ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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異世界転生した主人公がさらに転生するとか、これもうわかんねえな。


46話 ネタバラシと魔人転生

船に乗って。

 

「凄いよ、ジン君!魔王を倒したんだね?!」

 

「やったな!」

 

「遂に、遂に……!」

 

浮かれるメス共に、真実を伝える時間だ。

 

 

 

「さて、改めて自己紹介しようか。俺の名はジン、灰の指先の首領にして人外の王」

 

「え、は?」

 

「そしてこいつが新たな下僕の、元魔王サタナエル」

 

「はーい、よろしくねー」

 

「……え?」

 

「次の行き先は魔王討伐の知らせを聖王国に伝えに行くのではなく、メリカ大陸だ。エルフ、ドワーフ、ハーフリングを可能な限り集め、ヨロパ地方に移送する」

 

「え、えと」

 

「住処の選定は既に終わっていて、取り敢えずは、エルフは人外国家の森、ドワーフはエデン及び各国の鉱山、ハーフリングは適当に放流する」

 

「は、あ?」

 

「選べ、と言っている。人外側につくか、人間の奴隷のままでいるか」

 

「待ってよ、ジン君……。いきなり何を言い出すんだい?」

 

「そ、そうだよ、いつもの優しいジンに戻ってよ……」

 

「あ、貴方は、そんなことを言う人じゃないですよね?ねぇ、ジンさん……!!」

 

俺は椅子に腰掛けて、問いかける。

 

「人間の奴隷風情が……。甘い夢は終わりだ」

 

「わ、私達は、人間の奴隷などでは……」

 

「そ、そうだぜ!俺達は人間とは仲良くしてる……」

 

「僕達は人間と対等で……」

 

「本当にそうか?」

 

「「「ッ!!」」」

 

「本当に人間と対等で、仲良く暮らしていると思っているのか?」

 

「「「………………」」」

 

「エルフが金持ちのペットにされ、人間よりもはるかに安い賃金で鉱山で働かされるドワーフ。旅をして生きているのではなく、どこにも受け入れられないが故に放浪せざるを得ないハーフリング。お前達が本当に対等だと?」

 

「それ、は」

 

「人間共の神は何と言った?人以外の種族は皆、神以外のものが人を真似て作った贋作、出来損ないだと嘯いているぞ」

 

「で、でも」

 

「何にせよ、二つに一つだ。仲間になるか、断るか」

 

「……断る、と言ったら?」

 

「いやあ、有望な部族の跡取り娘が行方不明になっちゃうんじゃねえかなァ?クハハハハ!」

 

不本意だが三人ほど遭難ってことになるかねえ?

 

「………………です」

 

「何だと?」

 

「人間には逆らえないのです……!!」

 

ふむ。

 

「何故だ?」

 

「部族の皆が人質なんです……。魔王を倒さなければ、皆売られてしまいます!!」

 

「侵略者を排除しないのか?」

 

「エルフは争いを好みません……、話し合いで解決を」

 

「ふん、腑抜けているな。それで結局、人間の数に押されて縄張りを掠め取られたってところか」

 

「し、仕方がなかったのです!そうするしか、他に……!」

 

「抜かせよ。ただ単に根性がねえだけだろ?頭捻って人殺しの方法を考えたか?逃げなかったのか?お前らの努力不足だな」

 

「そ、そんな、そんなことは」

 

「クハハ、だが安心しろ。俺が救ってやるよ!」

 

人間の下僕にしかなれない憐れな種族に、まともな日常をくれてやるんだ。喜べよ。

 

「ジン君、変なこと言わないでよ……!あんなに優しくしてくれたじゃないか!」

 

「ふっ……、ああ、お笑いだったぜ。少し甘い言葉をかけてやれば、喜んで擦り寄ってくるんだもんなァ?可愛い可愛い馬鹿女ちゃんよォ?」

 

「騙した、の?」

 

「今更気づいたのか?」

 

「そん、な……。愛してるって、言ってくれたのに……!!」

 

「愛してるぅ?クハハハハハハ!!!そんなもんリップサービスに決まってんじゃねえか!!!本気にすんじゃねえよ、間抜け!!!」

 

