ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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今書いてるスキル集め系ファンタジーが割と楽しい。


67話 ダンジョン十一層

十一層からは、森になっている。

 

視界が悪い中、奇襲されたら大変だ。

 

みんなで警戒しつつ、先に進む。

 

「トレントだ!魔法がくるぞ!」

 

「プロテクション!」

 

シンシアさんが半透明の防壁を張る。

 

そして、私は。

 

「はああ!!!」

 

『オオオーン!!!』

 

インドキロスの雷を制御できるようになり、剣先からビームのように電気を放射する!

 

トレントは一瞬で黒焦げになった!

 

「やるな、勇者サマ!」

 

イザベルさんに褒められる。

 

この調子で頑張ろう!

 

 

 

「あの、イザベルさん、疑問なんですけど、ダンジョンって、何でこんなに綺麗なんですか?」

 

「んー?」

 

「この前来た時に倒したモンスターの死体がなくなってるじゃないですか」

 

「ああ、そりゃあ、ダンジョンが食ったんだ」

 

ダンジョンが、食べる?

 

「ダンジョンは、死体を養分として吸収するのさ」

 

あー、そういうタイプかあ。

 

でもこういう形式のダンジョンって毎回疑問なんだけど、人間の死体程度のエネルギーで、人間より何倍も強いモンスターを出せるのっておかしくない?

 

まあ、多分、周囲の魔力とか、地脈?みたいなのとかから力を吸い上げてるんだろうな。

 

なんかそういうやつだと思う。多分。

 

それで十一層……。

 

たまに出てくるフォレストレパードが厄介だね。

 

捉えきれないほどじゃないけど、結構な素早さで攻撃してくる。

 

緑色のヒョウみたいなモンスター。

 

森の中で緑色……、そう、えーと、保護色?って言うのかな?兎に角、見えづらい。

 

まあ、現れる時に草花を薙ぎ倒して、ガサガサと音を立てるから、それで分かる。

 

面倒なのは、他のモンスターと戦っている最中に、漁夫の利を狙って奇襲してくる時だ。

 

見えにくくて素早いフォレストレパードと、目に見えない風魔法を使うトレントのコンビは厄介だ。

 

同士討ちさせようにも、フォレストレパードは肉食で、トレントは残った死体から養分を吸い取るモンスター。

 

お互いに敵対することはないから、その二種に出会えば、人間対モンスターの構図になる。

 

もしも、トレントじゃなくてレッドキャップとかなら、肉食のフォレストレパードがレッドキャップに襲いかかって仲間割れし、その隙に攻撃すれば楽に倒せるんだけど。

 

と、言っても、まあ。

 

私達の能力は冒険者ランクで言えばA以上。

 

ここら辺の階層で手古摺ることはないらしい。

 

大変になってくるのは五十層辺りからだそうだ。

 

大体、冒険者ランクは、Eが普通の人並、ダンジョン十層までが適正。

 

Dで二十層、Cで三十層、Bで四十層、Aからは五十層より進むらしい。

 

かつて、魔王討伐の旅に出た『銃の勇者』なんかは、伝説のSランク冒険者で、こことは違うダンジョンだけど、ダンジョンの底、百層まで辿り着いたらしい。

 

因みに、銃の勇者パーティは行方が分かっていないとのこと。

 

 

 

次は……、十三層。

 

新しいモンスターがどんどん出る。

 

ダンジョンは、五層毎にボス、十層毎にエリアが変わる。

 

大体、十層までは平原、十一層から二十層までは森、二十一層から三十層までは森と川……、八十階層にもなると極寒の地や灼熱の火山とかになるそうだ。

 

百層に至った銃の勇者パーティの記録では、百層は瘴気が溢れる死の世界だった、らしい。

 

……そろそろ、ファングウルフやヴェノムスネークなんかも現れるようになってきた。どちらも、初心者殺し的なモンスターらしい。

 

二十階層のボス、コボルトキングはまあまあだった。

 

次は三十層、その次は四十層、そのまた次は五十層を目指す。

 

ダンジョンの中は、天気や昼夜の変化はあっても、季節はないから、年中無休。

 

半年も過ぎると、私は。

 

「三十層、突破!」

 

一端の冒険者になっていた。

 

 

 

×××××××××××××××

 

「……この紅茶、産地は?」

 

「エデンのだよ」

 

