ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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なろうファンタジーは書きやすくてついつい書いちゃう。


3話 異能者ルート

ママンと親父には、バカンス代わりに日本の高校で青春してくると正直に言ったところ、楽しんでこいと送り出された。

 

ママンと親父は本当に人間が出来ている。息子である俺の選択を尊重したいとさ。嬉しいねえ。

 

尚、医学界は金ヅル兼広告塔の俺のバカンスには大反対だったが、押し切った。

 

さあて。

 

日本にやって来た訳だが。

 

かの医神アスクレピオスに例えられる若き天才医師である俺と顔を繋ぎたい悪い大人達が、騙せると思って近づいてくる。

 

それをあしらいながら、今までの貯金で、一括で払ったそれなりに広い家。

 

あ、あのね、世界一の名医でも、給料は資産家ほどじゃないからね。薬品の特許料、趣味でやったその他の研究、スポーツ大会の賞金、土地や株、その他諸々の手段で稼いでる。

 

そう、それで、高校なんだが。

 

まあ、それなりに良いランクの進学校にした。

 

留学生も受け入れるレベルの、良いとこらしいよ?

 

いやー、高校だー、学生生活楽しみだなー!

 

 

 

そんなことを話しつつ、おニューのお家の買い物を終わらせて、今日のところはどこかで食事でもするかと、イヴと夜道を歩いていると、急に背後から襲われた。

 

通り魔か?

 

日本の治安は良いはずなのにな。

 

そう思って、回避しながら振り向くと、そこには。

 

『ギギギィ!!!』

 

醜い小鬼が数体いた。

 

んんー?

 

これはどう言うことかなー?

 

そして、人間離れした身体能力で飛んできた、黒髪ロング美少女。

 

なんだ、この子は?

 

その子は、どこからともなく刀を呼び出し、こう言った。

 

「ん、退がってて」

 

すると、赤鞘の刀に手をかけて呟いた。

 

「燃えろ、軻遇突智……!!」

 

居合の要領で抜刀したら、鞘から炎が吹き上がり、複数の小鬼を吹っ飛ばして燃やした。

 

は?

 

待て待て待て待て。

 

「時間停止」

 

時間を止める。

 

「イヴ」

 

「はい」

 

「どうしよう」

 

相談タイム。

 

「どうもこうも……、衛斗様の望むような、いわゆる面白展開では?」

 

確かに。

 

「いやこれ……、ちょっと待って、データ漁るわ」

 

アカシックレコードを漁ると、出るわ出るわ。

 

退魔師、エクソシスト、バンパイアハンター……。

 

気付かなかった、世界は表面上は普通だから、前の世界と同じようなもんだと思い込んでいた!不覚!!

 

「衛斗様は全知全能なのに、気付かなかったのですか?」

 

「うーん、俺の全知全能は、正確には、全知全能の権利を与えられたって訳で、全知全能ではないのよ」

 

「?」

 

「つまり、何でも知ろうと思えば知れるし、何でもやろうと思えばできるけど、やろうと思わないと何も出来ないのよ」

 

「つまり、今回の件は完全に盲点だったんですね」

 

「そう。世界の裏側とか、調べようとも思わなかったわ。大体、医者としてリアルが充実してたから、そういう厨二っぽい妄想とかする暇なかったのよね」

 

にしても、退魔師か。

 

はいまず目の前のこの女の子。

 

不知火沙織、十六歳。

 

退魔師の名家、不知火家の娘。

 

火炎系能力者が多くいる、不知火家の例に漏れず、強力な発火能力を持つ。

 

若くして武装創造段階まで至った天才であり、日本退魔師協会では、期待の新星、『烈火の巫女』と持て囃されているが、本人はその期待を裏切らないように努力する実直な人物である、と。

 

ついでに、処女でファーストキスすらまだ……、スリーサイズははちじゅ……、いや、この辺はやめておこう。

 

さて?

