ロザリア。
オルグ族、つまりは鬼族の戦士長。
2メートルを超える上背に筋骨隆々な巨体。白い髪を乱雑に伸ばして、その隙間の額側から二本の角が伸びている。
美人だが、ガラが悪そうで怖い。
シャーロット。
青い肌に翼と尻尾、角を持つ悪魔っ子。少女と大人の境目ほどの年頃の美女。
悪魔の王を父に持つ、格の高い悪魔だ。
ルビー。
真祖吸血鬼。
白過ぎる肌、金色のストレートヘア、赤い瞳が特徴のロリ。
アリーヤ。
古代文明のホムンクルス。
血の通わぬ磁器のような白肌に、武器を内蔵した鋼鉄の手足を持つ。青白い髪をショートカットにまとめて、その美しい顔は無表情。
最終関門……。
「なんか怖そうな奴らだ」
「「「「むぅ……!」」」」
ひえー。
「だが待ってほしい。お前らどうせ文句言うだろ?」
「言うに決まってんだろ?」
ロザリアは、金色の瞳でこちらを睨む。
「俺はアレだぞ?あらかじめ話し合おうと真剣っぽいポーズを見せておくことにより、後で文句を言われた時に『何であの時言わなかったんだ!』と言い返す準備をしているだけだぞ」
「人間の屑がよ……」
ひでぇ。
「……けど、正面からやっても勝てるのに、ちょいちょい小技挟んでくるスタイルは旦那らしいぜ」
そう言って、テーブルの上にあるミードを瓶ごとラッパ飲みするロザリア。
オルグ族からすると、この程度のアルコールは水に等しい。
「俺はお前みたいな誉れの戦士じゃねえからな。どんな汚い手を使っても、最後に立っていた奴が勝ちなんだよ」
「ハッ!違いねえ!やっぱり、俺が愛した偉大な戦士だぜ、旦那はよ!」
ふーん。
「そりゃあ、俺みたいなオルグ族では、臆病な弱者は屑だ。勇敢な戦士こそ尊ばれる。……だが、どれもこれも生き残ってこその話!戦場で女だの子供だの、汚い手だの何だのとくだらねぇことを抜かす奴は、死んで当然だ!」
「この前の勇者がそんなに気に食わなかったのか?」
「ふん、あんなもん殺す価値もない。ただ俺は、旦那が強い戦士のままだって言いたいだけだ」
「弱くなったと思うんだがな」
「抜かせ!まだ一度も、この世界に来てからの模擬戦で俺に負けてねえだろアンタ!」
「そりゃ、お前の手の内は全部分かってるからな」
「俺だって、旦那の手の内は知ってるぜ。それでも、旦那には勝てねえんだ。言いたかねえが完敗だよ」
ふーん。
まあ、ロザリアは少なくとも、俺が強さアピールをしとけば納得してくれそうだな。
「そっちはどうだ?」
ルビーに話を振ってみる。
「とりあえず、主人殿は、三千年間孤独な時を生き続けた真祖吸血鬼の我に、優しい温もりを与えた責任を取るべきじゃと思うぞい」
んー。
「いや……、もう……、本当にの。我は、主人殿を喪えば、その時点で死ぬつもりなのじゃが。主人殿がいない世界では、もう生きていけんのじゃ」
「ヤンデレ?」
「そういうのいいから……。本当に、ほんっとうに、我は主人殿を心から愛しておる。お主が居ないと、我は、我は……」
そう言って、アルコール中毒者のように震え始めるルビー。
割と結構可哀想なので、手を握ってやる。
すると、吸血鬼らしい凄まじい力で手を握り返してきて、呟いた。
「嫌じゃ、嫌じゃ、ここに居てたもれ。我の前から、居なくならないで……!」
本気で怯えているようだな。
ルビーの前でそう言う話は拙いっぽい。
ルビーはそのまま、ガッチリと俺に抱きついた。
「シャーロットは?」
俺はそう言う。
「悪魔であるわたくしとの契約が切れていませんわ。以上!」
話を切り上げられてしまった。
シャーロットとは、永遠に愛し合うと、『悪魔の契約』を結んでいる。
その契約が成立している以上、二人の仲が分たれることはない!というのが、悪魔であるシャーロットの主張なのだろう。
確かに、魔神本体の目の前での永久契約をした訳だからな。本当にマジで永遠で、例え死んで魂だけになろうとも、世界が終わろうとも、絶対に共にいるというガチで重い契約だ。
だからシャーロットは、その契約が切れてない以上、どんなにお互いが離れようと頑張っても、離れることができないからと、余裕の態度を崩さないのだ。
因みに、この契約は嫁全員としている。
「じゃあ、アリーヤは?」
「当機はマスターの所有物ですので、捨てられない限りはお側に侍りますが」
「自分の意思とかは?」
「当機の最高幸福は、マスターの妻として、従者として、マスターを支えることです」
んー。
こいつはまあ、そんな感じだろう。
遺跡から発掘した感じの嫁だからな。
半分モノみたいなところがある。
「俺のこと好きか?」
「肯定します。当機、アリーヤは、マスターのことを心から愛しています」
「人の心があると?」
「肯定します。当機の高度な演算力を持つ電脳の情報素子は、人体のシナプスの運動と同じ機構を持ちます。事実上、当機には心があることになります。それに」
「それに?」
「当機の心を育んだのはマスターです」
そう言われるとそうである。
発掘当初は、無感情なほぼロボットだったアリーヤに、情動や人の世界のこと、生きることの素晴らしさなどを教え込んだのは俺だった。
「マスターは、当機の主人であると共に、父であり、兄であり、愛する伴侶です。マスターに所有権を放棄されれば、当機は無期限に稼働を停止します」
「自殺……ってコト?!」
「肯定です。マスターが当機を不要と思うなら、当機には価値がありません」
うーん……。
とにかく、蟠りは一切ない、と。
あ、ダンジョン飯のアニメ、めっちゃ良いですね!声優がいい感じ。
海外の反応で「これは良い負け犬エルフ」などと罵られているマルシルさん……。
スペルキャスターなのに知識判定で役に立たないのめっちゃ好き。