次は異世界侵略編とかやりたい。
あー、でも別の勇者も書きたいし。
「お、見えてきたな。取り敢えず、今日はあそこの村で休ませてもらおう」
イザベルさんはそう言うと、村に向かっていった。
今日は王都から一週間ほど移動した地点にいる。
「なあ、ちょっと良いか?」
「ん?何だ?」
平然と村人さんに話しかけるイザベルさん。
相変わらずのコミュ力の塊かよ。勝てない。
「アタシ達は旅の冒険者でな。対価は払うから、どこか空き家とか、泊まれる場所はねえか?」
「そうか。四人なら丁度空き家があるな。村長に聞いてみてくれ。村長はあっちのデカい家にいるぜ」
「おお、ありがとよ」
村長宅で交渉。
そういうのは全部イザベルさんがやってくれる。有能。
「ってな訳で、一晩借りるぜ。それと、食料の買取りだが……」
「ふーむ、そうじゃな、銀貨三枚でどうじゃ?」
「そりゃ多過ぎだ、銀貨二枚と銅貨五十枚だな」
「むう、銀貨二枚と銅貨八十枚じゃ」
「じゃあ銀貨二枚と銅貨六十……、いや、七十でどうだ?」
「ふむ、良いじゃろう。では、空き家を一晩と、二週間分の食料、今夜の食事じゃな。食事は時間になったら娘に呼びに行かせる。食料は明日の朝までに用意しておく」
「おお、ありがとよ」
すげー、リアル値切りだ。
大阪のおばちゃんくらいしかやらないものだとばっかり。
でも、こういうファンタジー的な世界では、必須のスキルなんだなー。
夜、硬い黒パンに美味しくないシチューを食べて、寝る。
「あの、イザベルさん。料理って、シチュー以外にはないんですか?」
「んー?そうだな、獣を焼いたりとか茹でたりとか……、それと腸詰や塩漬けなんてのもある。あとは卵とか、魚とかか」
「いや、材料じゃなくって、料理は……」
「料理?」
「その、そうですね、ピザとか……」
「なんだそりゃ」
「えっと……、薄いパン?の上にチーズやソースを乗せて焼いたものなんですけど」
「聞いたことねえなあ」
……この世界、メシマズでは?
その後、カリーナさんとシンシアさんに異世界の話をねだられる。
残念ながら私は一般通過オタク中学生。
現代知識ツエーは不可能でござるよ。
いくらなんでも、本当に異世界転移するとか予想できる訳ないじゃん……。
なんか、その、ノーフォーク農……、なんたら?が良いとか、そういうのは聞いたことあるけど、詳しくは分からない。
「……成る程、勇者様の世界には、モンスターもいないので、冒険者もいない、と」
カリーナさんが、私の話を聞いて唸る。
どうやら、冒険者がいないのが不思議らしい。
この世界では、モンスターの存在があり、それを倒す冒険者の存在はなくてはならないものらしい。
よく、異世界ファンタジーでも、冒険者は、騎士団を動かせないときに動ける便利屋とか、ならず者の受け入れ先みたいな風に書かれる。
この世界でもそうらしく、冒険者がいないというのは凄くびっくりするようなことみたいだ。
「疑問。では、軍隊は?」
シンシアさんが質問してくる。
「アッ、そうですね、私の国の軍隊は……、えーと、訓練は凄いらしいんですけど、装備が弱い、とか聞きますね」
「王は軍備を改善しないのか?」
「アッ、そうですね……、あんまりそういうのはやらないみたいです。元々、軍隊というより、災害とかでの救助がメイン?な感じだと思います……、あんまり分かんないですけど」
「何故、軍隊が災害に備える?」
「え?普通そうじゃないですか?」
「……災害なら、救助は町や村の男がやる。わざわざ軍隊は派遣しない」
「あー、そのですね、私の国は争いが嫌いで……、あんまり戦ったりとかはしなくて、えーと、軍隊が人助けをするんですよ」
「侵略されないのか?」
「アッ、まあ、そうですね、島国?で、小さな国なんで、あんまり狙われないんだと思います」
「辺境だと?」
「そんな感じ、ですかね?」
「辺境なのに、国民全員に九年間も学生をやらせる国力がある?」
「あー……、はい、そうですね」
国際情勢とか、そういうのは分かんないよ?!