 

まず、異能者についてだ。

 

世の中には、何千何万人に一人くらいの割合で、能力者になる素質を持った人がいるらしい。実際に異能者になれるのはもっと少ないとのこと。

 

異能者は、それぞれが固有の超能力を持ち、気、とか、エナジー、とかいう、精神エネルギーで身体能力を強化できるらしい。

 

また、異能は遺伝される、とも。

 

そして、異能には三つのランクと三つの段階がある。

 

まず、人一人に作用するものを小規模異能、人複数人に作用するものを中規模異能、軍隊規模に作用するものを大規模異能とする。作用する、というのは、役に立つ、と言い換えても良いだろう。

 

また、異能は、覚醒してから三つの段階を踏んで強化される。

 

まず、発現段階。この段階では、異能が使えるようになることを指す。

 

次に、武装段階。能力に応じた武装が展開できるようになる。

 

最後に、超越段階。能力が変質する。

 

尚、段階は、一つあげるのに二、三十年はかかるとされ、現役かつ超越段階に達している異能者は数えるほどしかいない。

 

分かりづらいな。目の前の不知火沙織を例に話そう。

 

不知火沙織の異能の規模は、大規模。軍隊に対しても有効な火力と規模の炎を操ることが可能だ。

 

また、段階は武装段階。あの、赤鞘の炎を纏う刀が、武装段階によって創り出された武装である。

 

これが、超越段階にでもなれば、消えない炎や黒い炎を出せるようになるだろう。

 

で、だ。

 

俺はここで人生のルートを変更決定。

 

表の顔はスーパードクターE、裏の顔は最強異能者ルート……。

 

これだな。

 

こーんな面白そうなことに首を突っ込まない訳ない。

 

過去改変で、俺とイヴは子供の頃に異能に目覚めたが、周囲から隠してきた設定にする。

 

しかも、俺は前代未聞の異能を二種類持つ設定に。

 

幼い頃から鍛えたことと、スペックの高さから、俺もイヴも超越段階ということにしておく。

 

俺の異能その一は、大規模異能の『アスクレピオス』。あらゆるものを手術する能力だ。手術は、物体の切除、摘出、縫合、透視などができるという設定。武装段階では、蛇が絡みついたような趣向の杖だ。

 

異能その二は、大規模異能の『ヒュギエイア』。あらゆる薬を作る能力だ。薬は、肉体再生剤から猛毒まで何でも作れる設定。武装段階では蛇が絡みついたような趣向の杯だ。

 

イヴにも異能を設定する。

 

イヴの能力は、大規模異能の『エクスカリバー』。破壊のエネルギーを射出する能力だ。他にも、防御力が異常に上がったりする。武装段階ではもちろん、西洋剣だ。

 

時間を止めたまま、適当に異空間を創って、そこにイヴと移動。

 

異能の練習をする。

 

それと、気を使った身体能力の強化も練習。

 

「ほー、こんな感じか。はいはい成る程ね」

 

「こちらも確認できました。使いこなせます」

 

何度か組手をしたり、仮想敵を創り出して、それと戦ったりして。

 

「よし、じゃあ、時間を進めて本番行こうか」

 

「はい」

 

再開、と。

 

 

 

はい、時間が進み始める。

 

不知火沙織が、火を纏う刀を構えて、俺達を庇うように立つ。

 

しかし俺達は、そんな沙織の前に出る。

 

「……一般人が前に出ちゃ、困る」

 

困惑したような、面倒そうな様子を見せる沙織。

 

しかし、俺とイヴは、それぞれの異能の武装を見せつけるように構え、残った小鬼を撃破。

 

「切除!」

 

「はあっ!」

 

俺のアスクレピオスで肉体をバラバラにされた小鬼、イヴのエクスカリバーで焼き切られた小鬼、全ては、嗄れたような声を出しながら消滅。

 

「なっ……?!」

 

驚愕する沙織に俺は、はにかみながらこう言った。

 

「君も超能力者かい?イヴ以外の超能力者に出会うのは初めてだな、よろしく」

 

と。

 




ネタバレ、チーレムです。

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