「あ、あああ、うわああああああ!!!!」

 

 

 

泣き崩れる三人を見ながら、俺は尋ねる。

 

「それで?どうすんだ?死ぬか、こっち側につくか。選べよ」

 

「お願い、が、あります」

 

んだよ。

 

「何だ?」

 

「何でも、します、だ、だから、愛して、愛して下さい!嘘でも、良いのです、愛してると、もう一度……!!」

 

「お、俺も、ジンのこと、好きだ。ジンが俺を好きじゃ、なくても、俺は、ジンが好きだ。何でもする、だから……!!」

 

「僕も、ジン君と、ずっと一緒にいたい!お願い、好きって、もう一度だけ……!!」

 

……はっ。

 

予想以上に間抜けだったな。

 

愛?下らねえ。

 

そんなことで俺の側につくってのか?

 

馬鹿なのか、こいつらは。

 

ふん、まあ良い……。

 

「俺に従うならば、可愛がってやるよ」

 

さて、民族大移動だ。

 

 

 

メリカ大陸にオスプレイで移動。

 

それぞれに有りっ丈の人数を集めさせる。

 

エトワールはエルフを、マルテーロはドワーフを、リリィはハーフリングを。

 

六ヶ月かけて、合計で数百万人程集まった。

 

ついていくことを拒否した部族もいるが、それは知らん。そこまで面倒を見る気は無い。

 

集まったこれを、何万隻という船で大移動させる。

 

武器庫の物資により、道中の食料などの問題はなかった。

 

最新鋭の船であれば、メリカからヨロパまで数週間とかからない。

 

人外国家へ連れて行ってやり、教育を始める。

 

さて、お次は。

 

俺の魔人への転生だ。

 

 

 

「マリー、資料を」

 

「はい」

 

リッチのマリーから、研究資料を受け取り、吟味する。

 

「候補はこれだな。デーモンロード、アジダハーカ、アポカリプスビースト」

 

それぞれ、悪魔種、龍種、獣人種の最上位種の一つだ。

 

「……ふむ、三つ全てを選ぶか」

 

「危険」

 

「危険か?ハーフエルフやダンピールなどの、ハーフの種族が存在する以上、複数の性質を持つ新たな種族を作ることも可能なんじゃないのか?」

 

「前例がない」

 

「俺がその前例ってやつになれば良い……。やるぞ」

 

「……分かった」

 

俺は、三重の魔法陣の中心に立つ。

 

「魔人転生術式、起動……!!!」

 

赤黒い炎が身を包む。

 

全身の細胞一つ一つが沸騰するかのような痛み。脳が焼き切れるような頭痛。

 

「ゲギャ、は」

 

発狂するような痛みの中、俺は。

 

「ハハハハハははははははは!!!!アハハははははははははは!!!!」

 

正気のままに、狂い。

 

「あああアアアあっ!!!!」

 

魔人と、なった。

 

身長は伸び、2m50cm程。肌はメラニン色素の黒さとは違う、不自然な人外の黒に。

 

赤い毛が生えた獣の脚。赤い鱗のある龍の腕。

 

身体を覆えるほどに大きな龍の羽付きの腕が、腰から伸びている。

 

そして、2m程の悪魔と龍の合いの子のような尻尾の先端には、毒が滴る棘が何本も生えている。

 

黒い髪はかなり長く、眼球は黒、瞳は赤。発達した犬歯と、尖った耳。

 

捻れた角が天を衝くように聳え立つ。

 

異形。

 

そして最強。

 

身体の内側から、溢れんばかりの強力な力が渦巻くのが分かる。

 

「ク、ハハは、クハハハハハハ!!!!見ろ、マリー!俺は最強の魔王だ!!!!」

 

「……新種と断定。命名、悪魔種、『アンラマンユ』」

 

ふむ、アンラマンユ、ゾロアスターの魔王か。

 

良いだろう。

 

「俺はアンラマンユ族のジン、大魔王だ!!!」

 




ダンジョンマスターものとか書いてみたい感ある。

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