ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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忙しくて書き溜めが!!!

ない!!!


77話 何でも屋の面目躍如

午前は何でも屋を開いて、午後はソフィアの訓練をして、一ヶ月が過ぎた。

 

既に何でも屋の噂は千里を走ったらしく、色々な客が来る。

 

貴族のエマもこちらによく来ては、甘いものを買うようになった。

 

今は。

 

「こんにちは、ジン殿。私はルーソン家の後継であるマルコ子爵だ!」

 

「そうか、で?」

 

変な男の相手をしている。

 

 

 

基本的に、面倒だから、客への対応は全てソフィアにやらせている。接客なんぞ誰が好き好んでやるか、と言う話だ。

 

俺は隣でコーヒーを飲みつつ、本を読んだり、ミカエルに勧められたテレビゲームとやらをやってみたりして暇を潰す。

 

ソフィアが詳しく注文を聞いて、俺がそれを出す感じだ。

 

だが、何故か知らんが直接俺と話したがる奴が多い。

 

そんなことをしても俺は銅貨1枚も値引きしないんだがな。相手の顔を覚える気もねえしよ。

 

「妹を助けてくれたそうだな、まずは礼を言おう」

 

「そうか、で?」

 

「……我がルーソン家は、代々水の魔法に長け」

 

「要点だけ話せ」

 

「む、むう……。その、だな、私は水属性の魔術で有名なルーソン家の跡取りだと言うのに、水属性の魔術が使えぬのだ」

 

俺は机の上に薬を置く。

 

これは、エデンとシェオルの共同開発による、属性魔術覚醒薬だ。

 

魔術は、魔法とは違い、訓練ではなく素質で使うものだ。

 

魔法ならば、訓練次第でどんな属性でも使えるが、魔術は生まれ持った素質の魔術しか使えないのだ。

 

しかし、魔法が使えるのであれば、魔術は素質とは関係なく、全ての属性が使えるようになる。あくまで、魔術は魔法の下位互換だと言うことだな。

 

そしてこの薬の薬効は、まあ、その名の通りだな。

 

これは飲めば体内に変異の魔法がかかり、水属性の魔術が使える体質になるそうだ。

 

なんで作ったか?

 

ふむ、研究と言うのは一本道ではなく、雑多なものの積み重ねということだ。つまり、1という技術の上に2という技術がある……、と言う訳ではなく、A、B、Cと雑多な研究の山の上にDが乗って……、と言うように、積み重ねるものだ。

 

無駄な研究などこの世にないのだ。

 

真面目な顔をしてアンデッドにも効く媚薬を作っているアホくさい研究室だってある。しかし、あれだって、必ず何かの役に立つ。

 

そう言った学問をいかに積み重ねられるかが国力と言うものだと俺は思っている。

 

それで……、この薬は、エデンの大学で作られた試験薬の一つだ。モルモットと言う名の人間での実験は成功している。

 

使っても問題はないだろう。

 

「これを飲めば水属性の魔術が使えるようになる」

 

「ほ、本当か?!」

 

「金貨50枚ってところか」

 

「む……、高い、が、払えぬ額ではない。しかし、もしも偽りであれば返してもらうぞ」

 

そう言って、金貨を渡してくる貴族の男。

 

「なら、ここで飲んでみろ」

 

「……良いだろう」

 

薬を飲み干す貴族の男。

 

「……ウォーターボール!」

 

空に向かって水球が飛んでいく。

 

「な、なんと!まさか、本物だとは!やったぞ、これで私も……!」

 

「満足したなら帰れ」

 

「館に招いて正式に礼を……」

 

「いらん、帰れ」

 

「わ、分かった。しかし、礼を言わせてもらおう。本当にありがとう。もしも良ければ、正式に我が家に」

 

「帰れ」

 

追い出した。

 

 

 

また、別の日。

 

俺は小説を読みながら酒を飲んでいた。

 

「たのもう!」

 

また、馬鹿が来た。

 

「注文は女に言え」

 

「女中に剣の話が分かるか!俺はお前に話を聞いているのだ!」

 

「なら端的に言え」

 

「俺の名はルシアン!Sランク冒険者だ!」

 

「聞いているのは注文だよ、頭空っぽなのかてめーは」

 

「何だと!」

 

掴みかかってきたのでぶん殴って道に転がしておく。

 

 

 

30分後。

 

「済まなかった……、注文を聞いてくれ」

 

戻ってきた。

 