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「……と言う訳で、日本には軍隊がねえんだとよ」
「ふむ、成る程……」
今回来ているのは鞍馬。
日本について話を聞きたいとのことなので、知る限りのことを教えた。
と、言っても、俺はある程度の文学や芸術、軽い歴史と、主に軍事的なことしか知らない。
何せ傭兵だからな、俺は。
「戦に負けたから、軍隊を持たないとは、意味が分からないね」
「俺も分からん」
「体良く牙を抜かれた、ということかな」
「だろうな」
お茶請けにはどら焼きと煎茶がある。
「む、このどら焼き……、餡子と生クリームを挟んであるのか。これは濃厚で美味しいね」
「響都の生どら焼き専門店『残月』のプレミアム生どら(つぶあん)、一つ三百二十銭だ」
「えー、響都にそんなお店があったのかい?」
「去年のアルカディアでの、万国菓子博覧会で、8位を獲得したらしいぞ」
「え、そうなのかい?あちゃー、見落としてたな、僕としたことが……」
「因みに、『残月』はお前がよく通っている響都発の菓子屋、『朧月夜』に暖簾分けされた店らしい。朧月夜の店主の息子夫婦が始めた店だとよ。週刊誌に書いてあった」
「うわあ、なんで見逃してたんだろう……、しくじったなあ。穢土に支店はあるのかい?」
「来月、穢土に支店を開くらしい」
「良いね、最高だ。通おう」
ジパングの和菓子はかなりの高レベルだからな……。
鞍馬も甘いものや脂っこいものが好きな傾向にあるから、休暇の度に逢阪や響都に現れ、菓子類や揚げ物なんかを堪能するらしい。
アルカディアの料理大会などにも、何かと理由をつけて審査員として参加してくる。
酒も好きで、ジパング酒の博覧会を、酒呑と共同で開催したりもしている。
指導者の連中は基本、その国の最大戦力であることと、大まかな指示を出すことが仕事だからな、実はあまり忙しくない。
元の世界の大統領の方が三倍は忙しいだろう。
「さて、となると、この子はなんの訓練も受けずにこの世界に来た訳か」
「そうだな」
「……君も残酷なことをするものだね。恵まれた環境から、この世界の人間の国に送り込もうだなんて」
「あぁ、残酷なこと、大好きなんだ」
「……殺すなら、一思いに殺してあげるんだ。余計な苦痛は」
「嫌だね、痛めつけて犯して、俺の所有物にする」
「……君の性癖は理解し難いな」
そうかね?
人間の原始的な衝動に従うことの何が悪いんだ?
いや、今の俺は悪魔だ。
悪魔が悪魔らしいことをして何が悪い?
「まあ、僕は最悪、ジパングさえ無事ならなんでも良いんだけどね」
「そうかよ」
「それにしても、日本には奴隷がいないとか?」
「ああ、奴隷はいない。事実上はな」
「え?いるのかい?」
「奴隷レベルの労働環境で働かされている奴らが多々いるらしい。社畜というそうだ」
「会社の家畜か……」
「それで、あまりの辛さに自殺するまでがワンセットらしい」
「酷いことをする……」
ジパングでは、お優しい鞍馬様が、国民のことを第一に考えた無理のない仕事を行わせている。
徹夜しがちな職種にはかなりの額の給金を出すし、優れた職人は優遇する。
ありがちな、見て覚えろ、というような悪習はなく、厳しいが丁寧に教わる。
文化や技術はまだまだだが、既に一部は日本より優れた国である。
「日本の話はこれくらいか」
「それじゃあ、僕は帰るよ。勇者がジパングに来ることはないだろうけど、一応備えてはおくよ」
「おう」
まあ、そんなところか。
魔剣の勇者編もまだプロローグみたいなもんなんだよなー。
魔剣の勇者で得たデータで世界を改変して、次が本番って感じ。