 

「雑ゥ!」

 

豹獣人のキャシィが驚く。

 

「いや、見た感じ、束になってもこちらは殺せんぞありゃ」

 

「確かに、旦那の言う通りだろうぜ。『重装甲スキル』の《反応装甲》アビリティがあれば、傷一つつかねえよ」

 

オルグ族、つまりは鬼の女戦士、ロザリアが言った。

 

「《反応装甲》……、確か、初心級以下のランクの武器による攻撃の完全無効化でやんすよね?」

 

「ああ。この世界の数打ち武器は、基本的に入門級。良品が初心級ってところだな。その上の一般級ともなると、騎士くらいしか持ってねえ」

 

「でも、騎士が持つ一般級の武器も、素の防御力で弾けるでやんしょ?」

 

「そうだな。因みに、お前の持つ『軽装甲スキル』では……」

 

「《不可侵存在》があるでやんすね。初心級以下のランクの攻撃に触れたとき、1秒間無敵になるアビリティでやんす」

 

「じゃあまあ、とにかく。無策で突っ込んでも死なないから、突っ込むのが良いんじゃねえのか?」

 

「それで行こう」

 

 

 

次の日。

 

俺は戦場のど真ん中に立たされた。

 




実家で刺身を食うなどした。
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