ふむ……。

 

やはり、紅茶はエデン産が一番美味いな。

 

「それは、最高級品の『シュモック』ってブランドの茶葉を使ったんだよー」

 

「ほう、そうか」

 

「他にも有名どころは、錬金抽出でカフェインを調節した『ネーベル』、最近できたハイブランド『シャルロッテ』、ブレンド茶葉の老舗『ハイラート』とかが有名かな」

 

「これはアールグレイに近い味だ」

 

「そうだね、シュモックは全体的にアールグレイに近い味だね」

 

「美味い。今度創業者に挨拶しに行く」

 

「シュモックはお菓子も美味しいんだよ!はい、クッキー!」

 

さく、と齧ったクッキーが口の中で紅茶の風味とともにほぐれていく。

 

「おお、美味いな」

 

「シュモックは、アルカディアの貴族からエデンの知的階級まで、広く愛されるハイブランドだよ!ハイブランドの割には値段も100グラムで20ドラだから、普通の人も買おうと思えば買える額なんだ!」

 

成る程。

 

「で、リィン。何しに来た?」

 

「大好きなご主人様に会いに来たんだよ」

 

「そうか」

 

まあ、いるならいるで構わん。

 

こいつがいれば、美味い紅茶が飲めるからな。

 

「あー、そういえば、紅茶は流行っているのか?」

 

この世界で紅茶が流行るものなのか?

 

確かに、地形なんかは前の世界と近しいものがあるが……、文化まで同じになるとは限らないだろう。

 

「うん。アルカディアって砂糖と乳製品の名産地でしょ?だから砂糖とミルクを入れて飲める紅茶はとっても流行ってるよ!」

 

ふむ、そうなのか。

 

「しかし、コーヒーでは駄目だったのか?コーヒーにも砂糖やミルクを入れることはできるぞ」

 

「その辺はね、ウーノが紅茶派だからだよ」

 

「成る程、女王たるウーノの真似をして、ということか」

 

「因みにご主人様は、紅茶とコーヒーどっちが好き?」

 

「どちらでも構わんが」

 

「そう?男性はコーヒー派で女性は紅茶派みたいな話もあるよ」

 

「そうか。まあ、その辺りの話はどうでも良いな。お前はマーケティングの為に知っておくべきかもしれんが、俺にはあまり関係がない」

 

 

 

「勇者はそれなりに努力しているな」

 

「そーだねー、頑張ってるねー」

 

「それなりに、な。あくまで人並の努力だ。覚悟もまだまだだ」

 

「でも、ちょっと前まで普通の人だったんだよ?大目に見てあげようよ」

 

「ふん、誰だって最初は素人だ。だが、適切な訓練と、死に物狂いの努力、適当なストレスコントロールがなければ、良い兵士にはなれない」

 

「そうなの?」

 

ああ、そうだ。

 

懐かしいな、生きる為に、死に物狂いで訓練をした日々が。

 

不法コピーのAKは精度が悪くてな。

 

資材もないから撃てる弾も少ない。

 

飯もろくに食えねえから、体力の消耗も避けて。

 

時に政府軍に追い詰められて、ジャングルの泥水を啜り、虫けらを食って、仲間の血肉すら口にして。

 

少ない金で本を買って、必死になって勉強してよ。

 

そして、俺は。

 

傭兵になった。

 

誰にも従わなくて済む傭兵にな。

 

自分に従い……、自分の為に引き金を引く。

 

思えば、惜しかったな。

 

あのまま地球にいれば、世界を火の海に出来たというのに……。

 

人類史に残るビッグゲームの主催者になれるチャンスを逃したと考えると、少し惜しい。

 

「……ご主人様?」

 

「ん、ああ、少し昔のことを思い出していた」

 

「昔のことを?んー、ご主人様の昔話、興味あるなー」

 

「そうだな……、じゃあ、地球にいた頃の話をしてやろう。うちの傭兵組織にアメリカのスパイが潜り込んでいた時の話だけどな……」

 




あんまり、ステータスとかスキルとか列挙するのは好きじゃないんですけど、それが最近の流行りなので従うし、やってみると割と楽しい。

現代社会に突然ダンジョンやらモンスターやらが現れ、ポストアポカリプス的な世界になるが、主人公とハーレムメンバー、それと親友達は、変わってしまった世界でも余裕を持って生き抜くって話。

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