それじゃあ、アルフリート王に最後の礼でもするか。
この数十年、楽しませてもらったからな。
態々船で移動し、行軍させて。
街を適度に破壊しつつ、適当に人間を殺し、侵攻する。
逃げる奴は追わない。
逃げられなかった奴から殺す。
まあ、これもある種の選別だ。
この程度で生き残れない奴は生きていてもどうせお荷物になるだけだろうしな、ここで死んだ方がプラスなんじゃねえか?クハハ。
そう、それで……。
殺しまくって、取り敢えず首都に攻め入る。
そして……、ここでもまあ、適当に、はらわたで首を絞められた女、全身が焼け爛れた男……。
適当に拷問して殺している。
誰かが言った。
「誰か、誰か助けてくれ……っ!!!」
その時。
空から光と共に現れた四人の天使が、俺の兵隊を(死なない程度に)吹き飛ばす。
「大天使ミカエル、参上!!!!」
そして、あらかじめ仕込んでおいた黒骸骨のメンバーに叫ばせる。
「あれは勇者様だ!勇者様が天使になって助けに来て下さった!」
うーむ、あいつら、最早俳優やった方が良いんじゃないか?迫真の演技だ。
「「「「おおおおおおお!!!!万歳!!!!天使様万歳!!!!」」」」
何も知らない愚民共が歓声を上げる中、大天使達は人外の兵士と戦う。
適当なタイミングで兵士は自分の死を見せる幻覚魔法と転移魔法を使って順次帰還する。
『メリカの民よ!聞きなさい!』
ミカエルがラウドボイス(拡声)の魔法で、メリカ中に声をかける。
ウリエル、ラファエル、ガブリエルも、別の大都市で同じようなことをしている。
『神、アースの名の下に、貴方達に力を授けます!その力で戦うのです!』
「こ、これが新たな力!」
「うおおおお!」
「す、凄い!」
そして、適当に魔術とスキルを与える。
因みにこれは人体改造というか、魂の改変のようなものだから、遺伝もするし、そしてどんな副作用があるかも分かっていない。
まあ、勇者カリンでの実験データから、重篤な副作用はないと判明している。問題ないだろう。
そして、特に、知的階級と戦士を念入りに殺しておいたので、従来の魔法や戦闘方法は衰退するだろうな。
よし、それじゃあ……。
適度に負けたし、撤退するか。
最後に、大天使と俺が王都の空の上で戦って、と。
「これで終わりよ、魔王!!!」
「ぐあああああ!!!」
適当に負けて、と。
「覚えておけ!我は人の心に闇がある限り、必ず復活するだろう!次こそはこの国を滅ぼしてやろうぞ!ハハハハハ……!!!!」
「天使様の勝ちだ!」
「天使様万歳!」
「うおおおお!」
この後、数年かけて魔術とスキルを人間国家に流して、大天使は何だかんだ理由をつけさせて天に還るとか言ってこっちに帰還させ、小間使いとして使ってやる。
それと、人外国家の都市計画や開発が終われば、また新しいゲームをするだろうな。
いやあ、使えないと思っていたカリン……、ミカエルは面白いな。
あいつに『武器庫』を使わせたところ、コミックブックやテレビゲームを出せるようになってな。
それで、あいつの勧めで俺もいくつかテレビゲームをやってみたのだが……、テレビゲームとは違い、今回のゲームは穴が多かったな。
キャストはもっと多い方が良いし、テレビゲームのお約束のように、心を入れ替えて仲間になる人外や、そうだな、例えば、魔王城に行くための鍵を世界中に散らばせて、全部集めないと魔王城に来れないとか……。
世界は広いというのに、短い旅路で終わらせちまったな、という点も反省したい。
その為には都市開発を進めて、ダンジョン街計画を……。
そして大規模術式で、現在の街とダミーのダンジョン街を入れ替えて、役者を大量に用意して……。
「と、まあ、五十年程は動けないな」
「な、にを……?!!」
おいおい。
「アルフリート王、久し振りだなァ?聖王国でお前の姉貴と遊んでやって以来か?」
「ま、おう、貴様……、死んだはずでは……」
