ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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今日も寒いねえ。


36話 領地クエスト2

「にしても、調子出てきたんじゃねえか?旦那よお」

 

落葉樹の葉が色付き始め、木から落ちた実を食わせる為に豚を放牧する季節。

 

俺達は、馬車に乗って冒険の旅に出ていた。

 

隣に座るロザリアが、そう言ってからかい気味に俺を肘で小突いてくる。

 

「何の話だ?」

 

「いつもの調子が出てきたな、って」

 

「……いつもの調子とは?」

 

「ほら、新しい街に来ると、街の人間みんなに話しかけて『何か問題はないか?』って聞いて回るだろ?」

 

あ?

 

あー……。

 

そりゃ、オープンワールドゲームなんだから、新しい街に来たらその街のクエストを受けられるだけ受けるだろ……?

 

……いや、そうか。

 

「もしかして、この行動、おかしいのか?」

 

「ハハハッ!自覚無かったのかよ?!」

 

まあそうね、常識的に考えたらイカれてるよね。

 

いきなり街に来た謎の究極戦士が「仕事はないか?」とガキンチョにまで聞いて周り、実際に働くのだから、そりゃイカれてるわ。

 

でも仕方ないじゃん、現実とほぼ変わらない自由度のVRゲームなんてものが流行しているんじゃ、そうもなろうというもの。

 

無敵チートとエロMODで全世界レイプの旅!とかやる奴も割と結構いらっしゃるんだぞ?

 

そんな、アリスな感じのソフトウェアの槍っぽい名前のエロゲみたいなことが許される世界で、謎のクエスト乞い究極戦士に過ぎなかった俺はまだまだまともなラインだろう。

 

実際に、ゲームの本題はクエストなんだからさあ……。セックスなんて別に、やろうと思えばいつでも相手が見つかるだろ……。

 

俺がエロMODを入れたのは、美形化MODや体型拡張MODに関係するものだったからという理由だ。

 

嫁らには、クエスト貰いまくって何でもハイハイ言うことを聞いて、言われるがままに古龍を殺し魔王を倒して悪神に喧嘩を売り……ってしてたら、なんか勝手に惚れられてたってだけの話。あんまり、惚れさせようとする意識はなかった。

 

まあでも、「あなたが好きです」と言いながら全裸で床に入ってくる女を抱かないとか男としてあり得ないので、全員食って、そしたら見事に外堀を埋められて責任を取らされたってだけの話だ。

 

「旦那ほどの戦士が、どうして木端に過ぎない平民共の願いを聞くんだ?城を構えて、MODの力とやらで毎日遊んで暮らせばいいのに」

 

「娯楽の本質は適度な苦難と他者からの賞賛だぞ。クエストは、その両方を手軽に手に入れられる神コンテンツだ」

 

「結構なことじゃねえか!無敵であっても力を求め、遊んで暮らせる立場にあっても試練を求める!戦士の鑑だぜ!」

 

「戦士としての流儀はあるが、戦士の規範たらんとするような殊勝さはないなあ」

 

「ハ!なら、自然体で戦士を体現しているってことだろう?旦那は自分のことを高くも低くも見ねえがよ、他人から見りゃあアンタは『偉大なる戦士』だよ」

 

「ふーん」

 

そうなんだ。

 

「……そして俺は、その偉大なる戦士の相棒で、伴侶だ。これより名誉なことはこの世にねえ」

 

なるほどね。

 

「じゃあ、次の戦争も派手にやるか。武勲を挙げて、お前を大英雄の妻にしてやるよ」

 

「ああ……、やっぱ好きだぜ、アンタのそういうところ」

 

そう言って、ロザリアは。

 

俺の腕に手を絡めて、寄りかかってきた。

 

ああ、そうだった。

 

この見た目で、結構女らしく甘えるんだよな。

 

そういうところが、可愛いんだ。

 

 

 

さて、ルート的に、まずは森の方に来た。

 