「そうか、で?」

 

「剣が欲しい」

 

「どんな?」

 

「Sランク冒険者が使うのに相応しい魔剣だ。予算は金貨100枚!」

 

ふむ。

 

「材質は?」

 

「丈夫で軽いもの……、ミスリルが良い」

 

「形は?」

 

「両刃のロングソード、片手でも両手でも扱えるもの」

 

「エンチャントは?」

 

「ワイバーンの鱗を斬り裂き、火を噴く魔剣が良い!」

 

そんなもんか。

 

創造魔法でミスリルを作る。

 

相変わらず燃費が悪いな、この魔法は。

 

それを魔法で加工して、エンチャントをする。

 

柄にワイバーンの革を巻き、魔化木材の鞘を作り、渡す。

 

「金貨100枚丁度受け取った。注文通りの魔剣だ」

 

「……は?い、今、何を?」

 

「帰れ」

 

「い、いや!今!」

 

「帰れ」

 

「わ、分かった、帰る、帰るよ」

 

 

 

「オウ、ここでなんか美味いもん食えるって本当かよ」

 

「注文は?」

 

獣人……。

 

人外国家の人外共のような獣人ではなく、全身が毛に覆われた犬のような顔をした男達だ。

 

「銅貨が……、しーごーろく、90枚ある!これで獣人三人が腹一杯になるくらいの飯と酒をくれ!」

 

「良いだろう」

 

俺はキッチンと、椅子とテーブルを出す。

 

「苦手なものは?」

 

「ねえよ、食えりゃ何でも良い」

 

「何が食いたい?」

 

「肉!」「肉だな」「肉と……、腹一杯になるもんだな、パンとか」

 

なら、業務用の冷凍のコロッケ、メンチカツ、フライドチキンを大鍋で一気に揚げる。

 

それと、業務用のロールパン。

 

レタスを敷いて、大皿に適当に盛り、ソースをぶちまける。

 

また、粉末コンソメスープの素と、業務用のミックスベジタブルと切れているベーコンを水で煮る。

 

酒も業務用のウォッカ。

 

一人銅貨30枚で腹一杯に、となると、業務用のものがメインになるな。

 

「「「おおーーー!!!」」」

 

「食え」

 

「「「いただきまーす!!!」」」

 

「ウンメェー!!!」

 

「この酒、強くて美味えぞ!」

 

「肉美味ェ〜!!!」

 

だが、獣人はアホなので味の違いなど分かるはずもなく。

 

「俺達、これでも結構味にはうるせえんだがよぉ、こりゃ美味えぜー!」

 

「安物だぞ」

 

「そうなのか?でも美味えーーー!!!」

 

 

 

逆に、味覚に自信がある奴も来る。

 

「こんにちは。私は……、まあ、食道楽にハマってしまった商人でしてね。何でも、ここでは、他にないような特別な料理を」

 

「注文は?」

 

「む、では、その、金貨10枚で特別な料理をお願いします」

 

「良いだろう」

 

俺はキッチンと、椅子とテーブルを出す。

 

椅子とテーブルも上等なものだ。

 

「座れ」

 

「は、こ、このテーブルは……、何と見事な……!」

 

アミューズ。

 

「か、はっ……?!!!!な、何て美味さだ?!!!!こ、これが前菜だと?!!!!」

 

バジリスクフォアグラにアルカディアの季節の野菜ソテー。

 

「な、な、な……?!!!何たる濃厚な旨味!!!!上品な脂の味!!!野菜もあり得ないくらいに甘く……、官能的ですらある!!!!」

 

ヘスペリス産促進栽培トリュフのコンソメスープ。

 

「が、あ、ああぁ……!!!!美味過ぎる、旨味で舌が焼き切れそうだ!!!!」

 

アトランティス産クリムゾンシーブリームのポワレ。

 

「????!!!!??!!?!!」

 

ジパング産黒毛和牛のステーキ。

 

「………………今まで私が食べてきたものは、豚の餌だった」

 

デザート盛り合わせ。

 

「@/&_☆*→×+〒々|^<=°%」

 

コーヒー。

 

「ピニャ」

 

 

 

因みに、この後噂で聞いたが、とある食通の商人が、何を食べても美味く感じない身体になったとかで自殺したらしい。

 

 

 

そんなことは別にどうでも良いが……、ふむ。

 

そろそろ移動するか。

 




モバマス書いてるんすけどどうも筆が乗らない。

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