「ネタバラシの時間だ、夢の終わりだよ、アルフリート君?」
大天使四人を呼び出した。
「ま、さか」
「ミカエル、俺のナニをしゃぶれ」
「はぁい❤︎喜んで❤︎」
娼婦のように股を濡らし、尻を振りながら俺のナニをしゃぶるミカエル。
「あ、ああ……」
「そういや、お前の姉貴の死に様は面白かったな!今でも思い出すぜ!焼けた鉄棒突っ込まれてよがってたなァ?」
「こ、殺してやる……、殺してやるぞ魔王!!!!」
「ウリエル」
「はっ!」
ウリエルがアルフリート王を死なない程度に蹴り飛ばす。
「小便でもかけてやれ」
「はいっ!」
ウリエルはアルフリート王に小便をひっかける。
「クハハ……、良いザマだぞ、アルフリート君よォ……。最後に一つ」
フルボを呼ぶ。
「あー、王様。メリカの宰相に推薦していただきありがとうごぜえやす……。国一ついただけるとは太っ腹で」
「フェッソ伯爵……?!!!」
「いやあ、助かりやすよ、宰相ともなると動きやすさが断然違いまさぁ。やりたい放題できやすねぇ……、ケケケ」
「いつ、からだ……、いつから裏切っていた!!!」
「質問がおかしいですね、俺ァ裏切ってなんかいやしやせんよ。最初から……」
フルボが俺に跪く。
「俺ァ、最初から、偉大なる魔王陛下に仕えてやしたよ、ケケケケケケケ!!!」
「う、嘘だ、嘘だあああああああ!!!!」
フルボの話は続く。
「そもそもォ、おかしいと思いやせんでしたかねぇ?何で聖王国が突然滅ぶって時に都合よく船がたくさんあったんでしょうや?有能な貴族やら学者が消えた理由は?裏で流されてる麻薬や密造酒は一体どこから?」
「やめろ、やめろやめろやめろおおおおおおお!!!!」
アルフリートの心を完全に折り、飽きたので。
「じゃあ、最後にこれを使おうか。新しく作った魔法の実験台にしてやる」
俺は手を翳す。
「ロボトミー」
「ぷ、げ……、ら、れれれ、ららあ」
脳細胞を破壊する魔法だ。
ある程度の魔力があるやつには効かないが、人間程度ならよーく効くなァ?
脳を破壊されたアルフリート王は、フルボに任せた。
「アルフリート王は痴呆になった……、悲願である魔王討伐が終わり、気が抜けてしまい……、ってことにしておきましょうかね?実際、生き甲斐をなくしたりすると痴呆になるみたいですしね」
さて、その後のメリカがどうなったか。
アルフリート王は痴呆が進み、日常生活もままならない。その上、人口が三割近く減るが、偉大なる大天使四人の力と、宰相になったフェッソ侯爵による資金援助により、各地の復興は進み、フェッソ侯爵はアース教教会に聖人の認定を受ける。
フェッソ侯爵は国の復興のために私財の多くを投じて、各業界とマーレ家との繋がりを強めると、周囲に惜しまれつつも隠居。
以降、宰相の地位はマーレ家の者こそが相応しいと世論も貴族界も口を合わせて(もちろん、裏金などの裏取引はあったが)言われるので、今後は代々、フェッソ・スタ・マーレ侯爵の家系がこの国の宰相……、実質的な裏ボスになることが決まった。
実際、王家よりも金、人脈、技術があるから、乗っ取っても良かったのだが、ミカエルが言うには、「実は王様が悪者だったって展開はテンプレ過ぎるし、勇者も従ってくれなさそう。やっぱり宰相が悪者の方が面白いよ!」とのことなので、そうしておく。
特にこだわりはないが……、確かに、表立って支配するより、裏から支配した方が楽しそうだと言うのは理解できる。
さて、次の勇者を呼ぶ前に……。
「報告。新たな世界を発見」
「そうか、なら」
異世界侵略だ。
デブなのでバター好きです。
あー、なんかねー、こうねー、現代ものとか書きたい。
例えばこう、現代社会に技術チート転生して、永久機関やらスーパーロボットやらを作り出して国家間のパワーバランス崩して遊ぶ発明家主人公……、いや、チート技師とカブるしなあ。