森の手前の小高い丘の陰に、サイクロプスの番いがいるという。

 

これを殺す。

 

「どうする、旦那?」

 

「練習代わりに正面から叩き潰す」

 

「リョーカイ、っと」

 

インベントリでの召喚。

 

これにより、普段着の革ズボンにチューブトップという姿から、即座にフルプレートの鎧姿に変身するロザリア。

 

俺も同様に、ワイシャツとジーパンから、厳つい大鎧の姿に。

 

虚無の空間からずるりと引き出したるは、古龍の骨を削って作った特大の剣。

 

『龍帝の大剣』である。

 

これを担ぎながら、俺達は悠々と丘……エルスター丘へと向かう。

 

目の前に聳える……いや、そんな大層な形容が相応しくない、高々3メートルと少しくらいの丘は、地殻変動でできた境目か何かだろう。

 

その陰に、手折られた木が何本か立てかけてあり、そこで生活をしているのが、件のサイクロプスという訳だ。

 

サイクロプスは、身長3メートル程度の、一つ目の巨人だな。こちらもまた、大層なものではない。

 

まあ、女の胴ほどもある丸太を武器にしている辺り、この世界の一般人には脅威的な敵なのだろうが。

 

「ガウ?」

 

「《ギロチンの斬りつけ》ッ!!!」

 

「ギャッ!」

 

あ。

 

ロザリアが一撃で殺しちゃった。

 

「おいおい、練習させてくれよ」

 

「一匹残しておいてやったろ?」

 

「ウオオオオオッ!!!」

 

突然に番いを殺され慟哭するもう片方のサイクロプス。

 

そっちに俺は。

 

「仕方ない。こいつで練習するか」

 

と、剣を向けた。

 

「グオオオオッ!!!」

 

サイクロプスは、怒りの声を上げつつ、拳を振り上げて叩きつけてくる。

 

それを俺は、合気のような要領で、膝と腰の柔らかさをクッションに受け止めて見せた。

 

「オ、オ……?!」

 

「なるほどな、こんな感じか」

 

やはり巨人か、力はあるな。

 

このレベルの力を持った雑兵がずらりと百体くらい並ぶと割と厄介かもしれん。

 

戦象のように、サイクロプスを家畜化して戦争に使うような国があったら、結構めんどくさいかもな。

 

「アビリティを使わずに、通常攻撃で殺すか」

 

俺は呟き、まず大剣を横薙ぎに振るった。

 

「ア"!」

 

サイクロプスの膝を両断して転ばせる。

 

あえて骨ごと斬ったが、引っかかりはあまりない。

 

一撃で斬れる。

 

だが、人体よりは数倍頑丈だろう。

 

攻撃力に劣るキャシィなどは、少し辛いか?斬れはするだろうが……。

 

そして、倒れ込んできたサイクロプスの首を……。

 

おっと。

 

「「ギギィーーー!」」

 

巣穴から小さなサイクロプスが飛び出してきたな。そういや番いなんだったか。

 

それを俺は、普通に斬り殺した。

 

「アア"……、アアアアアアアア!!!!」

 

凄まじい、悲痛な叫び声を上げる親サイクロプス。

 

なんだいなんだい?バケモノの癖に家族愛っぽいところを見せつけてくるじゃないか。

 

目で訴えかけてきてるよね、なんかこう、アレ、家族愛とかそういう……なんか……、アレを。

 

でもそんなこと言われても人喰いのバケモノと共存なんてできんから殺すしかないんだよね。

 

恨むんなら人の領域に踏み込んできた己らの迂闊さを恨め、って感じだわな。

 

あの勇者なら見逃すのかもしれんが、俺は違う。

 

速攻で親の方のサイクロプスの首を刎ねた。

 

×××××××××××××××

 

《サスボーンの守護者》

・サイクロプスを倒す◯

———クエスト成功

 

×××××××××××××××

 




ゾンビものをちょっと書く。

需要がなくてもやめられんね、ゾンビものは。
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